アイドルグループGANG PARADE(通称:ギャンパレ)と磯村勇斗が、根本宗子が手掛ける初のミュージカルに挑んだ『プレイハウス』が、2019年11月30日(土)18:00よりWOWOWライブにて放送される。放送に向け、エンタステージでは根本と磯村のオフィシャルインタビューを紹介。まずは根本に作品を振り返ってもらった。
――今回の設定に行き着いたのは?
行き着いたというほど、あまり私の中で経緯がなくて。自分の中で、私は設定がすごく大事な作家ではなくて、あの女の子たちの会話を書くにあたって、女の子がたくさんいる中で一人一人のキャラが書きやすくて、なおかつ、GANG PARADEの普段の感じを入れられるという場所がやっぱり楽屋で。楽屋にいる時って、普段みんなペチャクチャ喋っているので、それに近い状況は何がいいかなということで、バックヤードものにしようっていうのはありました。その中でGANG PARADEの持っているカラーと、全員で風俗嬢の役をやるというのが、なかなか普通だと出来ないのですが、GANG PARADEはそれを快く引き受けてくれるグループだったので。それが最初のきっかけですかね。
――GANG PARADEの印象から役に反映しているものは?
とてもあります。全員と一緒にご飯を食べて、結構な時間をかけて話を聞いたんですけど、すごくたくさん自分のことをしゃべってくれました。もちろん言いたくないことは言わなくていいし、人に言える範囲の話で最近あった嫌な話とか、どういう家で育ったとか、そういう話を聞かせて欲しいみたいなことを言ったら、みんないろいろ教えてくれて、メモが追いつかないぐらいの量が出てきました。その中で、そのままエピソードを書くということじゃなく、普段のあてがきの仕方も、その人が持ってる、その人が経験してきた感覚と近い何かを私が書いて、その時の気持ちに近い感情で演じてくれ、みたいな形で。今回は10人が初めてお芝居をするという結構チャレンジングな企画だったので、その時話してくれたエピソードの気持ちでちょっとここやってみて、みたいことを稽古で言いやすいように(台本を)書いていったという感じですね。
――磯村さんの魅力、そして磯村さんが演じる聖夜の魅力は?
磯村さん自身はすごくお芝居に対して真摯な方で、一見ラブコメみたいな、ちょっとコメディぽい舞台ですけど、シーンにポイントポイントで聖夜が出てくるので、ずっと出ているというよりは、そのポイントポイントでしっかり聖夜の情報をお客さんに出していくのはどうしたらいいか?みたいなことを稽古終わりに話したりしてくださる方だったので、一緒に作るのはすごく楽しかったです。今、とっても勢いがある俳優さんじゃないですか。やっぱり瞬発力がものすごいですよね。ここを変えて欲しいとか、こういう印象をお客さんに持たせたいシーンだ、みたいなことを言った時に、今までやってきたものを、割とパンって捨ててくれるというか。「じゃあこれでどうだ?」みたいに瞬時に変えていってくれる俳優さんだったので、稽古がタイトだったんですけど、磯村さんだから上手くいったなというのがあります。
――常に新しいことをやりたいという気持ちはどこから?
私、あまり賞が欲しいとかいう欲のない人間なんですけど、評価される演劇、受賞する演劇となると、ちょっと普通の人からすると難しいような、硬派なものが貰う印象が強くなってきている気がしていて。そうではないのもあるかもしれないですけど、その中で、そもそも演劇は何でもやっていいはずで、別に台詞がないものを演劇と呼んでもいいので「何でもやっていいはずだったじゃん」みたいなことを皆と確認するために、新しいことやっているというような気持ちが近年強いです。今回、こういう演目をやって、これも演劇だし、何でもやっていいはずですよっていうのを自分の中で忘れないように、新しいことをやってるというのが強いのかなと。それと演劇を観たことない人を劇場に呼びたいという気持ちが一番強いからかもしれないですね。演劇やっている人が観ればおもしろいけど、普通の人が観たら、何だろうな?と思っちゃうみたいなものもやっぱりあるので、そうじゃないところでお客さんとの架け橋になれたらいいなと思い、作っているものも多いです。
――この作品をキーワードで表すと?
ミュージカルではないですけど、私なりのミュージカル。私とGANG PARADEがやると“こうなった”というものですけど、演劇とライブの間ですかね。私はこういうものを観たことがないので、そこを楽しんでもらえたら嬉しいし、こんなのありなんだなと思って欲しい感じです。
◆公演情報
PARCOプロデュース2019『プレイハウス』
放送日:11月30日18:00~ WOWOWライブ
【東京公演】2019年8月25日(日)~9月1日(日) 東京芸術劇場 プレイハウス
【大阪公演】2019年9月28日(土) 森ノ宮ピロティホール
【作・演出】根本宗子
【音楽】GANG PARADE
【音楽監督】益田トッシュ
【振付】MARIE(東京ゲゲゲイ)
【出演】
GANG PARADE(カミヤサキ、ヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ユイ・ガ・ドクソン、ココ・パーティン・ココ、テラシマユウカ、ハルナ・バッ・チーン、月ノウサギ、ナルハワールド)/磯村勇斗/栗原類、鳥越裕貴、富川一人、ブルー&スカイ、猫背椿
【あらすじ】
思っていることを口にするのが苦手で、頭の中の“リトル”自分としか本音を話せないミキ(ヤママチミキ)は、歌舞伎町のニュー風俗「プレイハウス」で働く風俗嬢。そこに、歌舞伎町ナンバーワンホストの聖夜(磯村勇斗)が来店し、ミキを指名する。閉店後、聖夜の部屋に呼ばれ、期待に胸を膨らませるが、聖夜はすぐに眠ってしまい、朝を迎える。聖夜に対して初めてのときめきを感じるミキだったが、それからも良い雰囲気になっても何もしてこない聖夜に不安は募る。そして、あるきっかけでそれは爆発し・・・。
(文・写真/オフィシャル提供)