『子午線の祀り』プレビュー公演を終えいよいよ本公演開幕!野村萬斎「万全を期して臨む」

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世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演『子午線の祀り』が、2017年7月1日(土)から7月3日(月)にかけて行われたプレビュー公演を終え、いよいよ本日7月5日(水)より本公演初日を迎える。『子午線の祀り』は、1979年の初演以来、七度上演を重ねてきた“演劇史に残る傑作”。今回、13年ぶりに新演出・新キャストで新たに幕を開ける。

プレビュー公演を終え、世田谷パブリックシアター芸術監督であり、演出・出演する野村萬斎、そして、成河、河原崎國太郎、今井朋彦、村田雄浩、若村麻由美よりコメントが届いている。

『子午線の祀り』舞台写真_7

◆野村萬斎【演出・新中納言知盛平知盛)役】
『子午線の祀り』は古典と現代劇、古(いにしえ)と今、西洋化した現代日本と古き日本が結びつくような作品だと思います。タイトルは英訳すると『Requiem on the Great Meridian』になるのですが、今回の新演出では人間の死を悼む儀式、レクイエムということを考え、弔いのシーンから始めています。また劇中、独白、対話、群読があり、対話以外は語りですが、それぞれソロとデュエット、コーラスという声のバリエーションになっていて、短調もあれば長調もあるという交響楽のような日本語の音楽性や、叙事詩としての魅力もあります。私自身も演じるのが三度目になる平知盛の、このアリアのような台詞をきっちり語り、歌い上げたいと思っています。
プレビュー公演を経て、さらに色々なものが見えてきています。「平家物語」を題材にした壮大な作品ですので、万全を期して本公演初日に臨みます。本作の舞台となる一ノ谷、屋島、そして壇の浦の合戦について少し思い出していただけたら、本作の楽しみ方が増えるかもしれません。そして開演直前から作品の世界へ導くような演出が始まりますので、お早目にご着席いただければ幸いです。世田谷パブリックシアターでお待ちしております。

『子午線の祀り』舞台写真_2

◆成河【九郎判官義経(源義経)役】
義経という人物の“純粋さ”に僕は一番惹きつけられています。また「言葉に従事する表現」というものの奥深さと難しさを日々痛感しながら、自分のなかでとても大きな化学変化が起きている気がしていまして、もう一段ステップアップできる機会だということを強く噛みしめています。
このような演劇を演じる方も観る方も一緒になって体験することは、人間が生きていく上で色々なことがある時に、人生というものを超えていくための、すごく優しい訓練の一つの形なのかなぁという気がしています。この作品を通して、演劇は何のためにあるのかを改めて考えたり、発見させてもらえたり、それがとてもありがたい毎日です。

『子午線の祀り』舞台写真_3

◆河原崎國太郎【大臣殿宗盛(平宗盛)役】
いよいよ始まる本公演初日に向かって、楽しみな気持ちが出てきました。プレビュー公演の初日は、どのように受け取っていただけるのかという不安もある中で迎えたのですが、お客様の反応を直に感じてひとつの確信を持つことができました。
『子午線の祀り』という作品の持つ力、言葉の力は素晴らしいですが、世田谷パブリックシアターという劇場空間も今回、作品にぴったりと合っていると思います。その中で、平宗盛を体現していく一役者としての自分と、平宗盛としての自分との両方を舞台の上で感じながら、良い本公演の初日を迎えられればと思っています。

『子午線の祀り』舞台写真_5

◆今井朋彦【梶原平三景時役】
よく言われますが、芝居の最後のピースは“お客様”です。いくら稽古場で本番を想定して稽古をしていても、実際には最後にお客様が入ってわかることがあります。その気づきをどう生かし、千秋楽までこの作品を進化させる力になれるかを考えている・・・今はそんな心境でございます。
源平の戦いを描いたドラマに「群読」という特殊なスタイルが入る、一筋縄ではいかない魅力を持つ作品です。本当は自分の役を一度だけ誰かに預けて、客席から完成した作品を観てみたい!という想いに駆られているのですが、「いけないいけない、自分には役割があった」と思い直し(笑)、日々演じています。

『子午線の祀り』舞台写真_6

◆村田雄浩【阿波民部重能役】
私が演じる四国の豪族・民部は人間の機微や裏表というものを深く深く持っている、やりがいのある役だと改めて感じます。純粋に知盛との主従関係を全うする気持ちがありながらも自分の主張があり、知盛や平家に及ぼす影響もわかっていながら画策めいたことをしてみたり。やればやるほど色んな風に見えてきます。萬斎さん演じる知盛とがっぷり四つに組む芝居が多いので、プレビューを経て、お互いにどんどん高まっていく感じがします。
それにしても『子午線の祀り』は大変な、すごい作品です。ここ数日でもどんどんと進化しているこの芝居、戯曲、群読というものを更に突き詰めていきたいと思います。

『子午線の祀り』舞台写真_4

◆若村麻由美【影身の内侍役】
原典「平家物語」の“諸行無常”を『子午線の祀り』では“非情の相”と読み取りましたがその深遠さを思い知りました。古典に根ざしてジャンルを超えた演出家ならではの新演出は、群読とフォーメーションをジャンルの異なる演劇人が、デジタル時代にチーム一丸人力戦で挑戦します。それは木下順二の「非情の相を見定めよ」を未来に繋ぐことだと感じました。
影身の内侍は巫女。未来を知り天の言葉を伝える役目。体現するのに苦しみましたが劇場空間に入って「彼岸と此岸、更にその彼岸」の構造がよくわかり、美術・照明・音楽に支えられ、プレビューの一瞬一瞬が驚くほど新鮮でした。それはキャスト全員が生き抜く様を見守る立場だからかもしれません。

『子午線の祀り』舞台写真_8

世田谷パブリックシアター開場20周年記念公演『子午線の祀り』は、7月23日(日)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。
※7月1日(土)~7月3日(月)はプレビュー公演※終了

(撮影/細野晋司)

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