2025年6月から7月にかけて、東京と兵庫にて、手塚治虫の名作を舞台化した『W3 ワンダースリー 』の上演が決定。スタッフ・キャストとコメントも公開された。
『W3 ワンダースリー』とは?
原作「W3(ワンダースリー)」は、1965年~1966年まで「週刊少年サンデー」に連載された手塚治虫の漫画。
虫プロ初のテレビオリジナル作品としてテレビアニメ版も放送され、キャラクター一人に対し、専属担当がつくハリウッド方式で制作されたことでも知られている。テレビアニメ版は全52回を放送。
手塚治虫の目を通して、地球の偵察に来た3人の宇宙人たちと少年星真一が、未来のためにできることは何かを考えさせてくれる作品で、舞台上演される2025年は「W3」誕生から60周年となる。
日本が世界に誇るマンガの神様・手塚治虫の名作を、福田響志の脚本、ウォーリー木下の演出、和田俊輔の音楽で舞台化する。
『W3 ワンダースリー』キャストは?
主人公・星真一役を、アイドルグループ“HiHi Jets”のメンバーである井上瑞稀、主人公の兄・星光一役を平間壮一が演じる。
そして、地球の調査にきたワンダースリーのプッコ役に永田崇人、ボッコ役に松田るか、ノッコ役に相葉裕樹、星兄弟の母役に彩吹真央、星商店の土地を買収しようとするハム・エッグ役に中村まこと、ランプ少佐役に成河らが名を連ねている。
世界のどこかで戦争が起き、温暖化や食糧危機、地震、エネルギー不足など、自然との共存の課題も多く抱えた地球。“豊かさ”とは、“悪”とは、“正義”とは—。手塚治虫が提示する、今私たちが直面している、考えなければいけない問題の数々を、豪華キャスト&スタッフとともに、ウォーリー木下がステージ上に描き出す。
『W3 ワンダースリー』上演に向けて
ウォーリー木下(演出)
「W3」は以前に、ノンバーバルパフォーマンス(セリフのない劇)として上演しました。パペットやマイム、ダンスに生演奏、プロジェクションマッピングなど、アナログとデジタルを混ぜて、地球を救うことになるひとりの男と宇宙人3人組の交流を描きました。
その時の心残りがあるとすれば、手塚作品の中のきらりと光る言葉を全く使えなかったことで、今度は、言葉を中心に、また新しい「W3」を作ってみたいと思っています。
「どうやったら地球上から争いを無くすことができるのか」 このシンプルなメッセージは今上演する価値があると思っています。もちろん、演劇としての挑戦も今回もするつもりです。様々な仕掛けを舞台上に配置し、観客を不思議な世界に引きずりこみたいと思います。
井上瑞稀(星真一役)
僕は今回初めて手塚さんの作品を読ませていただいたのですが、ここから深堀りし、漫画という歴史にも触れながら、作品について勉強してがんばっていきたいと思います。
歌もある中で、演出のウォーリー(木下)さんには以前初めてご一緒したときに勉強になるお話をたくさんしていただいたので、この作品でさらに僕自身の成長につながる機会になればいいなと思っています。
来てくださったお客様が、ポジティブな気持ちになれるような作品を目指して精いっぱいがんばりたいと思います。
平間壮一(星光一役)
今回お兄さんの役を演じさせていただくということで、自分にとってチャレンジでもありますので、大切に演じさせていただきたいと思っています。演出のウォーリーさんとは念願叶って初めてご一緒するので、新しい平間壮一の引き出しを開けていただけるのを楽しみにしています。
手塚さんの作品は、キャラクターがとてもポップでかわいらしさがありながら、迷いがなく、キャラクターの意思がストレートに伝わってくる印象があります。また、全体を引きで見ると、一つ一つがアート作品のような複雑な絵をしていて、いろんな角度から命の大切さや平和への思いを伝えているんだなと感じています。
漫画原作の複雑な世界観を舞台でやるということで、手塚さんの作品が大好きな皆様の気持ちを大切に、自分なりの表現で「W3」をやっていきたいなと思っています。
永田崇人(プッコ役)
以前ウォーリーさんがノンバーバルでやられた舞台を拝見しているのですが、それをパワーアップして上演するとのことなので、参加できて嬉しいです。宇宙の話は好きなので、どういう宇宙人になるのか今からすごく楽しみで、自由さとか、ギャグみたいな面白いセリフがあったらいいな、と思っています。
舞台の良いところは、いろんな世界に飛んでいけて、しかもそれが実際に体験したような気持ちになれる、その世界に自分が存在するかのような感覚になれるところだと思うので、観客のみなさんと一緒に宇宙に行ったような感覚が得られたらいいなと思っています。
松田るか(ボッコ役)
私が生まれる前の作品なのでまず漫画を読んでみたのですが、手塚先生のチャーミングなところが垣間見え、とても楽しい作品だと思いました。以前、ウォーリーさんがノンバーバルで「W3」を上演されたそうですが、今回は台詞があるのでどんな舞台になっていくのかとても楽しみです。
原作の漫画を読んだときに、「“人”を知ろうとする気持ちには“愛”がある」というメッセージを感じたので、それを皆様に少しでも伝えられたら嬉しいです。劇場でお待ちしていますので、ぜひお越しください!
