大ベストセラー小説を原作とした、音楽劇『謎解きはディナーのあとで』が、2025年9月9日(火)に東京・日本青年館ホールにて華々しく開幕。初日公演の熱気が冷めやらぬ中、終演後に演出の河原雅彦と、主演の上田竜也をはじめ、玉井詩織(ももいろクローバーZ)、橋本良亮、凪七瑠海、大澄賢也が初日会見に登壇。作品づくりを振り返りつつ、初日公演を終えた心境などを語った。

歌とダンスで謎を解く!極上のミステリー・コメディが開幕
原作は、2011年に本屋大賞を受賞し、シリーズ累計発行部数800万部を超える東川篤哉の小説。世界的な大財閥・宝生グループの総帥の一人娘にして、その身分を隠し国立署の新人刑事として勤務する宝生麗子と、彼女に仕える毒舌な執事・影山の二人が、ディナーの後に麗子が持ち込む難事件を解決していくユーモアミステリーだ。
令嬢刑事と毒舌執事という斬新なキャラクター設定と、ユーモラスな掛け合いの中で鮮やかに謎が解かれていく展開が絶大な支持を集め、TVドラマ化、映画化もされるなど国民的人気作となった。
多くのファンに愛されるこの作品が、今回、オリジナルの音楽劇として舞台化。演出を手掛けるのは、ストレートプレイからミュージカルまで幅広く手掛ける河原雅彦。原作の魅力はそのままに完全オリジナルのストーリーを構築し、歌とダンス、そして笑い満載の極上エンターテインメントを創り上げた。
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会見は、まず登壇者が一人ずつ挨拶。演出の河原は「初日を終えた直後の会見は初めての経験で、まだ少しぼーっとしています」と、大きな仕事を終えた安堵感を滲ませながら、「こんなにポピュラーで良い原作があるので、中心の3人はもうキャラが決まっていますよね。だから、どう謎を解いていくか、物語を作るかが一番難しかったです。ミステリー作家さんは本当にすごいなと思いました」と創作の苦労を語った。
主演の影山役・上田は「お忙しい中ありがとうございます。短い時間ですが何でも聞いてください」と、ピシッとした執事スタイルのままクールに挨拶。「稽古が始まって1ヶ月、長いようであっという間でした。今日初日を迎えられて、稽古場とは違ったお客様の笑い声がすごく新鮮でした。『ここで笑ってくれるんだ』という発見もありつつ、初日が開けてしまったら終わりまですぐだなという、ちょっと寂しい気持ちも感じています」と心境を語った。
宝生麗子役の玉井は「稽古当初は、本当にこの舞台をちゃんとお客様にお届けできるのか、不安もすごく沢山ありました。でも今日、舞台に立ってお客様の反応をいただいて、『ああ、みんなで創ってきて良かったな』と、しみじみと思っております」と、感無量の表情で語った。
風祭京一郎警部役の橋本は「初日を終えたばかりで一段落したところなので、ちょっとテンパっておりますが、最後までよろしくお願いします!」と役が抜けないテンションの高さのままに、「お客様が入って、笑い声と拍手があって、そこで初めて舞台が完成するんだなと改めて思いました。まだまだ始まったばかりですが、たくさんの拍手をいただけるようにがんばります!」と力強く宣言。
凪七が演じるのは、舞台オリジナルキャラクターで、マリアンヌ・フォン・シュヴァルツクストというドイツ北部の公国公女という役どころ。由緒正しきお嬢様役だが、舞台上では常に笑いをこらえるのに必死だという。「実は、一度も笑わずに通せたことがなくて・・・。初日は、ギリギリ耐えられたんですが」と明かし、コミカルなシーンの多い本作ならではの苦労(?)を語った。
シュヴァルツクスト家のヘルマン執事役を演じる大澄は、ナレーターとして舞台の口火を切る役割を担っている。「最初にお客様の前に出た時、その雰囲気が本当に温かくて、拍手で迎えてくださったんです。その瞬間に『あっ、今日はいける!』と、お客様が本当に楽しみにしてくださっているのを感じました」と、開幕直後ならではの感想を口にした。
“影山”という役への挑戦 ― 偉大な先輩の背中を追って
