未来、現在、過去を舞台に、最新の映像技術を駆使したSF歴史スぺクタクルミュージカル『DNA-SHARAKU』。2016年1月の公演に先駆けて、稽古場にて公開稽古と囲み取材が行われ、演出・脚本・作詞の小林香、W主演のナオト・インティライミと、若手注目俳優の小関裕太に加え、新妻聖子、坂元健児、田野優花(AKB48)、ミッツ・マングローブ、藤岡正明、Spi、大野幸人、Miz、朝海ひかる、中川晃教、イッセー尾形ら豪華なキャスト陣が登壇した。
物語は2116年、人工知能が支配する日本。感情の高ぶりは同時に争いも生み出して社会を不安定にさせると「創造する心」が否定されていた。人口知能の判断に従って、未来政府は「創造する心」を根絶やしにするため、タイムトラベルで過去に遡り歴史上の優れた芸術家や文化人らの「創造する心」を破壊していた。
そんな中、人工知能が必死に探していたのは謎の天才浮世絵師、東洲斎写楽。人工知能は写楽を探すために2016年に生きる柊健二(ナオト・インティライミ)と2045年に生きる結城連(小関裕太)という二人を1793年の江戸に送り込む。しかし、二人は幕府の出版統制や文化弾圧と戦いながらも「面白いこと」を追求する江戸の人々との出会いによって、「創造する心」を守るために未来政府と戦う事を決意する・・・。
公開稽古ではキャスト陣が一堂に会し、未来、現在、過去の序盤シーンが公開された。特に江戸時代の歌舞伎や花魁道中からの江戸テイストをベースにしながらも、未来、現在、過去が一場面で絡み合うミュージカルシーンは、公開稽古でありながら見応え充分。国内外で多数の広告賞受賞歴を誇る映像集団ライゾマティクスによる最新の映像技術を駆使した舞台美術については、残念ながら公開稽古ではまだ観ることができなかったが、本番がどのようになるのか楽しみなところだ。原案が『天地明察』、『光圀伝』などを著し、アニメ『攻殻機動隊ARISE』のシリーズ構成と脚本を担当する冲方丁ということで、時間軸が複雑に絡み合うストーリー展開にも期待が高まる。
作・演出の小林も、本作について「非常に壮大なスケールのストーリーです。一見、荒唐無稽なファンタジーのように思われますが、決してそうではありません。未来の世界についても人工知能・気候変動・遺伝子操作などの要素を、しっかりと未来予測してミュージカル化しています。こういった話をすると難解なミュージカルと思われるかもしれませんが、エンターテインメントとして歌舞・音曲をふんだんに取り入れた娯楽作品として仕上げています」と会見で語ったように、“SF歴史スペクタルミュージカル”として、演劇ファンだけでなくSFファンにも注目してもらいたい作品だ。
最後に初舞台となるナオトが「お芝居やミュージカルに出演することが夢でした。この作品でようやく夢が叶うという強い気持ちを持ってきました。歌手としての活動、プライドといったものをすべて置いて、稽古場にいつも来ています。皆で一緒に最高の作品を作りたいと思っております」と熱い思いが語り、小関は「物凄く、物凄く、物凄く、三回言うくらい(笑)楽しい要素にあふれている作品です。精一杯がんばります。ぜひ観に来てください」と呼びかけた。
ミュージカル『DNA-SHARAKU』は2016年1月10日(日)から1月24日(日)まで東京・新国立劇場 中劇場、1月28日(木)から1月31日(日)まで大阪・シアターBRAVA!、2月6日(土)・2月7日(日)には福岡・キャナルシティ劇場で上演される。