2015年8月14日(金)に東京・シアターサンモールにてミュージカル『八犬伝―東方八犬異聞―』が開幕した。本作は、現在漫画雑誌『エメラルド』(KADOKAWA)にて連載中のあべ美幸による人気漫画が原作。脚本を空想組曲のほさかよう、演出・音楽をオリジナルミュージカルカンパニーOne on Oneの浅井さやかが手がけ、壮大なストーリーが展開される。初日に先駆けて行われた公開ゲネプロの模様をお届けしよう。
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5年前に焼失した大塚村の生き残りである犬塚信乃(坂口湧久)、犬川荘介(北村諒)、浜路(田上真里奈)。信乃は、訳あってその身に妖力・村雨(天羽尚吾)を宿し幼い姿のまま時を止め、荘介は村の焼失時に一緒に死んだ犬・四白(美木マサオ)と生命を分かち合ったため犬に姿を変える能力を持つ。お互いを大切に想い暮らしてきた三人だったが、ある日浜路が狐に攫われてしまう。
浜路を追って帝都にやってきた信乃と荘介は、自分たちを待ち構えていた里見莉芳(三上俊)と出会い、浜路を攫ったのは尾崎要(石渡真修)が二人を呼び寄せるために行ったことであり無事であると聞かされる。その後、帝都へ繰り出した信乃と荘介は、犬田小文吾(畠山遼)という青年が笙月院の僧・青蘭(西山丈也)と言い争う場面に遭遇する。兄貴分である犬飼現八(前山孝文)が青蘭に囚われているという小文吾。その頃、帝都には妖を喰らう鬼が出るという噂が…。
信乃役を演じる坂口は13歳という若さで、身体の成長が止まってしまった青年というアンバランスな役を見事に表現している。荘介役を演じる北村との絆は固く、互いを大切に思う眼差しの強さが印象的だ。
信乃の右腕に宿る妖刀・村雨や、荘介の変身する犬の姿、尾崎家の五狐、鬼など、人でない姿の者達の表現からは、舞台ならではの発想とその奥深さを感じられた。登場するキャラクターは多いが、その関係性が丁寧に描かれおり、それぞれが内に抱えた感情を発露する様を音楽が彩っていく。
大切な誰かのために、生きるために、導かれ動き出した運命。原作を知らない方はもちろん、原作ファンも見応えのある作品に仕上がっているため、是非劇場に足を運んでほしい。物語は始まったばかり、今後の展開も気になるところだ。ミュージカル『八犬伝―東方八犬異聞―』は、2015年8月14日(金)から8月23日(日)まで東京・シアターサンモールにて上演中。
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