元宝塚歌劇団星組の北翔海莉の、退団後初舞台がついに決定。その作品は、『タイタニック』や『グランドホテル』などを手がけた、イギリスで活躍する気鋭の若手演出家トム・サザーランドが演出を担当するミュージカル『パジャマゲーム』だ。2月24日(金)には都内で制作発表が行われ、北翔のほか、新納慎也、大塚千弘、上口耕平、広瀬友祐、栗原英雄、そして演出のサザーランドが舞台への思いを語った。
本作は、リチャード・ビッセルのベストセラー小説「7セント半」を元に、1954年ジョージ・アボットとリチャード・ビッセルが脚本を担当し、作詞・作曲をリチャード・アドラーとジュリー・ロスのコンビが手がけた大ヒット作品。アメリカのパジャマ工場を舞台に、“7セント半”の賃上げと労働組合員のベイブと工場主任・シドの恋を描く。初演以来、ブロードウェイでは1000回以上上演され、トニー賞も獲得した。
北翔にとっては、宝塚退団後初舞台にして、女優デビュー作ともなる本作。北翔は「たくさんの不安がありますが、たくさん学ばせていただきたい」とあいさつ。そして「かわいい女性の雰囲気は、引き出しがないので出せないですが、精一杯体当たりして頑張りたい」と初の女性役への不安も吐露した。
一方で、「北翔さんよりもおそらく僕の方が女性役をよくやっていると思う」と言う新納は「(出演する舞台・ミュージカルの)半分ぐらいはストッキングを履いているので、ドレスさばきを教えますので、僕には二枚目の立ち居振る舞いを教えてもらえますか?」と北翔に提案して会場を爆笑させた。そんな新納に北翔も「もちろんです。役替わり公演もしましょう!」とノリノリで、和やかな制作発表となった。
また、大塚は「久しぶりのミュージカルで緊張しています。(自身の)結婚後、初のミュージカルになるので、夫にやきもちを焼いてもらえるぐらい、コケティッシュで可愛いグラディスを演じたい」と意気込む。そして、上口は「今の僕が見てもすごく斬新で人間のアイディアに詰まった作品。憧れのフォッシー作品に出られることだけで胸がときめいています」、広瀬は「ストレートにど真ん中で楽しめる舞台です。僕はコメディが初めてなので、楽しみでいっぱいです」、栗原は「ずいぶん前の作品ではありますが、今の人にも通じるものがある。人間を描いているので、どこかに共感してもらえ、最後には楽しんで帰ってもらえると思う」と作品の魅力を語った。
さらに、演出のトム・サザーランドは、「(本作は)有名なだけでなく、とてもダイナミックな作品。60年前からアメリカ、イギリスのミュージカルシーンに強い影響を与え、ボブ・フォッシーが振付を手がけたことでも有名です。今回の上演でも振付はとても重要だと考えていて、英国で5本の指に入るニック・ウィンストンに関わってもらうことになりました。ニックは、『フォッシー』が上演された時のオリジナルメンバーでもあります。彼の振付は、フォッシーへのオマージュでもあり、アイコニックなイメージを残しながらも、新しい振付を加えます」と今回の演出プランを明かした。
会見の最後に北翔は「海外では何度も公演されている作品ですが、このキャスト、このメンバーにしか出せないカラーをお見せしたい」と意気込みを語るとともに、「歌って踊ってハッピーエンドは作品なので、エネルギーや勇気をお届けしたい」と力強く宣言した。
なお、この日の制作発表では、北翔による「I’m not at all in love」、北翔と新納による「Hey There」、登壇キャスト全員による「Once a year day」の歌唱披露も行われた。
ミュージカル『パジャマゲーム』は、9月25日(月)から10月15日(日)まで東京・日本青年館ホール、10月19日(木)から10月29日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティで上演される。
(取材・文・撮影/嶋田真己)