2017年7月26日(木)東京・帝国劇場にて、ミュージカル『ビューティフル』が開幕する。それに先立ち、囲み取材が7月24日(月)に行われ、W主演の水樹奈々と平原綾香をはじめ、中川晃教、伊礼彼方、ソニン、武田真治、剣幸が登場し、意気込みを語った。
本作は「A Natural Woman」「You’ve Got A Friend」で世界的に知られ、絶大な人気を誇るアメリカのシンガーソングライター、キャロル・キングの波乱万丈な半生を数々の名曲と共に描いたミュージカル作品。ブロードウェイで幕を開けるや大評判となり、トニー賞主演女優賞をはじめ数々の賞を受賞し、世界でロングランを続ける大ヒット作品。
キャロル役には声優・歌手・ナレーターとしてマルチに活躍し、初のミュージカルに挑戦する水樹奈々と、「Jupiter」などのヒット曲で知られミュージカル作品としては出演2作目となる平原綾香のWキャストに注目が集まる。
物語はニューヨークに住む16歳のキャロル(水樹奈々/平原綾香)が、教師になるように勧める母ジーニー(剣幸)を振り切って、名プロデューサーのドニー(武田真治)に曲を売り込み、作曲家への一歩を踏み出すところからはじまる。やがてジェリー(伊礼彼方)と恋に落ちたキャロルは彼とパートナーを組み、キャロルが作曲、ジェリーが作詞を担当するようになり、そして二人は結婚する。さらに同じ頃、ドニーがプロデュースする新進気鋭の作曲・作詞家のコンビ、バリー(中川晃教)とシンシア(ソニン)とも良き友人となり、互いにしのぎを削りヒットチャートの首位を争うようになるが、ヒット曲を描き続けなければならないという焦燥感からジェリーは次第に追いつめられていく。28歳でシングルマザーとなってしまったキャロル、しかしくじけることなく人生を切り開いていく感動のストーリーを描く。
会見で初日を迎える心境を聞かれた水樹は「ついにこの日がやって来きます。緊張と興奮と色々な思いでテンションが上がりまくっている状態です。人生初のミュージカルで、初日が初舞台になります。全力投球で自分を信じてがんばりたいと思っています」と興奮気味に挨拶。
2014年に初舞台に挑戦し、2度目の舞台となる平原も「ついに帝国劇場生活が始まると思うとワクワクします。この作品は日本で初めて上演されるのでとても興奮しております。この劇場に入った時、圧倒されて『何かファントムみたいなものがいるな』という感じを受け、まだお会いしていませんが(笑)そんなパワーを感じる素晴らしいステージだと思っています。信頼をおける素晴らしい仲間と一緒にがんばっていますので、しっかりと良い歌とお芝居をお届けできたら」と意気込んだ。
キャロルたちとは良きライバル関係となるバリー役の中川は「キャロル・キングが生み出してきた名曲たちがこの物語の中でたくさん聞けるわけですが、一方で未来の妻であるシンシア・ワイル(ソニン)と、作曲家のバリー・マンの二人が生み出した名曲たちもこの物語の中に溢れています。音楽がミュージカルの醍醐味だと思いますが、一方で作詞家、作曲家のクリエイター達の音楽が生まれるまでの苦悩が描かれています。その両面を早く伝えたい思いでいっぱいです」とニッコリ。
キャロルの相棒、ジェリーを演じる伊礼は「彼女たちが抱えている興奮と高揚に僕も鼓舞されて、激しく脈を打っております」とコメント。キャロルと出会ってパートナーとなるが、クリエイターとして壁にあたり苦悩し彼女を苦しめてしまう役を体当たりで演じる。
バリーのパートナーとなるシンシア役ソニンは「この帝国劇場で(芝居部分が)ストレートに近い音楽劇は久しぶりだそうです。ブロードウェイのスタッフと日本のスタッフが初日に向けて試行錯誤しながら作りあげました。新しいパフォーマンスが見られると思います。お客さまの反応が楽しみです。女性がリードしていくことはあの時代には珍しかったと思います。カップルで作品を作ることの面白さ、カップル対カップルの対比もすごく面白いスパイスになっていると思います」と胸をはる。
