『予告犯』出演・松島庄汰インタビュー「朗読劇のおもしろさは個性とハプニング」

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公演中、舞台上のカメラで“犯行予告動画”を撮影し、Web配信する―。そんな新たな試みが行われる朗読劇『予告犯』。映画化やドラマ化も果たした筒井哲也の人気漫画「予告犯」(集英社ヤングジャンプコミックス刊)を、丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)演出のもと、朗読劇として舞台化する。

一つの役に4人がキャスティングされ、4つのチームを組んで公演を行うというマルチキャスティングとリアルタイムで配信する動画を組み合わせ、一つとして同じもののない“舞台”ならではの瞬間を創り上げる本作。主演の一人として、主人公・ゲイツ役を演じる松島庄汰に、動画と演劇について、朗読劇ならではのおもしろさを聞いた。

『予告犯』出演・松島庄汰インタビュー

――朗読劇『予告犯』は、いろいろとおもしろい試みの作品になっていますね。

僕もお話をいただいて、朗読劇でどうやるんだろう?と思いました。この作品は映画にもなっているので、そちらを観たのですが、火災が起きたり、バイオレンスなシーンもたくさんあったりするので、それをどう見せるのか・・・すごく気になります。分からないからこそ、ドラマや映画では出せない“空気感”を観ていただけるのではないかと。でも、それをどう表現するのか気になりますね・・・。

――今回、動画を使ったリアルタイムの試みがあるというのも、気になるところですが・・・。

そうですよね。今までにこんな舞台あったかな?単純に動画を配信している最中の芝居をどう作っていくんだろうとか今から楽しみですね。一つ確実なのは、リアルタイムだから、噛んだらそのまま動画で流れてしまう、ってことですよね・・・。

――確かに(笑)。

ゲイツも予告しながら「噛んだらどうしよう」って、同じこと思っていたりして。噛んだら、動画観てる人にイジられますよね・・・そういう意味でもすごくリアルなものを感じていただけるかもしれません(笑)。

――“生”という点において、演劇とインターネットって親和性が高い気がしています。松島さんも、以前「居酒屋×庄汰」という配信番組をされていましたよね。

そうですね。イベントを開くとなると、時間とか場所とかタイミングとか、難しい場合もありますけど、見たいと思った時に誰でも見られる動画というコンテンツは、いいものだなと思いましたね。ファンの方たちと、気軽にコミュニケーションも取れましたし。あとは、リアルタイムで反応が得られるので、自分のトークの自信につながりました(笑)。

――松島さんのトーク力は、あそこで鍛えられた、と。

そうですね(笑)。やっているときは本当に難しいなと思いながらやっていました。やるからには1時間、しっかりとおもしろいものにしなきゃいけないというプレッシャーがあったので。その時間の中で何を話すか、どう話題を切り替えるか、とか、すごく考えました。舞台挨拶などでもそうですが、短い時間の中で自分の思いや作品の魅力を伝えなければいけない、そういう瞬間がすごく多くて。だから、あの番組は僕にとって勉強の場になっていました。その結果、どんどんイジられるようになっちゃったんですけどね(笑)。

――それも松島さんの魅力だと思います(笑)。動画って、演劇の可能性を広げるツールになってくるような気がしています。

舞台って、いつも劇場に足を運んでくださる皆さんや舞台に携わっている方々にとっては、演劇って身近なものなんですが、僕の地元(大阪)の友達とかは「舞台なんて見に行ったことない」って言う人がまだまだ多いんです。演劇も、映画みたいにもっと気軽に観に行けるものになったらいいなと思うんですよね。YouTubeとかは、そのきっかけになるんじゃないかな。この『予告犯』は、原作の漫画もすごい人気ですからね。そういうきっかけって、大事だと思います。

『予告犯』出演・松島庄汰インタビュー_2

――原作という共通認識がある、というのは、大きいことですよね。

とっても大きいです!ただ、プレッシャーもすごいです(笑)。皆さんの中に、すでにイメージがありますから。映画化もドラマ化もされている作品なので、舞台版のゲイツを観に来ていただけたら嬉しいです。僕も「こういうゲイツもあるのか!」って思ってもらえるものをお見せできたら嬉しいです。

――松島さんご自身は、演じるゲイツに共感するところはありましたか?

