12月19日(月)、都内にてミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の公開稽古と囲み取材が行われ、ロミオ役Wキャストの古川雄大、大野拓朗、ジュエット役Wキャストの生田絵梨花(乃木坂46)、木下晴香が登壇した。
本作は、シェイクスピアの恋愛悲劇「ロミオとジュリエット」を、フランスの作曲家ジェラール・プレスギュルヴィックが脚本と音楽を手がけミュージカル化。2001年にパリで初演されて以来、世界各国で上演され500万人以上を動員。日本では、宝塚歌劇団星組によって2010年に日本初演が行われ大ヒットを記録。その後、宝塚版を成功に導いた小池修一郎によって日本オリジナルバージョンとして2011年に上演、2013年に再演され、この度、2017年1月15日(日)から東京・TBS赤坂ACTシアターにて、2月22日(水)から大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演となる。
囲み取材では、まず古川に現在の稽古の様子が尋ねられ「今回は新演出ということで、色んなものを試して、色んなものを削って、色んなものを選んでという作業をしています」と、座組み一丸となって試行錯誤している様子が伝えられた。9月に行われた本作の制作発表会見で小池修一郎(演出・潤色)は、新たな演出を盛り込む旨を語っていたが、今回はセットや衣装、振付が特に変わっているそうだ。
この新たな演出について「ミュージカルで一番好きな演目」と本作の大ファンを公言する大野は「演出が大幅に変わって、『ロミオ&ジュリエット』は更に進化するだろうし、ダンサーさんたち含めキャストの熱いパワーは初演から全く変わらない。1ファンとして、みなさんにこの新しい『ロミオ&ジュリエット』を届けられるのがすごく楽しみです」と、興奮した面持ちでアピール。
公開稽古では3つの歌唱場面が公開された。最初に披露となったのは、ロミオとジュリエットがまだ見ぬ運命の相手に想いを馳せる楽曲「いつか」。ロミオ役の古川とジュリエット役の木下が、それぞれ舞台の下と上で交わることなく歌う。「天に召されようと、決して切れることはない」と、その後の悲劇を予感させる切なくも切実なパートを古川は思い悩んだ表情で、木下は夢見る少女のように歌いあげていた。
今回が舞台初出演となる現役高校生の木下は、囲み取材で今の心境を聞かれ「稽古に入る前は楽しみと不安が混ざった状態だったのですが、今は小池先生のご指導のもと、毎日自分の課題と戦っています」と、稽古中の堂々とした振る舞いから一変してあどけない様子で応えている。
続いて披露された楽曲は大野と生田による「バルコニー」。キュピュレット家とモンタギュー家の確執をバルコニーで嘆くジュリエットの元に、ロミオが大胆にも忍び込み愛を誓う名場面。囲み取材で大野は、記者からラブシーンについて尋ねられ「ロミオとジュリエットの熱に周りも突き動かされるので、ふたりで突っ走りたい」と応えていたが、見つめ合い、手と手を取って歌う二人からはほとばしるような熱い情熱が感じられた。
生田はジュリエットについて「儚さや切ない印象を持っていたが、稽古を積めば積むほど、“強さ”を出さなければいけないとわかった」と、役についての見解を説明していたが、ロミオを見つめる生田の眼差しには確かに強い意志が宿っていた。
最後に披露されたのは古川をはじめ、ベンヴォーリオ役の馬場徹、マーキューシオ役の平間壮一を中心にロック調の激しいビートで青春を歌う「世界の王」。キレの良いスピーディーなダンスで、アンサンブルと共に爽やかに踊り歌う姿に青春の輝きが光る。
古川は囲み取材で「キャストも替わり、新演出によって新しい『ロミオ&ジュリエット』が生まれようとしています。今は良いものを作ろうと一丸となって稽古に励んでおりますので、どうぞご期待ください」と報道陣に強く呼びかけていたが、馬場と平間に囲まれて、踊りながら自然と笑顔をこぼす古川の楽しそうな様子は本作の魅力そのものであるように感じられた。現時点でも本番を迎えられそうなクオリティーであったが、開幕まで1ヶ月を切り、今後の稽古でさらに進化し、ヒートアップしてくのだろう。上演が楽しみでならない。
ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』は、2017年1月15日(日)から2月14日(火)まで東京・TBS赤坂ACTシアターにて、2月22日(水)から3月5日(日)まで大阪・梅田芸術劇場メインホールにて上演される。
なお、エンタステージでは各キャストのインタビューを公開中。さらに今後も新たなインタビューを掲載予定。こちらもぜひお楽しみに!
(取材・文/大宮ガスト)