キャロルを最初に見出しプロデュースするドニー役の武田は「帝国劇場に立つという事は、演劇を志す者であれば最終目的地と言っていいくらいの聖地です。この一か月間、この舞台に立たせていただける喜びと興奮に溢れています。トニー賞も受賞したこの作品を日々ブラッシュアップして参りました。2組のラブストーリーと合わせて、アメリカの音楽史、世界のポップス史を彩った楽曲と共に、この物語を楽しんでもらえると思います」とアピールした。
キャロルの母親ジーニー役の剣は楽曲について「ミュージカルは、ミュージカルのために書かれてきた曲で構成されていますが、今回はキャロル・キングが自身の人生に合わせてその都度作ってきた曲をまとめたら彼女の人生になったというところが、今までのミュージカルと違う部分です。私はキャロルと同じ時代を生きてきましたが、作品として素晴らしくまとまっています。この時代をご存知でよく聞いていた方は懐かしいと思いますし、初めて聞く方も、キャロル・キングの人生をわかっていただける良い機会だと思います。どこを取っても楽しめる作品になっております」と自信をみせた。
本作の見どころを聞かれると、平原は「キャロル・キングは今でも第一線で活躍されていて、尊敬するミュージシャンです。彼女の一途さや笑顔、作り出す音楽が本当に素晴らしくて、尊敬しながらこの役に取り組んでいます。この役はとにかく人間性が素晴らしいところ、音楽のすばらしさ2つが秀でた人物です。誰に対しても一途でいる存在です。また、すべてにおいて愛があります。どんなに傷つけられても最後まで愛し続ける人だからこそ、たくさんの名曲が生まれたと思っています」と魅力を答える。
続けて水樹も「私も同じ気持ちです。彼女の魅力はどんな時でもあきらめない、折れない心だと思っています。ハートが強くないと激動の人生を進んで行くことはできないのではと。どんな時でもまっすぐで、誰に対しても思いやりを持って接している、深い愛で包まれた方です。この作品は、特に夢を持ってがんばっている若い世代の方にもぜひ観ていただきたいです。芯を貫き、自分を裏切らない気持ちがあれば、どんな状況にぶつかっても乗り越えていける、勇気が湧いてくる作品だと思います」とメッセージを届けた。
さらに中川は「この舞台の中で、ヒットメーカーという言葉が良く出てきます。クリエイター同士が拮抗しながら時代を作ってきたそこに名曲たちが生まれる。ヒット曲をどう生み出していったのか、どう曲を作ってきたのか、なぜその曲が必要だったのか、とても演じがいがあって、普段見ることができない裏の部分を見ることができます。劇中にはキャロル・キングも影響を受けた50年代の音楽も流れます。例えば『リトルダーリン』という曲は、日本では先日亡くなられた平尾昌晃さんがカバーされているんです。先輩方が作ってきてくださった時代があって今の私たちがいる、大きな芸能の流れを大きな力に変えて届けていきたい」と作品に対する想いを熱く語った。
最後に水樹が「初めてのミュージカル出演、しかも主演で伝統ある帝国劇場に立たせていただくなんて、この上ない幸せでいっぱいです。何もわからない状態から飛び込みましたが、このカンパニーの皆さんに手を差し伸べていただいて、何とか舞台に上がれるところまでやって参りました。稽古期間を信じ、カンパニー一丸となって最高の舞台を届けたいと思っております。とにかく楽しい、たくさんの感動が詰まった作品です。来て頂いたら最高の時間になると信じています。全力でお迎えします!」とフレッシュに期待をあおり、平原も「このミュージカルは本当に最高です。みんながそれぞれの人生を生きながら、役に没頭していて、それが本当にかっこよくて、みんなの人間性や歌声に惹かれ、帝国劇場生活を送っております。観劇した後は“ビューティフル”な気持ちで帰っていただける素晴らしい作品だと思います。劇場でお待ちしております」と締めくくった。
ミュージカル『ビューティフル』は7月26日(水)から8月26日(土)まで東京・帝国劇場にて上演される。
(取材・文・撮影/谷中理音)