今、新幹線の中で書いています。というのも夏から秋にかけては日本各地で「演劇祭」がたくさん開催されています。週末になると、富山へ、兵庫へ、京都へ、東京へと全国行脚!・・・したいところですが、身体は一つ。時間も有限。となると、舞台情報とにらめっこしながら観たい演目を選ばなければなりません。
というわけで、今回は厳選の10作品をご紹介します!
できるだけ幅広いジャンルから集めてみましたので、舞台の世界を広げるご参考になれば嬉しいです。
※掲載は上演順です
(ライター/河野桃子)
【演劇】蓬莱竜太書下ろし、小学生の“団地大河バトル”
Sky presents『渦が森団地の眠れない子たち』
【東京公演】10月4日(金)~10月20日(日) 新国立劇場 中劇場
【鳥栖公演】10月26日(土)・10月27日(日) 鳥栖市民文化会館
【大阪公演】10月29日(火)・10月30日(水) 森ノ宮ピロティホール
【名古屋公演】11月1日(金)~11月4日(月) 御園座
【広島公演】11月7日(木)・11月8日(金) JMSアステールプラザ
【仙台公演】11月16日(土)・11月17日(日) 多賀城市民会館
公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/uzugamori2019/
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藤原竜也さんや鈴木亮平さんらが小学生を演じる!?演劇だから、大人が思いきり子どもを演じられるというおもしろさを味わえる一作。100%の力でステージを駆け回る俳優たちは、声も身体も大人だけど、本物の子どものようです。彼らの懸命さはかわいくて、おかしい。しかし、笑えるだけが蓬莱竜太さんの作・演出の魅力ではありません。蓬莱さんの戯曲には、言葉にならない息苦しさと、そして救いがあります。いつも全力の子どもの世界を通してこそ、見える風景があるでしょう。
【ミュージカル】子どもの頃からの友情とは・・・
ミュージカル『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』
【大阪公演】10月4日(金)・10月5日(土) 新歌舞伎座
【東京公演】10月9日(水)~10月16日(水) よみうり大手町ホール
【水戸公演】10月19日(土)・10月20日(日) 水戸芸術館ACM劇場
【名古屋公演】10月29日(火) 御園座
公式サイト:https://horipro-stage.jp/stage/soml2019/
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書店員のアルヴィンが突然死んだ・・・。人気短編小説家のトーマスは、幼馴染の弔辞を読むために故郷へ帰って来ます。しかし、葬儀を前にしても、アルヴィンへの言葉が思い浮かびません。すると、死んだはずのアルヴィンが現れて弔辞を手伝おうとするのです!
田代万里生さんと平方元基さんの二人芝居。ミュージカル大国であるブロードウェイと韓国でも大ヒットし、日本初演が待ち遠しかった舞台です。2009年『ドラマ・デスク・アワード』ミュージカル部門で作品賞を含む4つの賞にノミネート。二人の俳優が、二人の登場人物どちらも演じるので、楽しみも2倍!
【音楽劇】井上芳雄が小林多喜二役、井上ひさしの遺作
こまつ座&ホリプロ『組曲虐殺』
【東京公演】2019年10月6日(日)~10月27日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪公演】2019年11月8日(金)~11月10日(日) 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
【松本公演】2019年11月17日(日) まつもと市民芸術館 主ホール
【富山公演】2019年11月22日(金) オーバードホール
【名古屋公演】2019年11月30日(土)~12月1日(日) 御園座
公演詳細:https://horipro-stage.jp/stage/kumikyoku2019/
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井上ひさしさんによる最後の戯曲『組曲虐殺』。2009年の初演から小林多喜二役を演じてきた井上芳雄さんが、井上ひさし没後10年目の今年、再々演にてふたたび舞台に立ちます。小林多喜二は、小説『蟹工船』などで過酷な労働について訴え、29歳で特別高等警察の拷問によって亡くなりました。その生涯を、彼を取り巻く人々との日々を中心に描いた作品です。これまで石原さとみさんが演じていたヒロイン役は、上白石萌音さんにバトンタッチ。優しく芯の通った井上戯曲の再来に期待が高まります。
【ギリシャ悲劇×歌舞伎×ダンス】蘇る古典!
シアターコクーン・オンレパートリー2019 DISCOVER WORLD THEATRE vol.7『オイディプス』
10月7日(月)~10月27日(日) 東京・東京・Bunkamuraシアターコクーン
公式サイト:https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/19_oedipus/
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2400年前から上演され続けてきた古典『オイディプス王』を翻案し、現代につながる残酷かつダイナミックな人間ドラマとして構築された舞台です。ギリシャ悲劇を演じるのは、市川海老蔵さん。海老蔵さんとって、10年前ぶりの現代劇になります。その他の出演者として、黒木瞳さんや森山未来さんほかダンサーたちが集結。演出は、シアターコクーンで続く海外演出家とのシリーズとして、英国のマシュー・ダンスター氏が務めます。ギリシャ悲劇に歌舞伎とダンスの要素が融合させる本作、どんな舞台表現になっているのでしょう・・・!
【フェスティバル】世界中の舞台芸術が集まるフェスより注目演目を紹介
東京芸術祭2019より
『Q』『BLIND』『三人姉妹』『我輩は猫である』『暴力の歴史』ほか
詳細:https://tokyo-festival.jp/2019/
9月21日(土)~11月23日(土)、豊島区池袋エリアを中心に開催されているフェスティバル「東京芸術祭2019」。国内外の様々な作品が上演されていますが、10月に上演される作品の中で注目したいのが・・・野田秀樹さん最新作『Q:A Night At The Kabuki』(8日~)、ダンスとパペットによるダーク・ファンタジー『BLIND』(17日~)、全編手話の『三人姉妹』(18日~)、80名出演の野外劇『我輩は猫である』(19日~)、パリで起きたレイプ事件をもとにしたドイツ劇『暴力の歴史』(24日~)など。ほかにもいろんな演目がありますので、ぜひ好みのものを探してみてください!
