『8月の家族たち August:Osage County』麻実れいインタビュー!「念願のKERA作品で、新たな姿が見られるかもしれません」

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父親失踪の一報を受け、8月酷暑のオクラホマの実家に久しぶりに集まった家族たち。それぞれが抱える問題から思わぬバトルへ展開、思いもよらない方向へ――。2007年にシカゴの劇場で初演され、同年にはブロードウェイに進出。戯曲はピューリッツァー賞を受賞、作品はトニー賞最優秀賞ほか4部門を制した名作、『8月の家族たち August:Osage County』がケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、KERA)演出のもと上演される。かねてから日本での上演が渇望されていた極上のブラック・コメディーで、母親・バイオレットを演じる麻実れい。初顔合わせのKERAについて、そして本作に出演する心境を伺いました!

『8月の家族たち』麻実れいインタビュー

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――今回のお話が決まったときの心境からお聞かせください。

ケラリーノ・サンドロヴィッチさんという演出家に大変興味がありました。彼の舞台を観たことはないのですが、演劇誌、新聞の演劇欄などで大変取り上げられているので、機会があれば、といつも思っていたんです。これまで、なんとなく私と彼との接点が見つからなかったというか、もうありえないんじゃないかと思っていたので嬉しかったですね。

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――KERAさんとは出演が決まってから初めて会ったんですか?

初めてお目にかかったのは、先日、舞台『夜への長い旅路』で(演出の)熊林さんとご一緒した時。熊林さんの作品をよく見に来ていらっしゃるというKERAさんが楽屋に来られた時です。そして今回のお話をいただきました。彼の作品を拝見していない私がその場に飛び込んで作りあげる。お相手も私のことを良く知らない。逆にそのほうが飛び込みやすいと思っています。

――KERAさんのどういうところに興味があったのでしょうか?

それはそれは大変取り上げられていらっしゃるじゃないですか。そこに彼の演出の素晴らしさが書かれていて。ここまでずっと芝居の道を歩いてきましたが、若い世代の方とはそんなにご縁がないんです。でも近年、鄭義信さん(2013年舞台『しゃばけ』)、劇団☆新感線のいのうえひでのりさん(2013年『鉈切り丸』)とのお話をいただいたとき、彼らの中に置いた自分が「自分でもびっくりするような何かを感じ取ることができるかもしれない」という思いでやらせてもらい、大正解でした。ですから、今回のケラリーノ・サンドロヴィッチさんからお話をいただいたときも、やっぱり飛び込んでみるべきだと。作品も、妙な暗さとか、妙な難しさはないので、お客様も入ってきやすいんじゃないかなと思いますね。最近の私がやってきた作品と違って、先入観的な難しさはないと思います。

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――作品についての印象はいかがでしょう?

面白いなと。私が今回演じるのは母親のバイオレット役ですが、もしもKERAさんからお話をいただかなかったとしても、この作品の母は演じてみたいと思いますね。時代も現代ですし、パワフルな役どころなので大変ですけれど、でも今の自分をぶつけてみたい。KERAさんという素晴らしい助っ人がいてくださるわけだから、これをやっぱり演じなければいけないなと。KERAさんは上演台本も書かれる。とても頼もしいですね。

――家族のお話が続きますね。

そう、家族崩壊ばっかり(笑)。『海の夫人』のエリーダは抗うつ剤、『夜への長い旅路』のメアリィは薬物摂取、今回のバイオレットは抗うつ剤と弛緩剤の過剰摂取に認知症も。もうこれだけ同じような薬物摂取の女性を演じるんだったら、全く別な女を演じなくちゃいけないし、演じたいし、演じてあげなくちゃいけないと思いましたね。

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それぞれの作品で母親を演じるわけですけれど、エリーダは先妻の娘が二人いて、メアリィは息子二人の母でしたが、メアリィの方が役作りしやすかったですね。母と別性だからということが大きいのかな。逆に息子たちも母親に対して許せることがあったりするんですよね。でも、今回は3姉妹の母親なんです。同性じゃないですか。これはひどいぶつかり方をすると思うんですよね。それこそバトル…といっても姉妹同士のバトルって、行き着けないくらいすごいはず。そのへんをどういうふうにKERAケラさんが調理するか、ですよね。
実は、私は三姉妹の末っ子なんです。姉が母の面倒を見ていたので、たまに実家に帰ったときに母と姉のちょっとしたやりとりを見ることがありました。どうしてもぶつかり合うことがあるんですよね、わがままが出ちゃうし。そういう光景を見ていたので、今回の役は作りやすいのかもしれないですね。

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――三姉妹は、長女が秋山菜津子さん、次女が常盤貴子さん、三女が音月桂さんです。

