2017年8月23日(火)都内にて、ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』の製作発表会見が行われ、出演の市村正親、鳳蘭のほか、実咲凜音、神田沙也加、唯月ふうか、入野自由、広瀬友祐、神田恭兵が登壇。5000通の応募の中から選ばれた約200人のオーディエンスが見守るなか、劇中歌が2曲披露されるなど豪華な会見となった。
1905年の帝政ロシアを舞台に“アナテフカ”という寒村に住む家族の愛と旅立ちが描かれる本作は、1964年ブロードウェイで初演されトニー賞ミュージカル部門の最優秀作品賞、脚本賞、作曲賞など7つの賞を獲得。その後8年ものロングランが続き、計3242回という当時としては画期的な記録を達成。日本では、森繁久彌が本作の主人公・テヴィエを演じた1967年の初演から幾度となく再演が重ねられ、今年で日本初演から50周年を迎える。
会見ではまず、2004年からテヴィエ役を務める市村と2009年から妻・ゴールデ役を務める鳳の名コンビによって劇中歌「サンライズ・サンセット」が披露され、途中、入野と実咲、広瀬と神田沙也加、神田恭兵と唯月の3組が連れ立って登場し総勢8人での合唱となった。
その後、市村から登壇者挨拶が行われ、市村は「今回は、新しいメンバーと古いメンバーで・・・」と言い澱み鳳に含みのある視線を送ると、市村は鳳の手を取り「僕と鳳さんは一線を超えていますので、一線を越えた素晴らしい家族のミュージカルをお見せしたいと思います(笑)」と宣言。市村、鳳の温かな空気に会場は包まれた。
また、市村は日本初演から50年続いた理由について初演から通算900回のテヴィエ役を務めた森繁久彌の言葉を引用し「森繁さんも仰っていましたが、人種、宗教、家族の問題と豊富な内容が作品の強さになっている」と分析した上で「後は・・・、やはり僕の若さとエネルギーと情熱が作品を支えているのではないかと、自分だけで思っています(笑)」と冗談を飛ばし、会場の笑いを誘った。
続いて、市村にして「最強の女房」と言わしめた妻・ゴールデ役の鳳が挨拶。「ミュージカルが愛される3大要素“ドラマ”、“曲”、“ダンス”すべてが揃っている。だからこそ世界に残っている名作になるのだと思います。100%、すべてが良いです!」と絶賛。本作で宝塚歌劇団退団後初のミュージカル作品となる長女・ツァイテル役の実咲は「初演から50周年という記念の年に参加させていただけること、そして、素晴らしい共演者の皆様と舞台を作っていけることがすごく嬉しいです。長女なので姉妹を引っ張っていくようなしっかり者の一面を出せたら」と誠実に意気込む。
活発な性格の次女・ホーデル役の神田沙也加は「歴史ある作品ですので出演が決まった時はとても興奮しました。私は一人っ子なので姉妹や家族とワイワイ、時に切ない時間が過ごせることを楽しみにしています」と笑いかけ、好奇心旺盛の三女・チャヴァ役の唯月も神田沙也加に合わせて「私も沙也加さんと同じ一人っ子で姉妹の役が初めてなので、今から楽しみです。仲良く楽しく、そして精一杯頑張ります」と明るくコメント。
長女・ツァイテルと相思相愛の仕立て屋・モーテル役の入野は「前回の公演ではパーチックの役で出演したのですが、自分が演じるということに一生懸命になりすぎて、作品を深く掘り下げることができなかったので、今回はもっと作品や役に対して掘り下げていけたら」と気合をみなぎらせると、次女・ホーデルと恋に落ちるパーチック役の広瀬は「こんな歴史ある作品に出演させていただけたことに感謝が一杯です。また、市村さんとご一緒できるのを嬉しく思っています」と喜びを述べた。
三女・チャヴァに恋心を寄せるロジア人青年・フョートカ役の神田恭兵は「この作品がもっともっと続いていくよう使命を担ったのだなと身が引き締まる思いです。市村さんと鳳さんにチャヴァとの結婚を許していただけよう頑張ります!」と市村、鳳に向け頭を下げ、二人の笑いを誘った。
登壇者挨拶の後、報道陣から市村、鳳にそれぞれの魅力が尋ねられ市村は「鳳さんはご覧のように、おおらかで、何も考えていないようで実は色々なことを考えていて(笑)」と応じていると、鳳が「繊細、繊細」と市村に耳打ち。市村は取り繕うように「・・・鳳さんは繊細で、強烈で、コミカルで、泣き虫で。女房のあらゆる部分を兼ねそろえている人(笑)」と鳳の魅力を解説。
鳳は「イッちゃん(市村)は劇中で私がちょっとしか怒っていないのにものすごくオーバーに脅えるので、この舞台を見た人は私と結婚したいと思えなくなるはず(笑)。それくらい、彼は私を引き出してくれています」とコメント。それに対し市村は「そういうふうに台本に書いてあるからね」と釈明すると、鳳は「だからあなたは台本を深読みしてちゃんと読んでるのよ!私は普通に読んでるだけですから」と声を大にして、恐妻家の一面を見せた。
会見終盤では、3姉妹役の実咲、神田沙也加、唯月による劇中歌「マッチメイカー」が披露され、その姿を後ろから見守っていた市村は「歌声を聞いて、やはり『屋根の上のヴァイオリン弾き』は良いミュージカルだなあと思いました。そして『マッチメイカー』以外にも名曲が揃っています。僕も13年前から参加していますが、あらためてゼロから稽古場に参加して、今までと違った『屋根の上のヴァイオリン弾き』にできたら。どうぞ、ご期待と応援のほどよろしくお願いします」と結び会見を終えた。
日本初演50周年記念公演ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』は、12月5日(火)から12月29日(金)まで東京・日生劇場にて上演。その後、大阪、静岡、愛知、福岡、そして市村の生まれ故郷である埼玉・川越で大千秋楽を迎える。公演日程の詳細は以下の通り。
2017年12月5日(火)~12月29日(金) 東京・日生劇場
2018年1月3日(水)~1月8日(月・祝) 大阪・梅田芸術劇場
2018年1月13日(土)・1月14日(日) 静岡・静岡市清水文化会館(マリナート)
2018年1月19日(金)~1月21日(日) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
2018年1月24日(水)~1月28日(日) 福岡・博多座
2018年2月10日(土)~1月12日(月・祝) 埼玉・ウェスタ川越 大ホール
(取材・文・撮影/大宮ガスト)