2020年7月6日から、動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で生田絵梨花主演、柿澤勇人、斉藤慎二、シルビア・グラブ、橋本じゅん出演のミュージカルドラマ『とどけ!愛のうた』が独占配信されている。本作が連続配信ドラマ初主演となる生田にインタビューし、本作を通して学んだ事やお気に入りの楽曲などを聞いた。
本作の舞台は今の日本。新型コロナ感染拡大のために自粛生活を送る中、ゴールデンウィークを翌日に控えた4月24日金曜日、町の小さな印鑑屋、真壁印章の社員たちに突然「リモート飲み会」のメールが届いたところから始まり、それぞれが抱えていた“思い”が自粛期間、そしてリモート飲み会をきっかけに動き出していく・・・という物語が展開される。
最初に本作のオファーを受けた際、「前代未聞だなって」と思ったという生田は、「映像とミュージカルの融合したものにいつか参加してみたいという興味はあって、まさかこのタイミングで実現するとは想像もしていなかったのですが、うれしかったです」と喜んでいた様子。しかし、白紙の状態から2ヶ月で作り上げていくという前代未聞な企画ということもあり、「お話し聞いた時や楽曲と台本いただいて稽古に入った時も正直、『できるのかな』って(笑)」と戸惑っていたようだが、「私たち出演者も制作陣の方も初めての試みだったので、探り探りながら情熱をもっていろんなことを乗り越えて、撮影が終わったあとに「本当に楽しかったね」ってみんなが晴れやかな顔で言えるくらいすごくいい現場だったなと心から思います」と撮影を振り返る。
恋愛に対して奥手なところがあり、好きな人の前では素直になれない女性・希奈梨を演じる生田。ミュージカルでは海外が舞台の作品でに出演することが多く、恋に“キャピキャピ”するような等身大の役は新鮮に感じるが、そのことについて「そうですね、希奈梨ちゃんみたいにコロコロ表情が変わったり、すごく身近な話だから親しみやすい子でいなきゃいけないと思ったし、その点でどうしようってすごく悩んだんですけど、橋本じゅんさんにお芝居の相談をして『今回この画面の枠の中で切り取られるし、シチュエーションがガラガラ変わっていくわけじゃないから、ちょっとアニメっぽい意識をしたらいいのかもね』と言われて『なるほど』と思ったんです」と明かした。
また、「今まで声の表現とか抑揚をメインに考えることってあまりなくて・・・感情や人と接して相手から受け取るものを返すという考え方だったんですけど、今回は感情がありつつも声の高低差というか、驚いた時にはパッと高い声が出て、モノローグで今度は低めの地に足ついた感じで言葉を発してみたりしました。耳で聞いて印象に残るような意識というのはすごく勉強になったし、映像においても大事なことなんだなというのを学びました」としみじみコメント。
生田は本作の撮影が終わった後、『乃木坂46時間TV アベマ独占放送「はなれてたって、ぼくらはいっしょ!」』を挟んですぐに『TOHO MUSICAL LUB.』の稽古に入ったとか。こちらの作品も稽古に入って2週間で製作発表会見が行われ、これまた短期間で楽曲披露できるほどの仕上がりに。今回のように短期間で作品作りしていく中で、意識したことについて聞くと「今回すごく思ったのが、今まで例えば歌に関してとか台本に関して、与えられた楽譜や台本を覚えるという作業はもちろんしていたんですけど、『ここどういう意味なんだろう』『どうやって歌ったらいいんだろう』というのを結構演出家さんたちに頼ってしまっていたなと」と思ったんだとか。
そして、「だけど今回は時間がない中でまず自分で考えるというのをやったなと思うんです。自分で考えて、考えたことで疑問が生まれて、その疑問を一緒に相談して解決する、共有するっていう、そこがすごい大事なんだな、本質なんだなというのをすごく学んだし、やっぱり作品のメッセージを伝えるのに大切な作業だなと改めて認識できました」と語り、「そういう向き合い方はこれを機に変わっていくんだろうなと思いました」としみじみ。
さらに今回は、作曲・編曲を服部隆之、作詞を森雪之丞、そして生田の他、柿澤、斉藤、シルビア、橋本が出演という“本気”を感じさせる布陣に。生田も「私も『本気なんだな!』と思いました(笑)」と興奮し、「タイトなスケジュールで作り上げていってるけど、出来上がった曲や歌詞をみるとそこにしっかり思いが感じられるんですよね。それこそタイトルにあるように『とどけ!』という思いが強くて。実際に撮影している時も音楽に心を持っていってもらう瞬間とか、感情を連れていってもらう瞬間を今回感じたので、そんな熱がこもったものが皆さんに届いたらいいなと思いますね」と語った。
劇中では、リプライズなども含めて全8曲が披露されるが、その中で特に気に入っている楽曲について生田は「本当に全曲素晴らしいんですよ。選べないくらい良くて・・・でもやっぱり一番最後の『みんな空をみてた~リプライズ~』は、ドラマのテーマ曲になってる『みんな空を見てた』に、それでまで歌った楽曲の様子も加わった総集編みたいな感じでメドレーになっていくところがあって。それを初めて聴いた時にすごいなと思ってゾワッとしたし、カーテンコールみたいな感じでみんなで撮っているので、全体の振り返りみたいなすべての思いがつまったような楽曲になっているので、ぜひ皆さんに聞いていただきたいです」と楽しそうに教えてくれた。
◆配信情報
オリジナル連続ミュージカルドラマ『とどけ!愛のうた』
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」にて独占配信中
【作曲・編曲・音楽監督】服部隆之(※『隆』は、「生」の上に「一」が入ります)
【作詞】森雪之丞
【脚本】伊藤正宏
【企画・プロデュース】服部英司(TBS)、遠藤学(東宝)
【総合演出】服部英司
【演出】服部英司、斉藤崇、藤野大作、伊藤雄介
【出演】生田絵梨花、柿澤勇人、斉藤慎二、シルビア・グラブ、橋本じゅん
(取材・文/エンタステージ編集部 3号)
(C)Paravi