『フラッシュダンス』愛希れいか&廣瀬友祐が痛感した“表現者”としての幸せ

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2020年9月から10月にかけて、東京、名古屋、大阪で上演される日本初演のミュージカル『フラッシュダンス』。1983年に公開され、世界中で1億ドル以上の大ヒットを記録した伝説的アメリカ青春映画『フラッシュダンス』を、1980年代を代表するヒットソングの数々に乗せてミュージカル化した本作は、大迫力のダンスによって夢見る少女・アレックスの夢、友情、恋の物語を描いた名作が、日本初上演される。

プロダンサーを夢見て近所のバー“ハリーズ”でダンサーとしをしながら練習に励む少女・アレックス役を演じるのは、本作が宝塚退団後初の単独主演作となる愛希れいか。アレックスの働く製鉄工場の親会社ハーレイスティール社のハンサムでおしゃれな次期社長のニック・ハーレイ役の廣瀬友祐と共にインタビューし、本作への意気込みやお互いの印象、二人にとっての“青春”についてなどを聞いた。

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――本作は、これが日本初上演となりますが、出演が決まった時のお気持ちを教えてください。

愛希:私はこの上演が決定していることをまったく知らない時期に、ミュージカルを観ていたんです。出演が決まった時はご縁を感じました。ダンスがもともと好きだったので、思いっきり踊れることが楽しみで。宝塚ではショーがあるので踊ったりしていたのですが、退団してからはそういう機会があまりなかったので・・・。なので、このお話をいただけて本当に嬉しかったです。

海外カンパニーのミュージカルを観た時に、ダンスシーンしかないのでは?と思うくらいダンスの印象が強くて、ダンサーの方もみんなアクロバットしていたりとすごかったんです。感動した分、そういう面で自分にできるだろうかと少し不安ですが、がんばりたいと思います。

廣瀬:毎回、仕事をいただけること、必要とされていることを実感する時がこの仕事をやっていて幸せを感じる瞬間の一つなので、とにかく嬉しかったです。『フラッシュダンス』に出演できるということ、その主役が愛希れいかさんで、一緒に作品作りができるということでさらに喜びが増しました。

――廣瀬さんもダンスシーンはあるんでしょうか?

廣瀬:正直、無いと願っているんですが(笑)。

愛希:カーテンコールであるかもしれないって聞きましたよ。

廣瀬:そうなんだ(笑)。でも『ウエスト・サイド・ストーリー』Season2に出させてもらってからダンスに対する意識が変わってきてはいて・・・。「踊ることは楽しいことだ」と思える部分が僕にも芽生えたので、もし踊るシーンがあれば本番には楽しみながらステージに立てるように、愛希さんに教えてもらいながらがんばりたいと思います。

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――お二人はご共演経験がありますよね。お互いのご印象は?

愛希:ヒロさんとは、『ファントム』(2019年)で初めてご一緒しました。お芝居がすごくお好き方なんだな、というのが印象的でしたね。舞台で悩んでいることを相談させていただいていたのですが、ヒロさんのアドバイスで「あ、そっか」と道が開けたことが何回もあったので、こういう形でまたご一緒出来ることがすごく嬉しいです。ヒロさんはすごくユーモアがあって、気が合う方だなと思っています。一緒にいて楽しいですし、また同じ作品を作ることができて本当に嬉しいです。

廣瀬:初めての方とお仕事するのはすごく緊張するので少し苦手なんですけど、愛希さんちゃぴちゃんは『ファントム』で共演しているので、その点では気が楽だなと。僕もまた共演出来て本当に光栄です。直接言ったことあるんですけど、彼女のセンスにすごく魅力を感じていて、一緒に仕事している中で「今悩んでるのかな」「やっぱそういくよね」など勝手に分析したりしていたんですよ。どんなに悩んでも最終的に素晴らしいものに仕上げていく方なので、今回は足を引っ張らないようにしたいと思います(笑)。

――4月から6月にかけてステイホーム期間がありましたが、その間に舞台に対する思いなどは変わりましたか?

