2017年10月9日(月・祝)まで、東京・東急シアターオーブにて開催されているワールド・ミュージカル・コンサート『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』。東急シアターオーブ5周年を記念して行われるこのコンサートでは、世界で活躍するミュージカル・スターを日本に招聘し、『フォッシー』、『オン・ザ・タウン』、『エニシング・ゴーズ』、『スウィング!』、『サンセット大通り』、『42ndストリート』など、日本のミュージカルファンにも愛されている名曲の数々が披露される。公演目前のリハーサルの模様を取材した。
まず、今回の出演者を紹介しよう。
アール・カーペンター(『レ・ミゼラブル』ジャベール役など)
シボーン・ディロン(『サンセット大通り』ベティー役など)
ウィレマイン・フェルカイック(『ウィキッド』エルファバ役など)
エリック・クーンジー(『ミス・サイゴン』クリス役など)の5名。
【ダンサー】
MARK STUART DANCE THEATRE
ジェイミー・ヴェレイジン
ミシェル・カマヤ
ダニエル・ゲイモン
コルビー・リンデマン
公開リハーサルでは、ミュージカル『スモーキー・ジョーズ・カフェ』から、「オン・ブロードウェイ」が披露された。スタジオの半分を占めるビックバンドが演奏を始めると、シボーンとウィレマインがすっと歌い始める。そこにアールとエリックがコーラスとして加わる。途中から、アールとエリックの歌声に、シボーンとウィレマインがコーラスを入れるなど、様々な色を描きながらサビに向けて盛り上げていく4人。全身を使ってリズムを取り、楽しそうに歌う姿に、稽古場でも思わず拍手や口笛が沸き起こっていた。
リハーサルの後には取材会が行われ、アールら4人に加え、ジェイミー、ミシェル、ダニエル、コルビーも参加した。
今回は、2017年4月にブロードウェイで開幕した新作『バンドスタンド』のアソシエーション・コリオグラファーを務めているマーク・スチュアートが演出・振付を務め、歌だけでなく踊りにも力を入れたショーアップしたコンサートになるという。
アールは「今回、他のシンガーたちだけでなく、ダンサーたちと共に曲を作り上げていくことで自分の中でもモチベーションが上がっています。一人きりで『STARS』(自身の当たり役『レ・ミゼラブル』ジャベールのソロ曲)を歌うのではなく、皆で歌うのが本当に楽しみなんです」と嬉しそう。その一方で「少しくらいミスしても皆に紛れてごまかせるかな?(笑)」と冗談を口にすると、他のメンバーから突っ込まれていた。
シボーンは、このコンサートのセットリストについて「どれも珠玉のナンバーばかりで、1曲聴くだけでも喜んでいただけると思います。ミュージカルがお好きな方なら6曲以上は分かるんじゃないかな?個人的にはウィレマインが歌うディファイング・グラヴィティ(『ウィキッド』)を楽しみにしているんです。彼女は“レジェンド”ですからね!」とコメント。その言葉を聞いたウィレマインは、嬉しそうに微笑んだ。
エリックは、“レジェンド”を前にして「僕が歌うディファイング・グラヴィティは・・・、いや冗談ですが」と笑いを取りつつ、「難しいハーモニーを作らないといけないんですが、それが出来上がって本番で歌うのが今から楽しみなんです」と本番に向けて意気込んだ。ウィレマインは「皆さん、本当にすばらしいシンガーなんです。歌いだした途端、綺麗なハーモニーにすぐ入れるんですよ。本当に天にも昇るような気持ちです」と共演の喜びを表した。
ダンサーのジェイミーは、今回のコンサートについて「最高中の最高!アメリカでもトップレベルのダンサーやパフォーマー、シンガーがここに集まっているんです!マークや日本の一流のスタッフも加わっています。コンサートはきっと楽しい時間となるでしょうね」と瞳を輝かせる。ちなみにジェイミーは、アクロバットに秀でたダンサーとして注目されている人物。「今回のコンサートでは、そのような技を使わなくても、ダンサーとシンガーのパワーで、あたかも空中を飛んでいるようなパフォーマンスをお見せできると思います」と笑顔で語った。
同じくダンサーのダニエルは「今回様々なジャンルのダンスをお見せできるのが嬉しいです。スウィングやタンゴなども。もちろん、マークにすばらしい振付をつけてもらえるのも嬉しいです。パフォーマンスの多様性は大事です。それは人生においても同じですね。そういったものがたくさん詰まっているコンサートになると思います」と静かに微笑んだ。
ダニエルの言葉にうなずくコルビーは、これが初めての来日。「日本の人たちはとても親切ですね。お互いを尊重して暮らしているように思います」と日本文化をもっと知りたい様子を見せた。その言葉に、2度目の来日となるミシェルが「コンサートの準備が落ち着いたら私も原宿に行きたいし、(初来日の)ダニエルとコルビーのツアーガイドになるわね!その前に私が迷わないようにしないとだけど」と二人の腕を軽くつかんでおどけて見せた。
今回のコンサートには、スペシャルゲストとして、中川晃教、石井一孝、龍真咲が日替わりで出演する。彼らの印象を聞くと、ウィレマインは「素晴らしい方々ですね。リハーサルをしましたが、美しく魅力的に歌うし、人柄も良い方々。この共演が私たちにとって素晴らしい経験となると思います。そしてコンサートを観にいらっしゃるお客様の反応も楽しみですね」と語った。アールも「このコンサートは、文化の融合の場であることも重要だなと感じています。違う文化を持つお互いが学び合うことも多いんじゃないかな?」と日本のアーティストたちとの共演を楽しみにしていた。
「僕らは、異国から日本に来て、いわば同じ船に乗っている状態。そんな我々をあたたかく受け入れてくれることをありがたく感じています。いいバイブレーションになってコンサートがうまくいくと思います」とアール。
取材会の最後には、マークが会場に登場した。「一言、挨拶を」と振られると「マーク?お前が呼ばれているよ!」と誰もいない自分の後ろを振り返るマーク。その仕草が皆の笑いを誘っていた。改めてマークは「すばらしいキャストが集結しました。個々のパフォーマンスが融合し、その相乗効果でこれまで見たことのない素晴らしいステージになると思います。そしてそれを皆さんにお見せできると僕は確信しています」その顔には自信がみなぎっていた。
ワールド・ミュージカル・コンサート『ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ』は、10月9日(月・祝)まで、東京・東急シアターオーブにて開催。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部)