相葉裕樹(ノッコ役)
手塚治虫先生の作品に携われるということでとても嬉しく思います。そして、今もなお語り継がれる「W3」に参加できるということで、大きな責任とやりがいを感じております。
ウォーリーさんと久しぶりにご一緒しますので、「W3」の世界観をどのように演出されるのか、また、はじめましての共演者の方が多いので、みなさんとクリエイティブにお稽古していけたらと楽しみにしています。
SFの楽しさだけではなく、現代の我々に投げかけられるメッセージが深く深く刻まれておりますので、皆様の心に何か残るものをお届けできるように全力で取り組んでまいります。
彩吹真央(星兄弟の母役)
私の初舞台は宝塚時代の、「ブラック・ジャック」「火の鳥」という芝居とショーでした。宝塚を卒業後に「アドルフに告ぐ」に出演させていただいたので、手塚治虫先生の作品は今回で4作品目となります。ご縁のある手塚先生の作品に、またこうして出演させていただけることが本当にうれしいです。
母親役が最近続いているのですが、壮大な世界の中で星兄弟の素朴な母親役をどう演じることができるのか楽しみです。
大好きな手塚先生の作品をウォーリーさんがどのように演出されるのか、そのコラボレーションも楽しみですし、この不穏な世の中に、皆様へ普遍的で暖かいメッセージをお届けできると思いますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。劇場でお待ちしております。
中村まこと(ハム・エッグ役)
「W3」は、子供のころにアニメの再放送を白黒テレビで夢中になって見ていたことを覚えています。手塚さんの作品は、僕らの世代にとっては“漫画そのもの”。
常に命とか地球とか人間の営みのことなど深いテーマがあって、それらをエンターテイメントとして見せてくれるので、僕たち読者だけでなく、多くの漫画家さんたちも手塚さんを目標にしていろんな作品を生み出してきた、まさに“神”だと思っています。
ウォーリーさんは斬新な作風の方という印象なのですが、ご一緒するのは今回が初めてなので、今から稽古を体験できるのが楽しみです。今まで見たことないような手塚作品の世界観になると僕自身も期待しているので、ぜひ皆様劇場で目の当たりにしていただけたらと思います。劇場でお待ちしています。
成河(ランプ少佐役)
中学生のころ、学校の図書室にあった手塚作品をみんなで読み漁ったことを覚えています。手塚さんの作品は、とても普遍的で、人間の業というか哲学といったものを間口広く楽しく味わえて、そして何より舞台との親和性が高いという印象があります。以前「アドルフに告ぐ」に出演したときもひしひしとそう感じました。
ランプは、手塚作品には悪役としていろんな作品に登場している役なのですが、悪役って演じていて楽しいので、今から楽しみにしています。
古い作品ではあるので、原作をご存じではない方もいらっしゃると思いますが、台本は「W3」の世界を現代(いま)によみがえらせる創意工夫がなされているということなので、皆様一緒に楽しんでいただければと思います。
『W3 ワンダースリー』公演情報
2025年6月に東京・THEATER MILANO-Za、7月に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演
【公式サイト】https://w3-stage.com/
【公式X】@w3_stage