春ですね。新年度ですね。進学や就職をきっかけに、芝居にかける時間やお金が増え「これを機に大都市まで芝居を観に…」とか「地方公演を追っかけに…」と、夢をふくらませている演劇マニアも少なくないかもしれません。とはいえ近場の劇場ならともかく、遠出となるとさすがに友達を誘いにくくて、やむなく一人で…というパターンも多いようです。実際筆者の周りも「初一人旅は芝居のためだった」という人がチラホラ。というわけで近々「観劇一人旅デビュー」を狙っている人向けに、観劇一人旅歴10何年の筆者が、その方法やコツを教授させていただきたいと思います。まずは手始めに、移動手段&宿泊場所の話題から!
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移動+ホテルがセットになったお一人様ツアーを活用
あまり旅慣れていない、あるいは多少お金がかかっても手早く手配を済ませたいという人なら、各旅行会社の一人旅用フリープランがオススメです。新幹線や飛行機の往復チケットとホテルの一人部屋がセットになったもので、予算はホテルのグレードや出発時期によってまちまちですが、東京~大阪なら2万~4万円ぐらい。この区間の新幹線自由席の往復料金が約2万8千円ほどなので、上手く使えばかなりお得感があります。
この種のツアーはJTBや日本旅行などの旅行会社、「じゃらん」「楽天トラベル」などの旅行サイトで、多数のプランが確認できます。ちなみに名古屋~関西から東京に行く人の間では「東京ブックマーク」の人気が高いです。とはいえツアーの場合、希望する行き帰りの時間などによって追加料金が発生することも。特に観劇目的だと、マチネに間に合うよう早朝出発、ソワレを見届けるために最終便と追加がかかりやすい時間帯を希望して、最終料金を見て白目に…なんてケースも。最初は旅行会社の窓口の人に直接相談しながら、より良いプランを選んでもらうのがベターです。
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金券ショップやweb割など、各種割を駆使するフリー旅。
時間に縛られたくなかったり、あるいは友達の家など泊まる所が決まっている場合、金券ショップに行けば様々な交通機関のチケットを格安で手に入れられます。たとえば先例の東京~大阪間の新幹線の場合、指定席が通常料金よりも千円以上安い値段で販売されています。ただこれらのチケットは、年末年始などの繁忙期には使えないことが多いので、購入時は要確認を。また東海道新幹線利用者の間では「ぷらっとこだま」を愛用する人が多いです。乗車はこだま限定で、ツアー扱いなので予約した便以外には乗れないなどの制約はありますが、東京~大阪間で1万3百円とかなり割安の上、ドリンクチケットまで付いてきます。人気のプランゆえ、特に朝と夜の便は競争率が高いですが、早目に予定が決まった場合はぜひお試しを。
飛行機だと航空会社への直接の予約でも、時期が早ければ早いほど値段が割引になるサービスが実施されています。たとえばANAの「旅割45(出発45日前の予約)」は、羽田空港~大阪空港の普通運賃約2万5千円が、時間帯によっては1万円ちょっとまで値引きされます。またスカイマークやジェットスターなどの格安航空会社は、時にびっくりするほどお得なキャンペーンを組んでくることがあるので、日頃から情報のアンテナを貼っておくのがコツ。なお航空券の値段比較は、「トラベルコちゃん」の国内格安航空券・LCC検索が便利です。
また宿泊は、各宿泊施設の公式サイトや、上記の「じゃらん」や「楽天トラベル」などで、web特別割引を実施している所が多数あります。さらなる狙い目はレイトチェックイン! 深夜にチェックインする場合、大幅に割引されることが多いので、たとえば終演が22時を超えるような芝居を観る予定なら、利用しない手はありません。また当日0時を過ぎると、半額近く値引きする施設もあったりするので、特に平日ならそれを待つのも手です。こういった手段を組み合わせると気ままに動きやすい上、下手なツアーより安くすんだりもするので、旅慣れてきたら試してみたい手段です。また公演によっては、遠方の観客のためにホテル宿泊がセットになったチケットを販売することもあるので、公式サイトなどで確認してみましょう。
お金を切り詰めた一人旅も、工夫次第で快適で楽しく
少しでも安くすませたい! という人には、夜行バス&格安宿泊施設です。東京~大阪間を例に出すと、往復で1万円を切る会社も少なくありません。最近はフットシートがあったり、充電用のコンセント付きだったりと、昔より格段に座席が進化しています。バスは3列シートと4列シートがあり、4列の方が総じて安価ですが、やはり3列よりも座席が狭くて眠りにくいし、隣の人に気を使うのも難。帰りはともかく、到着したその日に芝居を観る場合は、睡眠の取りやすい3列シートをオススメします。朝出発のバスで移動して、到着後すぐソワレを観る! という方法もありますが、バス旅は意外に体力を消耗するため、芝居中ずっとウトウト…ということになりがちなので避けたいところ。高速バスの情報は「発車オ~ライネット」など、各バス会社の情報を集約したサイトが多数あります。なお高速バスを利用することの多い小劇場関係者の間では「VIPライナー」と「WILLER TRAVEL」の評判が良いようです。しかし一番安い交通手段は、なんといっても学校休業期間の頃に販売される「青春18きっぷ」。2千円ちょっとの値段で、JRの普通列車限定とは言えどこまでも乗り放題なので、電車に乗るのがさほど苦痛でない人なら利用価値は高いです。5枚セットでの販売ですが、金券ショップなら1枚からバラ売りされていたりします。
安い宿泊施設も、サウナの仮眠室やカプセルホテルなどに加え、選択肢に入れておきたいのがゲストハウスのドミトリー。複数人が大部屋で寝るタイプの部屋ですが、宿によってはカプセルよりも安くつき、かつ仮眠室より断然ゆっくり眠れます。特に最近の東京や京都はユニークなゲストハウスが増加中なので、観劇+αな体験ができてお得かもしれません。このスタイルの宿の検索は「ホステルワールド」が便利。ただこういう共同宿泊スペースは、残念ながら盗難の危険がつきものです。特に芝居のチケットは、なくしてしまうと再発行や確認に手間がかかるので、財布などと共に貴重品ロッカーやフロント預かりをお願いしましょう。格安の究極と言われるネットカフェは、眠る用には作られていないので、バス出発前&到着後の休憩所としての活用や、今夜どこにも泊まる所がない! という時の緊急の場所と考えておいた方が良さそうです。
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いかがでしたか? これを参考に、素敵な観劇一人旅デビューを飾っていただければと思います。また観劇一人旅に関する質問や「こんな知恵もあるよ!」などの意見もあれば、またコラムにしていきたいのでどんどんお寄せください。