菜津子さんはね、よく知っていますから(笑)。「絶対に手を抜いてこないで」と言いました。バトルで取っ組み合うとか、ああいうものはとことんやらないと面白くならないんですよ。あまりにも夢中になってやるからお客様は笑ってしまうみたいな。互いに「ケガさせちゃいけません」みたいなところが見えてしまうと、いらない場面になっちゃう。この歳に改めて勉強させていただこうと思っています。
次女の常盤貴子さんは、新感線の『鉈切丸』のお稽古の時に別の稽古場にいらして偶然挨拶したくらい。私の好きな『京都人の密かな愉しみ』というBS番組に出ている彼女の自由さも好きで、スチール撮影でお会いした時に「拝見してます」とご挨拶しました(笑)。
三女の音月桂さんは、宝塚の下級生なんですけど、あまりにも学年が離れすぎていて、宝塚の下級生という感覚よりは若い女優さんという感覚ですね。女3人、大変だと思いますね。

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――この作品を通して、期待されていることは?

私たちの作る『8月の家族たち』をきちんと仕上げて、素敵な作品としてお客様にお届けするというのが一番ですね。そして、KERAさんの演出を受けるのが初めてなので、どんな演出をなさるのか。私は宝塚では男役を作っていて、卒業してからは自分の中で女を作ってきました。単純に言えば、歌舞伎の女形さんのような作り方をするんです。今回もそうしながら作るわけですけれど。それをどれだけKERAさんに助けてもらえるか、キャストの皆さんに助けてもらえるか。ものすごく楽しみですね。

もちろん、厳しく、苦しい稽古場になると思うんですけど、KERAさんはとても明るい方だし、緊張を緩めてくださって、厳しくも温かく愛のこもった演出をなさる気がします。だから怖くはありません。ただ、稽古期間が少ないのが心配(笑)。
でも、きちんと初日に100%出来上がることはあり得ないし、千秋楽まで「ここはそうなんだ、じゃあここを変えてみよう」とかの繰り返しで最後まで行くわけなので。ですが初日までにはお見せ出来るギリギリのところを見せたいなと思いますね。
昨年末には45周年記念コンサートも開催して、また今年は改めて一から歩き出そうかなと。その意味では今年初の作品でKERAさんと出会えて幸せです。新しい麻実がどこかに見られるかもしれませんよ。

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◇麻実れい(あさみ・れい)プロフィール◇
3月11日生まれ、東京都出身。1970年、宝塚歌劇団入団。『ハロー・タカラヅカ』で初舞台を踏む。雪組男役トップスタートして活躍し、1985年、退団。以降、ミュージカル、古典、翻訳劇など多くの話題作に出演し、数々の演劇賞を受賞している。近年の主な舞台出演作に、『おそるべき親たち』『炎 アンサンディ』、『海の夫人』、『夜への長い旅路』。2015年12月には、45周年記念コンサート『Applause 喝采~人生に乾杯!~』を開催した。

シアターコクーン・オンレパートリー+キューブ2016
『8月の家族たち August:Osage County』

作:トレイシー・レッツ
翻訳:目黒条
上演台本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演者:麻実れい、秋山菜津子、常盤貴子、音月桂、橋本さとし、犬山イヌコ、羽鳥名美子、中村靖日、藤田秀世、小野花梨、
    村井國夫、木場勝己、生瀬勝久 

【東京公演】2016年5月7日(土)~29日(日) Bunkamuraシアターコクーン
チケット一斉発売:2月20日(土)
チケット料金(全席指定・税込):S席 10,000円 A席 8,000円 コクーンシート 5,000円
チケットに関するお問合わせ:Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999(10:00~17:30)
お問合わせ:Bunkamura 03-3477-3244(10:00~19:00)
キューブ 03-5485-2252(平日12:00~18:00)

【大阪公演】2016年6月2日(木)~5日(日) 森ノ宮ピロティホール
チケット一斉発売: 3月27日(日)
チケット料金(全席指定・税込):10,000円
お問合わせ:キョードーインフォメーション 0570-200-888(10:00~18:00)

企画・製作:Bunkamura/キューブ

舞台『8月の家族たち』 特設ページOPEN!
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/16_august/

▼公演詳細、公演スポット、コメント動画はこちらから
https://cubeinc.co.jp/stage/info/august_osage_county.html

<あらすじ>
詩人でアルコール中毒の父ベバリーが失踪したとの知らせを受け、8月酷暑のオクラホマ州の実家に、長女バーバラと夫のビル、その娘のジーン、次女アイビー、母方の叔母マティ・フェイと夫のチャーリーが帰省。そこには、夫の失踪と薬物の過剰摂取で半錯乱状態となった母バイオレットの姿があった。
三女カレンと婚約者スティーブ、さらに叔母の息子リトル・チャールズも到着。ようやく一族全員がそろい楽しいディナーとなるはずだったが……。

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