廣瀬:とてもありましたね。

愛希:はい。

廣瀬:ネガティブとポジティブを繰り返す日々でしたが、最終的には“舞台”が好き、“表現”することが好きという気持ちを再認識しました。一人では何もできなくて、誰かに協力してもらいながら支えてもらいながら、見てくれる人がいなければそういう自分は存在できない。自分の好きな気持ちもあるけれども応援していてくださる方がいて、こんな状況でも見たいと、会いたいと言ってくださる方がいる喜びをすごく痛感しました。

そして、僕にとってもそうですが、舞台という場所が特別なんだと思ってくださる方がこんなにもいるので、“エンターテインメント”はやっぱりなくならないなと思いました。形は変わっていくけど変わらないもの。当たり前が当たり前じゃなくなったとみんなが感じている中、無事にこのステージに立つことができたら、一番感謝する日になるかもしれないです。

愛希:私も表現することが好きだったんだな、改めて感じることが出来ました。その場所が無くなっただけで、「自分って何なんだろう」と思ってしまう。それ以外にやりたいことが見つからなくて、やっぱりこの仕事が好きなんだなと思いました。「観たい」と言ってくださる方、お客様なしでは自分は成立しないとすごく痛感しましたし、中止になってしまった舞台の分の思いをこの作品にぶつけたいなと思っています。

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――本作では大人の“青春”が描かれますが、お二人にとっての青春と言えばなんでしょうか?

廣瀬:僕はサッカーですね。大学までサッカーをやっていたんですけど、特に高校時代は“青春”だったかなと。高校3年生の最後の大会で負けて終わっちゃって・・・試合に出られなくてベンチにも入れなかったメンバーが応援してくれていたんですけど現地解散だったんです。レギュラーメンバーは一旦バスに乗って学校に帰って後片付けをしてお開き、という予定だったんですけど、学校に着いたら応援していたメンバーがグラウンドで待ってくれていて・・・。その瞬間、青春だなって。

『学校へ行こう!』だったら「青春の輝き」が流れてスローモーションがかかるような感じ。みんな駆け寄っていって、試合に出て勝てなかったメンバーは「ごめん」って謝っているんだけど、「お前らはよく頑張ったよ」って声をかけてくれてグラウンドの真ん中でみんなで抱き合っていました。

愛希:まさに青春ですね!私は宝塚時代ですかね・・・あとは、バレエをやっていた頃。バレエをやっていた時はよくコンクールに出ていたんですけど、私だけ全然賞が取れなくて自主練をいっぱいしていたんです。これで最後にするって決めて出たコンクールで取れたのが努力賞。そこでバレエの道は諦めたんですけど、でもあの時にコンクールのために朝から晩まで踊って、学校ある日も放課後はずっとバレエ教室通って、というのはすごい青春だったなと思います。すごく懐かしいです。

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――思いっきり舞台で踊る愛希さんと、舞台に立つ感覚を噛みしめる廣瀬さんのお姿が見れることを楽しみにしています。

廣瀬:いろんな危険は伴いながらも、もし無事に開幕出来たら、観に来てくださった方に「これがずっとほしかったんだよ!」と思ってもらえるような瞬間になればいいなと思っています。とにかく愛希れいかさんに注目です!僕自身もどんなアレックスが観られるか楽しみで。自分自身がそれどころじゃなくなるかもしれないですけど(笑)。何とか舞台の真ん中で輝く愛希れいかさんを、違った方向からも光を与えられるようにがんばりたいと思います。

愛希:とにかくがんばります!観に来てくださった方に「楽しかった!」「元気出た!」と言ってもらえたら何よりです。いろいろ皆様も不安なことがあると思いますが、1日も早く収束することを願って、今は自分が出来ることを、しっかりとがんばりたいと思います。

公演情報

ミュージカル『フラッシュダンス』
【東京公演】2020年9月12日(土)~9月26日(土) 日本青年館ホール
【名古屋公演】2020年10月3日(土)~10月4日(日) 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
【大阪公演】2020年10月8日(木)~10月11日(日) 梅田芸術劇場 シアタードラマシティ

【日本版脚本・訳詞・演出】岸谷五朗
【脚本】トム・へドリー&ロバート・ケイリー
【音楽】ロビー・ロス
【作詞】ロバート・ケイリー&ロビー・ロス

【出演】
アレックス・オーウェンズ役:愛希れいか
ニック・ハーレイ役:廣瀬友祐
グロリア役:桜井玲香
ジミー役:福田悠太(ふぉ~ゆ~)
C.C.役:植原卓也
キキ役:Dream Shizuka
テス役:石田ニコル

ハリー:なだぎ武
ルイーズ/ミス・ワイルド(二役):秋園美緒
アンディ役:松田凌
ジョー役:大村俊介(SHUN)

ハンナ役:春風ひとみ

原田治、飯田一徳、穴沢裕介、HILOMU、杉山真梨佳、井出恵理子、美麗、織里織、輝生かなで

【公式サイト】http://flashdancethemusical-jp.com/
【公式Twitter】@FLASHDANCEJP

チケット購入はこちら:https://db.enterstage.jp/archives/1532

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 3号)

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