霧矢大夢と深川麻衣がW主演を務める舞台『スキップ』が、2017年4月26日(水)に東京・サンシャイン劇場で幕を開けた。初日公演を前に公開ゲネプロと囲み会見が行われ、霧矢と深川のほか、岡田達也、脚本・演出を手掛けた成井豊が登壇し、作品の魅力や意気込みを語った。
1995年に出版された北村薫の小説「スキップ」は、演劇集団キャラメルボックスによって2004年に舞台化されている。初演時も脚本・演出を手掛けた成井は、出版当時に小説を読んで感動を覚え「何が何でも芝居にしたい」と思い、無我夢中で2004年の初演を迎えたという。その経緯とともに「ずっと再演を願っていました。自分にとって財産であり素晴らしい作品です」と再演の幕開けを喜んだ。
物語は昭和42年(1967年)から始まる。17歳の一ノ瀬真理子は、ある日うたた寝から目覚めると、見知らぬ家の中にいた。そこへ帰ってきた同年代の女の子から「お母さん」と呼ばれる。真理子は42歳の姿となり、苗字は桜木に変わっていた。25年先の未来へとスキップしてしまった真理子は、42歳の肉体に17歳の心を宿しながら、次第に現実を受け入れていくのだが・・・。
舞台では、17歳の真理子と42歳の真理子が二人一役となる。「一つの役を二人で分けて演じることが難しいです」と話すのは、42歳の桜木真理子役を演じる霧矢。「小説の文章がそのまま台詞になっているので、朗読と演技の間をさ迷うようなお芝居が難しかったです」と苦労した点について語った。
一方、17歳の一ノ瀬真理子役を演じるのは、2016年に乃木坂46を卒業してから初の舞台出演となる深川。「嬉しさもありましたが、不安がものすごく大きかったです」と出演が決まった際の心境を打ち明けた。「(共演者は)場数を踏んでこられている方ばかりなので・・・」と不安をにじませながらも「気持ちをポジティブに変換して、皆さんからたくさん学ぼうと思います」と前向きに誓う。また舞台となる昭和40年代の生活を知るべく「当時流行したギャグや歌、分からなかったレコードのかけ方も調べました」と勉強熱心な姿も見せた。
深川について、脚本・演出の成井は「稽古始めと今日の初日とでは別人のよう。よくぞ僕のダメ出しに耐え抜き、付いてきてくれたと思います」と讃えた。霧矢も「麻衣ちゃん(深川)は初々しくて、毎日目に見えるように成長していきました。そのがんばりを見ていると、私たちも初心にかえります。ついつい娘のように見てしまいますが・・・(笑)。一緒に作りあげていく仲間としてお互いに成長していきたいです」とコメント。そんな賞賛を受けた深川は「いろんな方が優しくアドバイスしてくださったので」と謙虚に振り返った。
42歳の真理子の夫である桜木役を演じるのは、キャラメルボックスでの上演した初演時にも同役を務めた岡田。「俳優たちが手動で舞台転換を行うので、その点に大変苦労した記憶があります」と過去の公演を懐かしみつつ、自身の役どころについて「キレイでかわいい二人の奥さん(霧矢と深川)がいて、役得だなと思っています(笑)」と話し、笑いを誘っていた。
会見の最後に、深川は「今まで皆さんと稽古してきたことを信じながら、毎回新鮮な気持ちで楽しめたらいいなと思います。来てくださった方々にも『スキップ』というお話を好きになってもらえたら嬉しいです」と笑顔で呼びかけ、続いて霧矢も「皆で作りあげる作品なので、一丸となって素敵なストーリーをお伝えしたいです」と意気込みを語り、会見を締めくくった。
物語の中で25年もの月日を突然スキップしてしまい、絶望を抱きながらも懸命に努力する真理子。将来の夫や娘、事情を知る由もない周囲の人々と共に描く彼女の“今の姿”を、ぜひ見届けてほしい。
舞台『スキップ』は、5月5日(金・祝)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。
(取材・文/堀江有希)
(撮影/伊東和則)