2012年末に、マンハッタン・シアタークラブで上演され大ヒットを記録、その翌年にはオフ・ブロードウェイに進出し、旋風を巻き起こしたミュージカル『マーダー・バラッド』がついに日本に上陸。兵庫公演を終え、11月11日(金)に東京・天王洲 銀河劇場で東京公演の幕が開いた。開幕前にはフォトコールと囲み会見が行われ、中川晃教、平野綾、橋本さとし、濵田めぐみが登壇した。
本作は、バンドの生演奏と共に全編歌のみで構成される、まるでロック・コンサートのようなソング・スルー・ミュージカルで、登場人物はわずか4名。ニューヨークのダウンタウンを舞台に、官能的な熱気に溢れた愛憎劇が繰り広げられる。
幼い頃に出会ったサラ(平野)とトム(中川)は燃え上がるような恋をする。しかし時が経ち、トムはサラに飽きて別れを告げる。失恋したサラは、詩の博士号を持つマイケル(橋本)と出会い結婚、幸せな家庭を築き、娘のフランキーも産まれた。しかしサラは、次第に毎日同じことを繰り返す生活にうんざりし、トムがダウンタウンに新しくオープンしたというクラブを訪ねるのだった。そして、二人は越えてはならない一線を越えてしまい・・・。
11月6日(日)に兵庫公演を大熱狂の中で終え、ついに迎えた東京公演。中川は「(兵庫公演の開幕時は)お客さんが、緊張感でこわばった感覚があったんですが(物語が進むと)どんどんのめり込んでいく熱気を感じました。4人の演者とバンドで作り上げていく舞台ですが、それにお客さんが入って完成することを実感しました」と手応えを掴んだ様子で、「物語の内容は昼ドラのようですが、バンドサウンドで、とてもかっこいい音楽に乗せてお届けする愛憎劇です」と見どころを語った。
橋本は「この4人が集まることはなかなかない。僕らにしか出せない空気感を堪能してもらいたいです」と、ミュージカルファンにとってはたまらない豪華キャスト陣の共演をアピール。そして、濵田は「新しい形のミュージカルです。ライブ観と共に、我々の熱気を感じつつ、音楽も楽しんでいただけたら。情熱と、テーマにしてはいけないものだらけという90分なので、エグい題材がどのように口コミで伝わり、どのような感覚で帰っていかれるのか、楽しみにしています」と笑顔で語った。
平野も「中毒性のある作品だと思います。怖がらず、どっぷりとこの作品につかってもらいたいです」と自信を覗かせた。平野といえば、これまで清純なイメージの役柄が多く、本作で演じるような妖艶な役は初めて挑戦とも言える。平野自身も「かなりの挑戦です。ここまでキスシーンが多かった舞台はなかったので・・・」と照れたように笑いつつ、「目を反らしたくなるようなシーンも演じたことがなかったので、今までなかった芽を出していこうとがんばっています」と意気込んだ。
この日、公開されたシーンでも、平野の熱演っぷりは強い印象を残した。ボンテージ風の衣装に網タイツという刺激的なファッションで、力強く歌い上げながら、艶っぽい表情を見せる。そこには、女性が見てもドキドキしてしまうような、セクシーさがあった。
ミュージカル『マーダー・バラッド』は11月11日(金)から11月27日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて上演。
(取材・文・撮影/嶋田真己)