毎週金曜22:00からTBS系で放送中のドラマ『不適切にもほどがある!』。昭和と令和の価値観のギャップが描かれた宮藤官九郎のオリジナル脚本となる本作は、放送開始時から、豪華なミュージカル俳優陣によるミュージカルシーンが話題になっている。
そこで今回、『不適切にもほどがある!』の印象的なミュージカルシーンを振り返りつつ、ミュージカル俳優が活躍した過去のドラマ作品を紹介する。
本格的なミュージカルシーンに感動!?『不適切にもほどがある!』
ひょんなことから1986年から2024年の現代へタイムスリップしてしまう“昭和のおじさん”・小川市郎(阿部サダヲ)を通して、令和と昭和のギャップを描いている本作。第1話から話題になっていたのが唐突に展開されたミュージカルシーンだ。
第1話では、ミュージカル作品で活躍する元宝塚トップ娘役だった咲妃みゆや、映画『アラジン』でジャスミンの声優を務めた木下晴香らによるナンバー「話し合いまSHOW」が披露された。咲妃&木下の美しい歌声はもちろんのこと、阿部&磯村勇斗も参加したインパクトの強いミュージカルシーン。最初は唐突な展開に驚いていたが、見終わってみると令和と昭和の価値観のギャップを繋ぐ架け橋となる大事な演出のように感じた。
第2話以降もレギュラーキャスト陣だけでなく、柿澤勇人や山本耕史らミュージカルで主演を務めてきた実力派スターによるミュージカルシーンが印象的で、「同調圧力」「セクシャル・ハラスメント・No.1」「Daddy’s Suit」など、登場人物たちの心情を見事に表現したナンバーは何度も聞きたくなる仕上がり。
YouTubeには「#ふてほどミュージカル」としてミュージカルシーンだけ抜粋された動画がアップされており、未視聴だが気になっている人やリピートしてみたい視聴者にはおすすめだ。
ミュージカル俳優が活躍するドラマ作品3選
今回、『不適切にもほどがある』を見てミュージカル俳優に興味を持ったドラマ好きな視聴者もいるだろう。そこで今回、ミュージカル俳優が出演する過去のドラマ作品を紹介していく。
『ノーサイド・ゲーム』(2019年、TBS系)
キャストが発表された際、TEAM NACSの一員で数々の舞台作品に出演してきた主演・大泉洋だけでなく、ミュージカル『ピーターパン』の5代目ピーターパンだった笹本玲奈や、映画『ファンタスティック・フォー』などで声優としても活躍する石川禅、ミュージカル『刀剣乱舞』の岩融役で注目を集めた佐伯大地、元宝塚歌劇団宙組トップスター・凰稀かなめなど各ジャンルの作品で注目を集めてきた俳優陣のラインナップに胸を躍らせたミュージカルファンは少なくないだろう。
池井戸潤原作でラグビーチームの再起が描かれた作品のため、『ふてほど』のようなミュージカルシーンはもちろんないが、それでも劇中での存在感は大きく、いつもとは違う演技を見られる贅沢さを楽しめる。特に、主人公・君嶋の上司・脇坂を頼もしくも、不穏な雰囲気を見事に醸し出している石川の演技に注目だ。
『ルパンの娘』(2019年ほか、フジテレビ系)
横関大原作小説の実写ドラマ化で、泥棒一族の娘と警視庁捜査一課に所属し家族全員が警察官という青年による恋愛模様が描かれた本作。インパクトのあるキャラクターとストーリーが持ち味だが、それに輪をかけているのがドラマオリジナルキャラクター・円城寺輝だ。
演じる大貫勇輔は、多岐に渡るジャンルのダンスをこなすプロダンサーで、ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』の死役を務めて以降、数々のミュージカル作品に出演。現在は舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を長く務めている。
『ルパンの娘』では、キャラクター紹介に「会話の最中にミュージカル調になる困ったクセがある」と書いてある通り、唐突に歌い出しては華麗なダンスも披露し、視聴者の目を奪ってきた。父・豪役でミュージカル界の大御所・市村正親も出演しており、市村と大貫のミュージカルシーンは特に大きな注目を浴びた。
NHK連続テレビ小説『エール』(2020年、NHK総合)
昭和という激動の時代の中で人々の心に寄り添う数々の曲を生み出した作曲家・古山裕一(窪田正孝)と、その妻・音(二階堂ふみ)の波乱万丈な生涯の物語を描いた本作。“音楽”がテーマの作品だからか、山崎育三郎、古川雄大、吉原光夫、小南満佑子、井上希美、柿澤勇人、堀内敬子、海宝直人ら名だたるミュージカル俳優が出演した。
様々な場面で活躍を見せていたが、特に注目を集めていたのはクセの強い“ミュージックティーチャー”御手洗清太郎役の古川と、最終回「エールコンサート」で「イヨマンテの夜」を熱唱し、類まれなる歌唱力を見せつけた岩城役の吉原だろう。ミュージカルファンならぜひもう一度見てみたい作品だ。
ドラマの次はぜひ劇場へ
映像作品でも活躍するミュージカル俳優は多く、その魅力はテレビを通して沢山の人に届いているだろう。ドラマを見て気になった俳優がいれば、次はぜひ劇場でその姿を見るのをおすすめしたい。
(文・エンタステージ編集部3号)