本作で上田が演じる執事・影山は、所属事務所の先輩である櫻井翔が一世を風靡した役どころ。そのプレッシャーについて問われると、上田は「お話をいただいた時は、嬉しく思うと同時に、結構なプレッシャーもかかってきました」と素直に告白。
櫻井から「キャラクターを作る上で、影山の毒舌でお客様に嫌悪感を抱かせないように、と意識していた」と聞いていたそうで、「僕もそれを心に刻みながら稽古に臨みました」と、偉大な先輩へのリスペクトを込めて役作りしたことを明かした。
稽古場には、先輩・櫻井からは稽古場に豪華な差し入れがあったという心温まるエピソードも。「大量のお弁当を頂いて、カンパニーみんなで大盛り上がりでした。『頑張ってね』という激励の言葉もいただき、すごく嬉しかったです」と語り、二人の確かな絆を感じさせた。
そんな先輩との心温まる交流とは裏腹に、役作りでは普段のワイルドなイメージとは真逆の“執事”としての立ち居振る舞いに徹底的に向き合ったようだ。原作小説や映像作品を研究し、さらに実際の執事からも指導を受けながら所作を磨き上げたと言い、「今までの役で一番大変だったかもしれません。いつもだったら足を開いてガニ股になっちゃうんですけど、足を閉じて。お辞儀の仕方から全部違いましたね」と、ストイックに役と向き合った様子を語った。橋本から「オラオラしていない上田竜也が見られるのはここだけですね」と振られると、「本当に見物だと思いますよ」とほほ笑んだ。
稽古場の絆!座長が作った最高のチームワーク
会見でのキャストたちの言葉の端々からは、カンパニーの雰囲気の良さが伝わってきた。
玉井は、上田の座長らしいエピソードとして、「稽古中に、上田さんが『腹減ってるやつ、いる?』って聞いて、みんなにおにぎりを買ってきてくださったんですよ。いつも周りに気を配ってくださっていました」と感謝を述べた。
これに対し、上田は「何それ、(『東京リベンジャーズ』のマイキーみたい(笑)」とツッコみつつ、「いつもすごく明るくて、稽古が進むうちに、麗子というキャラクターが、いい意味で玉井さんそのものにも見えてきて(笑)。それが愛おしく感じられて、仕上がっていく過程を見ているのがすごく楽しかったです。ちなみに、ステージ上では(麗子として)僕が守っていますけど、裏では玉井さんの方がしっかりしています」と玉井へのリスペクトを示していた。
そんな二人のコンビネーションを、橋本は「稽古場から二人の掛け合いやテンポ感がどんどん良くなっていくのを見ていました。舞台オリジナルの、新しい影山と麗子像が見られると思います」と絶賛。
上田と橋本がしっかりと共演するのはこれが初めて。「稽古場で席が隣だったんですが、ずっとしゃべっているわけでもないのに、めちゃくちゃ居心地が良くて。なんか落ち着くんですよ。ふと隣を見たら煎餅を食べていて、『上田くん、煎餅大好きなんだな』って思ったり(笑)」と、自然体の中で築かれた信頼関係を明かした(ちなみに橋本はずっとアーモンドを食べていた、と上田)。
橋本が演じる風祭京一郎は、なかなかにぶっ飛んだキャラクター。「どうがんばっても、あんなかっこいいことはできないので、自分なりのぶっ飛び方を研究して・・・。舞台としての、オリジナルを追求していきたいと思っています」と真摯に役と向き合っている様子をうかがわせた。
橋本と、ABC座2024『大金星(BIG VENUS) ~時代(とき)を超えて~』に続いて一緒に作品づくりをする演出の河原は「彼は、“かっこいい”“芝居も歌も踊りもできる”、そして何より“コメディのセンスがある”んですよ。これだけ揃っている人はなかなかいないです。彼は、かっこよければかっこいいほど面白くなる。(風祭を演じる橋本は)バカかっこいいけど、バカ面白い。そんな彼を見られるのはここだけです。稀有なタレントですよ」と、その魅力を熱弁。照れ隠しのように「一緒にやった2作品ともコメディ色が強い役だから・・・他の役できるのかな?」と河原が言うと、橋本はすかさず「やりましょうよ!」と猛アピールしていた。
