白水社主催の第59回岸田國士戯曲賞の選考会が行われ、最優秀候補作品となる8作のなかから、山内ケンジ(城山羊の会主宰・劇作家・演出家)の『トロワグロ』が受賞した。同賞は、劇作家・岸田國士の業績を顕彰するとともに、若手の劇作家の育成を目的として白水社が主催する戯曲賞。新人劇作家の登竜門とされることから、「演劇界の芥川賞」とも称される。
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今回の選考委員は、岩松了、岡田利規、ケラリーノ・サンドロヴィッチ、野田秀樹、松尾スズキ、松田正隆、宮沢章夫。受賞理由について、岩松は「人間を微細に見つめる姿勢が独自の演劇を生んでいる。最終的には人間の浅ましさを描くことになるのだが、人が“芝居する”必然を観客は知らされることになる。そういう意味で、きわめて演劇的な作品だ」と語り、ケラリーノ・サンドロヴィッチは「我々が日頃交わしている言葉に潜む危うさと日本人が隠しもつ卑小さを、粘着質な筆致で見事に描ききった山内ケンジ氏の「トロワグロ」が受賞しました。ラストは蛇足とも感じましたが、随所に仕掛けられた悪意たっぷりの笑いも圧倒的でした」とコメントしている。
授賞式は4月27日(月)18:00から東京 神楽坂・日本出版クラブ会館にて行なわれ、正賞として時計、副賞として賞金20万円が贈られる。