土田英生(MONO)×和田雅成による珠玉の会話劇『燕のいる駅』稽古場取材会レポート

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土田英生(MONO)×和田雅成による珠玉の会話劇『燕のいる駅』稽古場取材会レポート

2023年9月23日(土)に東京・紀伊國屋ホールで開幕する『燕のいる駅-ツバメノイルエキ-』。その稽古場取材会が9月7日(水)に行われた、主演を務める和田雅成が意気込みを語った。

『燕のいる駅』は、土田英生が代表を務めるMONOの劇団公演として1997年に京都で初演。普遍的なテーマ性が高く評価され、その後様々な劇団・プロデュースにより繰り返し上演されてきた。2005年には宮田慶子演出・相葉雅紀主演で上演、2012年には土田自らが演出し、改変を加えた決定版として上演している。

土田英生(MONO)×和田雅成による珠玉の会話劇『燕のいる駅』稽古場取材会レポート

今回も、再び土田自身が演出し、脚本も2023年の「今」ならではのものになるように大幅ブラッシュアップ。“世界の終わり”という思いがけない現実に直面した人々の心情を、さりげない会話で丁寧に綴っていく。

出演は、和田のほか、高月彩良、小沢道成、奥村佳恵、佐藤永典、尾方宣久(MONO)、久保田磨希が名を連ねている。

土田英生(MONO)×和田雅成による珠玉の会話劇『燕のいる駅』稽古場取材会レポート

物語の舞台となっているのは、埋立地に位置する、テーマパークの最寄り駅「日本村四番」駅。のどかな春の日の午後、燕が巣を作る季節、駅に人々が集っていた。駅員や売店の売り子、その友達、会社員の先輩後輩など・・・ただ、その駅には一向に電車が来なかった。

土田英生(MONO)×和田雅成による珠玉の会話劇『燕のいる駅』稽古場取材会レポート

取材会では、物語冒頭のシーンが公開された。電車が来ないことにいら立つ商社マン・本多大和(尾方)は、駅員の高島啓治(和田)に何が起きているのかと詰め寄る。しかし、高島はどうしようもないから慌ててもしょうがないと、外を見に行ったもう一人の駅員・ローレンコ三郎(小沢)を待とうとのんびりしている。

土田英生(MONO)×和田雅成による珠玉の会話劇『燕のいる駅』稽古場取材会レポート

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すると、そのローレンコが帰ってきて、状況は何も分からなかったが、一人だけ人がおり、声をかけるとついてきたと高島や売店の売り子・戸村優香(奥村)らに語った。弟と待ち合わせをしていた女性客・下河辺友紀(高月)は弟ではないかと期待するが、本多の後輩商社マン・荒井湊(佐藤)は、その人物は“あること”で一時期騒がれていた人だという。その人が何か知っているかもしれないと、一同は期待する。

「ずっと世界が終わると信じていました」と口を開いたその人物(久保田)は、奇妙な現象が起こっている空を見上げて、「きっとその時が来たんだと思います・・・」と告げた。穏やかな時間が流れる駅。ただし、他に人の気配がない。彼らはこの先、どうなるのか――。

会話の中で少しずつ明かされていく状況は、とても奇妙だ。一方で、人々の会話は他愛もなく、特段迫る危機感はない。これは、最近の私たちが置かれている現実に似ているような気がする。新型コロナウイルスの蔓延で取り巻く環境は一変した。世界では戦争が起きている。自然災害が多発し、連日記録的な暑さが続いている・・・。それでも、毎日を生きるしかない。物語で彼らが交わす何気ない会話は、観た後の心にじわじわと沁みていきそうだ。

土田英生(MONO)×和田雅成による珠玉の会話劇『燕のいる駅』稽古場取材会レポート

公演に向けて、和田は「今までにない芝居感を感じていて、いい意味でそれに苦しみつつ、稽古しています。僕は会話が好きで、いつも相手のものを受け取ることを意識しているんですけど、今回は土田さんがいろんな気づきをくれるので、今までとはまた違った“演劇”の会話を楽しんでいます」と語った。

また、「世界が終わるというテーマが根底にありますが、僕自身も、常々、いつ世界が終わってもいいように一緒に生きたいと言ってきました。今、僕たち自身も新しい感覚を手に入れようとしているので、お客様にもそういう感覚を味わっていただきたいです。お客様に寄り添う作品です。ぜひ、一人でも多くの方に観ていただきたいと思っております」と呼びかけた。

『燕のいる駅-ツバメノイルエキ-』は、9月23日(土)から10月8日(日)まで東京・紀伊國屋ホール、10月14日(土)に大阪・松下IMPホールにて上演される。

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

目次

『燕のいる駅-ツバメノイルエキ-』公演情報

上演スケジュール

【東京公演】2023年9月23日(土)~10月8日(日) 紀伊國屋ホール
【大阪公演】2023年10月14日(土) 松下IMPホール

スタッフ・キャスト

【作・演出】土田英生(MONO)

【出演】
和田雅成
高月彩良 小沢道成 奥村佳恵 佐藤永典
尾方宣久(MONO)
久保田磨希

あらすじ

のどかな春の日の午後、燕が巣を作る季節。
埋立地に位置する、テーマパークの最寄り駅「日本村四番」でのこと。
駅員と売店の女、その友達、電車に乗り遅れた会社員らが集っていた。
彼らのたわいもないやりとりは、ごく日常の一コマのようでおだやかな時間が流れている。
ただ、いつもと違うのは電車が一向に来ないこと。
そして他に人の気配がないこと。
そして空には奇妙な現象がおきていた・・・。

公式サイト

【公式サイト】https://event.1242.com/events/tsubamenoirueki/
【公式Twitter】@tsubamenoirueki

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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