『Q』『BLIND』『三人姉妹』『我輩は猫である』『暴力の歴史』
【演劇】ワンシチュエーション・コメディの傑作!
『キャッシュ・オン・デリバリー』
10月10日(木)~10月14日(月・祝) 東京・品川プリンスホテル クラブeX
公式サイト:http://cash-on-delivery.scissors-blitz.com/
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英国コメディを楽しむのにぴったり?!イギリス人を代表する劇作家マイケル・クーニーの代表作『キャッシュ・オン・デリバリー』。ロンドンに住むエリック(佐野瑞樹さん)は、会社をクビになったことを妻に打ち明けられず早2年。なんとか打ち明けようとするも、嘘が嘘を呼び、話はこじれて、どんどんとんでもないことに・・・!エリックの自宅を舞台に、それぞれの思惑とアクシデントが絡み合うドタバタワンシチュエーション・コメディの傑作。
小田島恒志さんの翻訳をもとに小田島創志さん(恒志さんの息子さん)が脚本を改稿し、元吉庸泰さんが演出を手掛けるなど、舞台を愛する若いクリエイターたちの仕事も楽しみです。上演時間は約140分を予定。もう何も考えず笑いたい!
【演劇】インターネットが身近になってきた現代にこそ観たい
『THE NETER(ネザー)』
【東京公演】10月11日(金)~11月2日(土) 東京グローブ座
【大阪公演】11月7日(木)~11月10日(日) 森ノ宮ピロティホール
公式サイト:https://www.thenether2019.jp/
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北山宏光さん2年ぶりの主演舞台を、瀬戸山美咲さんが演出します。インターネットが発達した近未来の仮想空間<ネザー/NETHER>を舞台に繰り広げられる物語。ネザーで おこなわれる犯罪を取り締まる捜査官・モリスは、原作と違い男性という設定に変更されました。
今、インターネットをもう一つの居場所ととらえる人々も増えている中、改めて考えたい人間の欲望や倫理の危うさ。英国The Royal Court Theatreで絶賛を受け、ローレンス・オリヴィエ賞(2015年)では4部門にノミネート、舞台装置で最優秀賞を受賞した衝撃舞台です。
【ダンス】東北に語り継がれる不思議な子どものこと
CHAiroiPLIN『AZUKI』
10月17日(木)~10月20日(日) 神奈川・神奈川県立青少年センター スタジオHIKARI
公式サイト:http://www.pref.kanagawa.jp/docs/yi4/chairoiplin19.html
ざしき童子(ぼっこ)といえば、岩手県を中心に伝えられている不思議な子どものお話です。4つの逸話をオムニバスで語る宮沢賢治「ざしき童子(ぼっこ)のはなし」を原作に、スズキ拓朗さんがダンスに構成しました。これまでも『ロミオとジュリエット』『人間失格』『ハムレット』など、誰もが知るような作品をコミカルで楽しく怖いダンスにしてきたスズキさん。すこぅし怖くてどこか懐かしい、ざしき童子をに会えるのが楽しみです。
【2.5次元】人気アニメの第一期を舞台化!
『PSYCHO-PASS サイコパス Chapter1―犯罪係数―』
10月25日(金)~11月10日(日) 東京・品川プリンスホテル ステラボール
公式サイト:https://pp-stage.com/
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ノイタミナで放送のアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』第1期が舞台化!!4月に上演されたオリジナルストーリー『舞台 PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』(鈴木拡樹さん主演)も注目作だったのですが、今回はアニメの舞台化とのことで、ファンも期待していることでしょう。
舞台は西暦2112年。人間の心理状態や性格傾向を計測して数値化する「シビュラシステム」が導入され、犯罪の潜在犯を裁くことができる。犯罪を追う公安局刑事課一係を中心に、サスペンスとしてもSFとしても楽しめる物語。舞台ではどう描かれるのでしょう!
【ダンス】フィンランド、韓国・・・北欧とアジアの融合
テロ・サーリネン×韓国国立舞踊団 『VORTEX』
10月25日(金)~10月27日(日) 神奈川・KAAT神奈川芸術劇場
公式サイト:https://www.kaat.jp/d/vortex
“北欧の鬼才”ともいわれるフィンランドの振付家テロ・サーリネンが、韓国国立舞踊団に振付けたダンス公演『VORTEX= 渦動(かどう)』。2014年にソウルで初演され、その後、カンヌ、パリ、ニューヨークなどでも上演してきました。北欧の風を纏うコンテンポラリーダンスと、勧告舞踊の伝統的音楽が渦を巻きます。北欧と韓国の文化・伝統が合わさったとき、それはダンサーの身体を通してどのような化学反応を起こすのか・・・そして、日本の身体感覚を持った日本人の目にどう映るのか。言葉を越えて、国境を越えて、文化を肌で感じられることを期待します。
最近上演本数多いのでは?!と驚くこの数ヶ月。「あの舞台おもしろかったよ」と話を聞き、なんでチケットをとらなかったんだ・・・と悔しがることが何度もありました。けれども、何を観るか、何を選ぶかと悩むのもまた舞台の楽しみです。また、観られなかったどうしようもない悔しさを感じるのも、ナマモノならでは。
一期一会の素敵な出会いを求めて、どれが自分に合う舞台か熟考するのも、よくわからないけどエイヤ!と飛び込んでみるのも、舞台の楽しさなのでしょう・・・と、今月もスケジュールとにらめっこしています。
今月も皆さんにとって素敵な観劇月でありますように。