鵜山仁×浦井健治の名タッグが問題作に挑む! 『トロイラスとクレシダ』

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2015年7~8月、世田谷パブリックシアターと文学座、そして兵庫県立芸術文化センターが共同制作する舞台『トロイラスとクレシダ』が上演される。悲劇と喜劇の間を揺れ動く、シェイクスピア作品の中でも最も分類が難しい “問題劇”とされている本作の演出に挑むのは鵜山仁。そして戦争の中で翻弄されるトロイの王子・トロイラスを浦井健治が演じる。

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ギリシャ悲劇をベースとした本作は、トロイの若い男女・トロイラスとクレシダの恋愛劇と、トロイとギリシャの戦いという二本柱で成り立っている。悲劇的でありながら喜劇的・笑劇的・風刺劇的要素も多く含む点について、ノーベル賞受賞作家ジョージ・バーナード・ショーは、1884年に “皮肉な歴史を描く一方で、悲観的な悲劇を扱い、『ヘンリー五世』と『ハムレット』の間の溝を埋めた”作品であると評価している。

また、古典的でありながら、永遠の愛を誓ったはずが、状況が変われば違う男のものになる“悪女”クレシダをはじめ、登場人物たちはいずれも個性的で現代的。さらに新興勢力によって滅ぼされていく旧体制の無常や、ヒエラルキー・名誉・愛など、人間の根源的価値観も描かれており、今の世の中にも通じる普遍性を含む、実に魅力的な作品となっている。

演出をつとめる鵜山は、日本を代表する演出家の一人であり、シェイクスピア作品の名手でもある。2009年の9時間にわたる大作『ヘンリー六世』(主催:新国立劇場)三部作一挙上演では、翌年の読売演劇大賞の大賞をはじめ、数々の賞を受賞。また2015年1月に文学座の名優・江守徹とともに挑んだ文学座アトリエの会『リア王』は、演劇界の大きな話題となった。

一方、トロイラスを演じる浦井は、今年、33歳の若さで第22回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。鵜山が演出した『ヘンリー六世』で、タイトルロールのヘンリー六世を演じたことが、後年、ストレートプレイとミュージカルの両ジャンルで自在に活躍できる稀有な力の礎になったともいえる。

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本作について、浦井は「『トロイラスとクレシダ』は現代的と言われますが、戯曲自体に「人間は昔から変わらないのかな」と思わせるすごさがあります。物語は破天荒であっても、描かれている役は人間くさくて、普通の感覚の人たちが葛藤する様子が滑稽で笑えるし、悲しくて涙を誘います。シェイクスピアって、きっと人間がものすごく好きだったんでしょうね。シェイクスピア死後400年に歴史をつないでいける一人になれて、幸せを感じています。僕が演じるトロイの王子トロイラスは戦況に翻弄され、クレシダにも翻弄されていく。クレシダ役のソニンさんがどう演じるか、その関係のなかでトロイラスが造形されていくのだと思います」とコメントしている。

この二人に加え、岡本健一、渡辺徹、今井朋彦、横田栄司吉田栄作、そして江守徹など総勢26名のいずれ劣らぬ実力派のキャストが集結。この夏いちばんの話題作となりそうだ。

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『トロイラスとクレシダ』は、2015年7月15日(水)~8月2日(日)まで、東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。チケットは5月16日(土)一般発売。石川・兵庫・岐阜・滋賀にて地方公演あり。

撮影:細野晋司

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