日本を代表する世界的作家・村上春樹の長編小説「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」が、フランスの鬼才フィリップ・ドゥクフレの演出・振付、実力派俳優・藤原竜也の主演で舞台化されることが決定した。2026年1月に東京芸術劇場プレイハウスにて開幕し、その後、宮城、愛知、兵庫、福岡でのツアー公演も予定されている。
村上春樹の代表作の一作を藤原竜也主演で舞台化!
本作は、村上春樹が1985年に発表し、谷崎潤一郎賞を受賞した代表作の一つ。“世界の終り”と“ハードボイルド・ワンダーランド”という二つの異なる物語が並行して展開し、読む者を唯一無二の世界観へと誘う。刊行から40年近く経った今もなお、国内外で多くの読者を魅了し続けている名作だ。
主演を務めるのは、演劇界・映画界で常に第一線を走り続ける藤原竜也。15歳で故・蜷川幸雄演出の舞台『身毒丸』で鮮烈なデビューを飾り、以降数々の話題作に出演。本作で初めて村上春樹作品に挑み、新たな境地を切り開く。
演出・振付を手掛けるのは、フランスを代表する世界的アーティスト、フィリップ・ドゥクフレ。アルベールビル冬季オリンピックの開会・閉会式の演出で世界を驚かせ、自身のカンパニー「DCA」での作品発表のほか、シルク・ドゥ・ソレイユの演出など、ジャンルを横断して活躍。演劇、ダンス、サーカス、映像などを自在に操るドゥクフレが、村上春樹の複雑で幻想的な世界をどのように舞台上に立ち上げるのか、期待が高まる。
出演者続報、配役、およびチケット販売情報などは後日発表される予定だ。
フィリップ・ドゥクフレと藤原竜也からコメント到着!
◆フィリップ・ドゥクフレ(演出・振付)
私にとって日本は、心地よく過ごせる大好きな国です。そんな日本で、ホリプロからお声がけいただき、同社との3作目となる作品に取り組めることを、たいへん嬉しく思っています。
そして今回、世界的に高く評価され、日本を代表する作家村上春樹氏の小説「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を舞台化する機会をいただき、心から光栄に思っています。物語性にあふれ、独自の世界観を持つ村上氏の小説は、読む者の想像力を大きくかき立てます。
異なる世界を行き来しながら展開する想像力に満ちたこの小説を舞台化するという大きな挑戦に、私は圧倒されました。最初に物語を読んだときは、「これを舞台化するなんて到底無理だ」とすら感じたほどです。もちろん、ジャンルを横断することが好きな私は、そこに大きな魅力を感じてもいましたが。
そんな”不可能を可能にする″このプロジェクトに取り組めることに、今、胸が高鳴っています。――演劇であり、ダンスであり、音楽であり、視覚芸術であり、そしてどの枠にも収まらないような舞台……。
実験的な芝居、歌のないミュージカル、フィルムを使わないファンタジー映画。
小説に登場する南のたまりや壁が命を持ち、光の中でユニコーンが踊るシュールなバレエ。
影が持ち主から切り離され、「やみくろ」が暗闇の中でうごめく世界。
この多層的な小説は、私たちの想像力の翼を大きく広げてくれます。
この世界に、皆で喜びとともに没入できることを、心から願っています。
同じ本を読んでも、読者それぞれが異なるイメージを抱くことがあります。文学の魅力のひとつは、読む人の関心や文化に応じて、誰もが自分なりの入り口からその世界に入っていけること。私は、映像、動き、音を通して表現するアーティストです。この壮大なプロジェクトを、私自身の感性と文化を通じて導いていきたいと思っています。
ホリプロが結成してくださったチームを、私は心から誇りに思っています。各分野で最もこのクリエイションにふさわしい、才能あふれる人材が選ばれました。俳優、ダンサー、プランナー、制作チーム–作品づくりに必要なメンバーは、すべて揃いました。
あとは、この巨大なパズルのピースをひとつひとつ組み合わせ、最高の舞台を一緒に創り上げるだけです。
さあ、モーター、アクション!
◆藤原竜也(主演)
10年前、蜷川さんとの2度目のハムレットでロンドンの舞台を踏んだあと、同じ劇場で連続上演された蜷川さん演出の『海辺のカフカ』を客席から観たのが村上作品との出会いでした。自分自身、村上ワールドに引き込まれたのはもちろんですが、世界中から集まった満席のお客様が時には声をあげて笑いながら、舞台に興奮していた様子を今も覚えています。
今回、世界的作家である村上春樹さんの初期の大傑作の舞台化に参加させていただけることは、大変光栄です。演出家のフィリップ・ドゥクフレさんのダンスカンパニーの公演がソウルで上演されると聞き、弾丸で観に行かせていただきました。そのパフォーマンスは独創性溢れるもので、観客を喜ばせるアイデアの連続でした。終演後フィリップさんにお目にかかり、そのお人柄にも惹かれました。自分はダンサーではありませんが、もし稽古場でフィリップさんからダンスを求められたら、「お手柔らかに」とフランス語でお答えします。
今回の作品、俳優人生のターニングポイントになるかもしれません。驚くような舞台にしますので、ぜひ皆様にご覧いただきたいです。
舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』あらすじ
“世界の終り”と“ハードボイルド・ワンダーランド”という二つの世界が同時進行で描かれる。
二つの物語が織りなす、思いもよらない結末とは――。
・世界の終り
周囲が高い壁に囲まれた街に“僕”はやって来た。街の人々は一見平穏な日々を過ごしている。僕は街に入る際に影を切り離され、いずれ“影”が死ぬと同時に心を失うと知らされる。僕は古い図書館で美しい少女に助けられながら一角獣の頭骨に収められた夢を読む仕事を与えられていたが、“影”から街の地図を作成するよう頼まれる。影は街から脱出する方法を模索していたのだ。僕は地図を完成させるために、図書館の彼女や大佐、発電所の青年から話を聞き、街の正体を探るのだった。
・ハードボイルド・ワンダーランド
“組織”に雇われる計算士である“私”は、依頼された情報を暗号化する「シャフリング」という技術を使いこなす。ある日私は謎の博士に呼び出され、博士の孫娘の案内で地下にある彼の秘密の研究所に向かい、「シャフリング」を依頼される。博士に渡された贈り物を開けると、そこには一角獣の頭骨が入っていた。私は頭骨のことを調べに行った図書館で、心魅かれる女性司書と出会う。だが博士は研究のために、私の意識の核に思考回路を埋め込んでいた。世界が終るまでの残された時間が迫るなか、私は地下世界から脱出し、どこへ向かうのか。
舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』公演情報
【東京公演】
2026年1月 東京芸術劇場プレイハウス
※宮城・愛知・兵庫・福岡にてツアー公演予定
<スタッフ>
原作:村上春樹
演出・振付:フィリップ・ドゥクフレ
脚本:高橋亜子
<キャスト>
藤原竜也 ほか
【公式サイト】https://horipro-stage.jp/stage/sekainoowari2026/
【公式Instagram】https://www.instagram.com/sekainoowari_stage/