2015年10月31日(土)から12月6日(日)まで、37日間に渡り開催されている舞台芸術の祭典「フェスティバル/トーキョー15」。その主催プログラムの一つとして、11月26日(木)から11月29日(日)まで、東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて、日韓共同製作による舞台『台風奇譚』が上演される。 本作は、シェイクスピア晩年の傑作『テンペスト』を下敷きにした新作。
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時は20世紀初頭。国を追われた朝鮮の老王族イ・スンは、南シナ海に浮かぶ小島で王国の再建を夢見ながら暮らしている。ある日、自分を追いやった勢力の一人、甥のイ・ミョンと日本の政治家や軍人の一行が船で近くを通りかかると知ったイ・スンは、島に棲む空気の精に命じて台風を巻き起し、一行を自分のもとへとおびき寄せる。ところが、自らの秘術で創りだす幻影の劇で彼らをこらしめるうちに、事態は思わぬ方向に進み、やがて彼は自身が歴史の表舞台から退場する日が迫っていることを知る…。
イ・スン役で主演を務めるのは、『冬のソナタ』でキム・ジヌ役(パク・ヨンハ演じるサンヒョクの父親)など、数多くの韓流ドラマに出演し日本でもなじみの深いベテラン俳優チョン・ドンファン。年老いた王族という役どころで、含蓄のある演技を見せる。
演出は、ポップさと緻密さを併せ持ち、古典から自作のパフォーマンスまで幅広い作品を手がける多田淳之介。作は、細やかな感情表現が光る劇作で知られ、日本との演劇交流にも積極的に関わる韓国の劇団・第12言語演劇スタジオの主宰ソン・ギウンが務める。チェーホフの『かもめ』を日本統治時代の朝鮮を舞台に翻案し、2013年の東亜演劇賞を受賞した『カルメギ』の日韓コンビが、再びタッグを組む。
日韓の歴史と文化の重なりが、シェイクスピアが遺した和解と再生の物語に、”今”を照らし出す―。 富士見市民文化会館 キラリふじみ『台風奇譚』は、2015年11月26日(木)から11月29日(日)まで、東京芸術劇場 シアターイーストにて上演される。また、「フェスティバル/トーキョー15」は、12月6日(日)まで開催。演劇、音楽、ダンス、美術など、多彩なプログラムが用意された一大イベント、この機会に足を運んでみてはいかがだろう。
『台風奇譚』の「台」は正式には「風」に「台」の異体字。
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