2016年2月18日(木)より、東京・新国立劇場 小劇場にて『僕のリヴァ・る』が開幕した。タイトルにある『リヴァ・る』とは、rivalのフランス語発音したもの。個人主義の考えが増えゆく現代において、“兄弟”という善くも悪しくも“かけがえのない”存在間の感情を通し、割り切れない人間関係を浮き彫りにする作品となっている。演出は鈴木勝秀、出演は安西慎太郎、鈴木拡樹という若手注目株の二人に小林且弥、山下裕子という実力派が加わった。初日を迎え、演出の鈴木と出演者4名からコメントが届いた。
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◆鈴木勝秀(演出)
今回の見所は「あなたご自身で感じる力」です。舞台上には必要最小限のものしかありません。セリフからも可能な限り説明を排除しました。何よりも「感じて」いただければ、何もない舞台上に、様々なものが見えてくることと思っております。そしてそれは、世界でただひとつのものであるはずです。
◆安西慎太郎
今回のテーマ『兄弟がライバル』。かけがえのない存在。兄弟間の渦巻く感情を精密且つダイナミックに360℃の中で表現していきたいと思っています。今は「面白い作品ができた。」そう思っています。あとはやるだけ。お客様に『僕のリヴァ・る』を観て何かを感じとってもらい、何年経っても頭の中でフラッシュバックされるような衝撃を与えられたらと思っています。楽しみにしていて下さい。
◆小林且弥
『できれば稽古初日には台詞が入った状態でスタートできるといいなあ』という、優しいのか厳しいのかよく分からない使命を与えられ、昨年末から正月返上で始まったこの闘いが、ようやく稽古というチャプターを終え、やっと皆さんにお届けできる日が来ました。四人で紡ぐ『物語』をぜひ楽しみにお越しください。
◆山下裕子
若いエネルギーのある俳優さん三人とご一緒できてゴキゲンでやっております!!チームワークも良くたのしい芝居に仕上がっていると思います。ご期待ください!
◆鈴木拡樹
三本の独立したオムニバス作品をそれぞれ楽しみ取り組んできました。有名な作品をテーマにした作品もありますが、キャストのもつ魅力に応じてかなり変えてあるものもあります。『僕のリヴァ・る』は、観劇後あらたな発見がある作品に仕上がっていると思います。観劇後みなさまにどのような形でこの作品が残るのか楽しみです。
三編の物語によるオムニバス形式として描かれる本作。『はじめてのおとうと』は生まれたばかりの弟ジロウ(小林)その兄タロウ(安西)の、初めてできた兄弟という存在に対する葛藤と微妙な距離感を描いている。
『フィンセントとテオ』は、昭和初期の劇作家・三好十郎の『炎の人』を元に、フィンセント(鈴木)とテオ(安西)、そしてゴーガン(小林)を中心に構成されている。『盲目の弟とその兄』は、オーストリアの作家アルトゥール・シュニッツラーの同名作品(『花・死人に口なし 他7篇』岩波文庫収録)をベースに、子どもの頃弟・ジェロニモ(安西)を失明させてしまい、一生心の傷を抱えて生きる決心をした兄・カルロ(小林)の姿を描く。
四方を客席に囲まれたセンターステージで、じっくりと濃密な演劇空間が生まれる。“依存”となれば憎しみが生まれ、“共存”出来れば2倍の喜びともなり得る「兄弟」という代わりなき存在。『僕のリヴァ・る』は、2016年2月18日(木)より2月21日(日)東京・新国立劇場 小劇場にて上演。
撮影:阿部章仁(4枚目、8枚目除く)