2023年3月より東京・世田谷パブリックシアターにて、野村萬斎が構成・演出・出演する舞台『ハムレット』が上演される。今回その全出演者が公開された。タイトルロールであるハムレット役を、息子であり芸の弟子でもある野村裕基が務める。そのほか岡本圭人、藤間爽子、釆澤靖起、河原崎國太郎、村田雄浩、若村麻由美らの出演も決定した。
2002年より芸術監督として世田谷パブリックシアターを牽引してきた萬斎。『ハムレット』をはじめ、数多くのシェイクスピア作品に出演し、狂言師の特徴を活かしながら、古典と現代劇の融合に取り組み、独自の視点で作品を立ち上げてきた。そんな萬斎が、任期中最後の公演として2022年2月に上演した舞台が「戯曲リーディング公演『ハムレット』より」。息子である裕基はこの時に初めて狂言以外の舞台へ出演。父と同じくハムレット役で翻訳劇デビューを果たした。
そして本作でも萬斎が引き続き演出を手掛けると共に、ハムレットを導く亡き父王の亡霊と、その父を暗殺しハムレットの母を娶る叔父王クローディアスの二役を演じる。ハムレット役は裕基が務め、舞台上で野村親子が対峙することになる。加えて、ハムレットと対峙するオフィーリアの兄レアーティーズと、廷臣ローゼンクランツの二役を岡本。ハムレットを慕うオフィーリア役を藤間。ハムレットの友人にして腹心ホレイシオ役を釆澤。王妃ガートルード役を若村。レアーティーズとオフィーリアの父親ポローニアス役を村田。旅芸人一座の座長や墓堀役として河原崎が登場する。若村、村田、河原崎の三人は野村萬斎演出『子午線の祀り』(2017・2021年)でも共演している。さらに松浦海之介、森永友基、月崎晴夫、神保良介、浦野真介、遠山悠介の参加が決定した。
父である先王の亡霊から死の経緯を知らされたハムレットは、その死を仕組んだ叔父クローディアスへの復讐を誓い狂気を装う。この復讐計画により、ハムレットを慕うオフィーリアや、王妃となった母親ガートルードをはじめ、彼の周りの人々は運命を狂わされていく・・・。
『ハムレット』は2023年3月6日(月)から3月19日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、3月25日(土)に東京・江戸川区総合文化センター 大ホール、3月29日(水)に大阪・枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホールにて上演する。
コメント紹介
◆野村萬斎
ハムレットのタイトルロールを2回経験しての3度目の挑戦である。とは言え、この度は演出と、ハムレットを導き惑わす父王の幽霊、そして敵対する叔父王の役である。ハムレット経験者である私がこの二役を演じること、そして師弟関係にもあり常に共演者(ライバル)である息子・野村裕基と組むことに、演出の大きなキモがある。この戯曲では血縁が複雑に絡み、しかし家庭劇には収まらぬ国家存亡の危機が横たわる。私達親子にとっては日本の伝統的文化存亡の危機が重なって見える。
一方現実社会では、隣国同士が戦争を始め、元首相が暗殺され、女王の死を目の当たりにした。そしてデジタル化が進む白か黒かの二進法的世界では割切れぬ灰色の現実の苦悶。まさにハムレットな状況がある。
『子午線の祀り』以来の素晴らしい共演者、共同創作者に恵まれた。
新たに参加してくれるメンバーも実にチャーミング。乞うご期待!
◆野村裕基
ハムレット役をさせていただきます、野村裕基です。今年2月にリーディング公演でハムレットをさせていただきましたが、この度いよいよ本格的なストレートプレイとして初めて舞台に上がる機会をいただきました。師匠でもある父の、ハムレット像を上手く自分に落とし込んで演じることを目標にしたいと思います。普段の古典芸能とは少し違う自分にも、是非ご期待頂きたいと思います。
◆岡本圭人
子供の頃からシェイクスピア作品に触れ合ってきた自分にとって、シェイクスピアの言葉を紡ぐことは憧れでした。野村萬斎さん演出のもと、かつて自分が魅了されたハムレットの物語をお客様に感じていただけるように、そして舞台の上で役として生きられるように一生懸命稽古に励んでいきたいと思います。
◆藤間爽子
私にとって初めてのシェイクスピア作品です。
ハムレットという作品が放つ圧倒的な存在感に正直怖気付いておりますが、野村萬斎さんの織りなす世界観に思いっきり飛び込んでみたいと思っています。
約400年前に作られたこの作品を、現代の人々の心にどう届けるのか。
幕が開くまで沢山悩み、真摯に向き合っていきたいです。
また同じ古典芸能の世界で生きる野村裕基さんと共演できますことも、とても楽しみです。
他にはないハムレットが誕生するような気がしています。
◆釆澤靖起
「『ハムレット』を各自、用意しておくように」そう言われ、「え、何その加工肉」と思ったのは演劇学校に入りたての頃であった。サラリーマンか役者か。まだ人生に悩んでいた僕は浮世を嘆くハムレットにシンパシーを覚えた。彼の美しき嘆息に不思議と心が救われたのである。(いつか、この作品と真正面から対峙したい。)あれから15年。今こうして改めて『ハムレット』に出会い直す機会に恵まれた事を心から光栄に思います。
◆河原崎國太郎
南北さんや黙阿弥さんとは長いお付き合いをさせて頂いておりますが、ウィリアムさんとのお付き合いは今回が初めて。人生の節目となる年を迎えて新たな出会いと挑戦の出来る事は大変にありがたいことです。歌舞伎でのこれまでの経験がシェイクスピアの『ハムレット』にいかに活かすことができるのか、ワクワクとドキドキでいっぱいです。新たな可能性を求めながらシェイクスピアの世界を存分に楽しんで勤めたいと思います。
◆村田雄浩
実は・・・40年以上役者やってて、シェイクスピアに関わるのは初めてなんです・・・
避けていた訳ではないのでが、何故か縁がありませんでした、戯曲は読ませていただいていたので、倉庫から引っ張り出して読み返して見たら、とても新鮮!還暦過ぎて新たな挑戦が出来るというのは、幸せなことですね~
それに萬斎さんが演出ですから、きっと見たことがないハムレットになるんだと思うので楽しみです・・・
とは言え初めてのシェイクスピアですから、共演者のみなさんの胸を借りて初心にかえって勉強させていただきます。
◆若村麻由美
デンマークの王権は王妃にある!と河合先生は仰った。先王亡き後、その弟と結婚した母ガートルードに対して”Frailty, thy name is woman.”(脆き者汝の名は女)と息子が言うのはもっとも。母はなぜ息子に跡を継がせず結婚したのか?演出家萬斎さんとの闘いが始まる!『子午線の祀り』でご一緒させていただいたメンバーとの再会♡素直で新鮮なパワー溢れる裕基さん、圭人さん、爽子さん、釆澤さん、面白いに決まってる!
『ハムレット』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2023年3月6日(月)~3月19日(日) 世田谷パブリックシアター
【江戸川公演】2023年3月25日(土) 江戸川区総合文化センター 大ホール
【大阪公演】2023年3月29日(水) 枚方市総合文化芸術センター 関西医大 大ホール
スタッフ・キャスト
【作】W.シェイクスピア
【翻訳】河合祥一郎
【構成・演出】野村萬斎
【出演】
野村裕基 岡本圭人 藤間爽子
釆澤靖起 松浦海之介 森永友基 月崎晴夫
神保良介 浦野真介 遠山悠介
村田雄浩 河原崎國太郎 若村麻由美 野村萬斎
公式サイト
【世田谷パブリックシアター公式サイト】
https://setagaya-pt.jp/