劇中のダンスシーンの一部は、ダンサーとしても第一線で活躍する大澄が振り付けを担当。「竜也くんは『どうしたらいいですか?』とすごく真摯に聞いてくれて、その素直さに感動しました。しおりちゃんは、リフトを初めて合わせた時に一発でできてしまう勘の良さと体幹の強さがあって、二人とも本当に素晴らしいです」と、クリエイターとしての視点からもキャストのポテンシャルの高さを語った。
また、大澄は自身が別の舞台(ミュージカル『ナイツ・テイル -騎士物語-』ARENA LIVE)を終えてカンパニーに合流した際のことを振り返り、「僕が稽古に入った時には、もう良い雰囲気が出来上がっていて、少し焦りがあったんです。でも、竜也くんが座長として穏やかに、でも背中で見せていくという姿勢でいてくれたおかげで、自然と良い空気が流れていて。すっと輪の中に入ることができました。それから、竜也くんが稽古場で『SHOCK』のTシャツを着ていてね。堂本光一イズムを感じて、親近感を覚えました」と、上田のリーダーシップを称えた。
玉井が「“第二のモモクロ”ができたみたいな気持ち!もちろん赤は上田さん」と例えるほど、固い結束力が生まれたカンパニー。彼らが届ける舞台オリジナルの“謎ディー”は、大ヒットした原作やドラマに続く、最高のエンターテインメントになるに違いない。初日公演が終わったあと、劇場ロビーの空気がそれを雄弁に物語っていた。
最後に、上田は「この舞台は、謎解き要素はありますが、基本的にはたくさん笑って、普段のストレスを発散できるような、現実を忘れられるようなエンターテインメントになっています。キャスト・スタッフ一同、心を込めて創り上げました。ぜひ劇場に足を運んでください」と会見を締めくくった。
音楽劇『謎解きはディナーのあとで』は、9月9日(火)から9月23日(火・祝)まで東京・日本青年館ホール9月27日(土)から10月1日(水)まで大阪・SkyシアターMBSにて上演。
上演時間は約2時間50分(休憩20分含む)を予定。
あらすじ
国立署の刑事・宝生麗子は世界的に有名な「宝生グループ」の財閥令嬢。お嬢様であることをひた隠しにしながら、「風祭モータース」の御曹司である風祭警部の部下として日々事件に奮闘している。
お世辞にも優れているとは言いがたい麗子の推理力を補うのは超有能執事の影山。難解な事件に遭遇するたびに助けを求める麗子に、「お嬢様の目は節穴でございますか?」などと毒舌を吐きながら、影山はいつも鮮やかに謎を解き明かしてしまう。
そんなある日、とある殺人事件現場で華麗に推理を披露する麗子だったが、事件が解決した矢先に執事の影山が現れ、ヨーロッパへ急行すべく麗子を連れ出してしまう。さもないと親同士が決めた結婚が成立してしまうというのだ。
二人が向かったヨーロッパの小国・シュヴァルツクスト公国では元首が急死。早急に後継者を立てなければならない。麗子は王位継承者争いに巻き込まれていた。公国にはEVカーを売り込みに来た風祭警部もやって来てしまい、大混乱・・・!
(舞台写真/阿部章仁)
音楽劇『謎解きはディナーのあとで』公演情報
公演情報 | |
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タイトル | 音楽劇『謎解きはディナーのあとで』 |
公演期間・会場 | 【東京公演】2025年9月9日(火)~9月23日(火・祝) 日本青年館ホール 【大阪公演】2025年9月27日(土)~10月1日(水) SkyシアターMBS |
スタッフ | 原作:東川篤哉「謎解きはディナーのあとで」(小学館刊) 脚本:須貝英 演出:河原雅彦 音楽:三國茉莉 |
キャスト | 上田竜也 玉井詩織(ももいろクローバーZ) 橋本良亮凪七瑠海 植原卓也 川久保拓司 シューレスジョー 野口かおる大澄賢也明樂哲典、縄田晋、天野翔太、渡部又吁、吉岡麻由子、熊澤沙穂、宮川実生、片岡芽衣、大窪藍子(スウィング) |
公式サイト | http://www.nazod-stage.jp/ |


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(C) 東川篤哉/小学館