演劇集団キャラメルボックスの舞台『また逢おうと竜馬は言った』が、5月28日(土)より東京・サンシャイン劇場で開幕した。本作は1992年の初演以来、4度に渡り再演されてきた同劇団の代表作。開幕前に行われた囲み取材には、出演する岡田達也、大内厚雄、陳内将、三津谷亮、山田悠介、前山剛久、作・演出の成井豊が登壇した。
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約6年ぶり5度目の上演となる今回は「アナザーフェイス公演」。劇団の新たな可能性を探求するため、俳優集団D-BOYSの4人を迎え、BLACK CASTとWHITE CASTのWキャストが組まれた。“キャラメルボックス史上もっとも過酷な主役”と言われる「岡本」役は陳内と三津谷が、「竜馬」役を岡田と大内がWキャストで演じている。
公私共に失敗ばかりの岡本は、事あるごとに愛読書である「竜馬がゆく」を広げ、心の中の竜馬に相談する。ある日、同僚の本郷とその妻・ケイコが岡本のせいで大げんか。離婚騒動にまで発展する。そこで岡本は竜馬のアドバイスのもと仲裁役を買って出るのであったが、ある事件に巻き込まれ、事態は思わぬ展開に・・・。
あらすじだけ読むと突飛な設定に思えるが、「◯◯なら、こんな時どうする?」そんな発想法は誰でも一度は経験あるだろう。岡本にとって、坂本竜馬は“心の師”なのだ。“貧弱で後悔ばかりの岡本”と“強い肉体で高い志を叶えた竜馬”。舞台上にセットで現れる二人のコントラストはいつもユニーク。また、本作の見どころは何と言っても、竜馬の厳しい指導によって自らの殻を壊そうとする岡本の成長だろう。
そこで気になるのは、陳内と三津谷がそれぞれ演じる岡本のキャラクター性である。エンタステージはBLACK CASTのゲネプロを取材したが、岡本の存在感によって作品が全く別物になることが容易に想像できた。
チームごとの違いについて、敵役の時田を演じる前山は「BLACK CASTは“ブラックサンダー”、WHITE CASTは“マシュマロ”」とお菓子に例えた。冗談のような例えだが、「あながち間違ってない」と作・演出の成井。「陳内くんは、役を作り上げていく過程がとても論理的で知的。一方、三津谷くんは感覚的。二人は人種が違うんじゃないかってくらい好対照なんです。500以上ある台詞のうち、同じ解釈のセリフは皆無。今までいろんな二チーム構成の芝居を作ってきましたが、ここまで違うのはなかったんじゃないかな」と、両チームの持ち味を熱く語った。
D-BOYSとのコラボレーションについて、BLACK CASTの竜馬役・岡田は「僕たちは良くも悪くも、成井さんが求めるリズムやスピードが身に染みてまして、台本を読むだけで成井さんの求めることが表現できてしまったりする。その点、D-BOYSの4人は真っさらの状態なので、解釈や表現がとても面白かった」と、刺激的だったことを明かした。
また、苦労した点については、WHITE CASTの竜馬役・大内が「三津谷くんの相手をしているのが一番の大変で、一番の楽しみですね(笑)」と冗談交じりに暴露し、仲の良さを窺わせた。
本作は、岡田や竜馬以外にも愛らしいキャラクターで溢れている。竜馬から“西郷隆盛のようだ”と称される岡田の同僚・本郷を演じる山田は「本郷は男らしい役!そして、本郷には渡邊さん演じる妻のケイコがいるのですが、夫婦問題にまつわるエトセトラみたいなものにも共感していただけたら嬉しいです!」と自身の役の魅力を力説。
最後に、WHITE CASTの岡本役・三津谷は「WHITEチームはお菓子で例えるならマシュマロということで、ソースは見に来てくださったみなさんがかけてくださると思っています。様々な味を楽しんでみてください!」と前山の例えに乗っかりアピール。BLACK CASTの岡本役・陳内も「本番中もお互いの芝居を見ながら、どんどん吸収して、この芝居が更に成長していくことを確信しています!」と意気込んだ。
チラシに「できればどっちも見てほしい!」と書かれていたように、“好対照”と語られる二人の成長、どちらも見逃せない!
キャラメルボックスfeaturing D-BOYS『また逢おうと竜馬は言った』は5月28日(土)から6月12日(日)まで東京・サンシャイン劇場、6月16日(木)から20日(月)まで兵庫・新神戸オリエンタル劇場にて上演。