あたたかい笑いと切ない涙で感動を誘う作品に定評ある、宅間孝行主宰の「タクフェス」に新シリーズ「タクフェス春のコメディ祭!」が立ち上がる。このシリーズでは、タクフェスは”泣ける作品”というイメージとの差別化を図り、”笑いのエンターテインメント”に振り切った作品を発表するという。その第1弾公演は、宅間の笑いの原点である『わらいのまち』に決定。2017年3月6日(月)には制作発表が行われ、宅間のほか、本作に出演する永井大、柄本時生、柴田理恵、鈴木杏樹が登壇した。
本作は、寂れた田舎町の寂れた温泉旅館を舞台に繰り広げられるシチュエーションコメディで、宅間作品初の「暗転なし」「転換なし」「ノンストップ」で展開する作品となっている。
6年ぶりの再演となる今回、柴田以外キャストが変わっていることについて、宅間は「コメディなので、並んだ時におもしろいことをやりそうだなというメンバーを集めました」と明かした。そもそも、宅間と永井、鈴木、柴田とは公私ともに親交が深く、気心の知れたメンバーだ。それだけに、宅間は永井について「体育会系一本気で熱い男で、突っ走っていくとアホになるんです。今回の役は、町興しに全力疾走する姿がアホみたいに映る役なので、ハマリ役だと思います(笑)」と永井をよく知った上でのオファーだったようだ。
永井も、宅間に対して「厳しく教えてもらうことで背すじが伸びるし、愛も感じます。真っすぐに伝えてくださる方なので、大好きです」と全幅の信頼を寄せているようだ。
一方、本作が宅間作品初出演となる柄本は、オファーを受けた際の心境を聞かれると「うーん・・・」と困り顔。そんな柄本の様子に、宅間は「コイツ、うちの芝居を1本も観たことがなくて、ポスター撮りの時にもDVDすら観てなかったんですよ。(自分が)“板前の役をやるって初めて知りました”とも言ってて。モチベーションが低い(笑)!」と大暴露。すると、柄本は「言い訳はしません。観てないんです」と苦笑いを浮かべつつ、潔く答え会場を笑わせた。
また柴田は、宅間について「厳しいですが、すごく愛情深い人。どうにか引き出してあげようとする優しさがあります」と評し、「綿密に出ハケまで計算されていて、コメディがちょっとしたことの積み重ねで成立することが分かる、良くできた作品」と本作をアピール。鈴木は「前回、この作品を観客として観ていたのですが、何も考えず笑える作品でした。今回もいらしてくださったお客様が、そんなふうに楽しめる舞台になったらいいなと思っています」と意気込んだ。
そして、宅間は「お芝居は高いエンターテインメントなので、そのお金を払っても観て良かったと思えるようなものを作るために、一生懸命稽古をしています。期待して、劇場に遊びに来ていただけたら」と力強く締めくくった。
なお、タクフェスといえば、写真OKタイムや開場時の“おもてなし”など、観客を喜ばせる演出が多数用意されていることでも知られているが、本シリーズでも実施予定とのこと。そして、その“おもてなし”精神は、この制作発表でも存分に発揮されていた。出演者らが旅館の仲居に扮し、集まった取材陣にお茶とお饅頭を配ってくれる「おもてなしタイム」で、会見を大いに盛り上げた。
タクフェス 春のコメディ祭!『わらいのまち』は、3月30日(木)から4月12日(水)まで東京・東京グローブ座にて上演される。その後、愛知、兵庫を巡演。日程野詳細は以下のとおり。
【東京公演】3月30日(木)~4月12日(水) 東京グローブ座
【愛知公演】4月14日(金)~4月16日(日) 中日劇場
【兵庫公演】4月18日(火)~4月23日(日) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
(取材・文・撮影/嶋田真己)