僕、先入観でゲイツは超人的な頭脳で人々を驚かせていくようなイメージを持っていたんですが、実際に役を見つめると、すごく普通の人間で。今、自分の隣にいてもおかしくないようなリアルさがある人物だなと思いました。自分に近いというよりは、そういう意味で共感できましたね。

――今回、4チームあるので、同じ役を演じられる方があと3人(有澤樟太郎さん、黒羽麻璃央さん、佐伯大地さん)いるというのも、おもしろいところですね。

そうなんです。やっぱり、演じる方によって色が出ますし、それぞれ違ったゲイツをお見せできたらいいですよね。ただ、ほかのお三方がどういうお芝居をされるのかまったく分からない(笑)。

――皆さん、はじめましてですもんね。

しかも、同じゲイツ役は一緒に舞台に立つことはないですからね・・・。勝ち負けがあるわけじゃないですが、互いに切磋琢磨して、4チームそれぞれでいいものをつくれたらいいなと思っています。

――松島さんのチームは、陳内将さん、三原大樹さん、高垣彩陽さん、そして全公演に出演する水谷あつしさんというメンバーです。

こちらの皆さんも、ほぼ初めましてなんです。人見知りなので、自分から積極的に話しかけたりするのはあまり得意ではないんですが、でも、今回は!できるかな・・・(笑)。

――松島さんって、明るいイメージがあったんですが、意外と人見知りなタイプですか?

外からは明るく見えるかもしれませんけど、中身はすごく暗いです(笑)。

――取材でお見かけすると、思慮深いというか、相手を大事に受け答えされる方だなと思っていました。

そう言っていただけるのはありがたいですね・・・。朗読劇は稽古日数も少ないので、今回は自分から積極的にコミュニケーションをとりたいなと思っています。唯一、水谷さんのことは以前から知っているので、そこから少しずつ!

『予告犯』出演・松島庄汰インタビュー_3

――松島さんはこれまでにも朗読劇をご経験されていますが、やってみて思う、朗読劇ならではのおもしろさは?

朗読劇は、稽古日数が少ない分、任せていただける部分がて多い気がしています。そういった意味で、普通の舞台より、役者の力量がすごく試されるのかなと。だから、自分の中では朗読劇ってすごくハードルが高い舞台なんです。

――ちなみに、松島さんが体験した朗読劇ハプニングはありますか?

僕自身ではないんですが、同じ舞台に立っている方が、2,3ページ間違えてめくってしまって。「あれ、話が飛んだぞ?」みたいなことがありました。おもしろいけど、怖いですよね(笑)。でも、ハプニングもそうなんですが、舞台は毎公演空気が違うので、毎回新鮮な気持ちでできるのは楽しいですよ。

――朗読劇と一口に言っても、様々な形がありますよね。

基本台本を持ってやるのですが、これまでに出演した朗読劇では、走り回ったりしたこともありました。今回の演出される丸尾(丸一郎)さんが、どんなことを考えているのか・・・。予告の配信もありますし、きっと普通ではないのでしょうね。与えられた時間の中で、丸尾さんの意図をどれだけ汲み取れるかが課題です。皆さんには、僕らの奮闘ぶりを、ハプニングも含めて楽しんでいただければと思います(笑)。

――謎に包まれた公演なので、観る側としてもドキドキします。

僕もドキドキしています。今感じているこの気持ちを、観に来てくださる皆さんは、本番まで持って来てくださるってことですもんね。度肝、抜きたいですね!この朗読劇ならではの“衝撃”のラストが待っているそうなので、楽しみにしていただけたら嬉しいです。

――松島さんが、どんなゲイツを見せてくださるのか、楽しみにしています。

原作、ドラマ、映画を観た方にも、僕なりのゲイツをお見せできたらと思いますし、原作のファンの方たちの期待をいい意味で裏切れるようなものにしたいです。朗読劇ならではの『予告犯』を新鮮に、生だからこそ味わえる空気や緊張感を感じていただけたら嬉しいです。劇場で、お待ちしています!

『予告犯』出演・松島庄汰インタビュー_4

◆公演情報
朗読劇『予告犯』
9月13日(木)~9月23日(日・祝)東京・あうるすぽっと
【原作】「予告犯」筒井哲也(集英社ヤングジャンプコミックス)
【脚本】矢島正雄、谷碧仁
【演出】丸尾丸一郎
【出演】
ゲイツ:有澤樟太郎、黒羽麻璃央、佐伯大地、松島庄汰
カンサイ:川村陽介、鯨井康介、陳内将、藤田玲
メガネ:渋谷圭亮、三原大樹、村田恒、百瀬朔
警視庁サイバー犯罪対策課・刑事:伊藤裕子、櫻井淳子、高垣彩陽、朴ろ美
刑事:水谷あつし
※水谷のみ全公演出演
※朴ろ美の「ろ」は王へんに路が正式表記

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