2023年4月5日(水)に、ミュージカル『サンキュー・ベリー・ストロベリー』開幕が東京・東京芸術劇場 シアターイーストにて開幕した。初日前には公開ゲネプロ※Wキャスト役は土居裕子が出演)と取材会が行われ、真弓孟之(AmBitious/関西ジャニーズJr.)、土居裕子、高橋由美子、原田優一、まりゑが登壇した。
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本作は、2018年8月に韓国・ソウルの演劇の街テハンノで誕生したオリジナルミュージカル。独り暮らしの老女と、彼女の元に突然やって来たケアロボットが織り成す、ちょっと不思議で、とてもリアルで、とても温かい物語が反響を呼び、同年の「韓国ミュージカルアワード」にノミネート、2021年には再演が実現した話題作。日本では今回が初演となる。
なんともお茶目で愛おしくなるケアロボットを演じるのは、この作品で舞台単独初主演となる真弓、独り暮らしの老女・エンマは、土居と高橋がWキャストで務め、原田とまりゑが脇を固める。演出・訳詞は荻田浩一。
取材会では、まず真弓が「前髪切りすぎてオンまゆみ! AmBitiousの真弓孟之です!!」と持ちギャグで挨拶。すると、まりゑが「前髪切りすぎてオンまりゑ!」と被せて笑いを誘った。
初日を迎えた心境を、真弓は「稽古が始まったのがちょうど1ヶ月ぐらい前で、本当に本番が来ると思えないぐらいずっと緊張していました。まだ全然初日を迎えたっていう実感がないんです」と明かすと、登壇者たちから「今日が初日だよ」とツッコまれ、「今、初日ということ教えてもらったので(笑)。こっからぶちかましていけたらと思います」と気合いを入れ直した。
役どころについて、真弓は「お茶目なロボット役ということで役作りに苦労したんですけど、稽古を重ねていくうちに素の自分に近いなっていうのが第一印象でした。空気を読んでない時が、実は一番空気読んでるみたいな。あえて空気を読んでないという感じで、相手のことを思っているというシーンがよくあるので、そこは自分に近いなと思いました」と印象を語った。
バンドによる生演奏でのミュージカルシーンも魅力の本作。稽古での共演者からの歌唱アドバイスについて、真弓は「ミュージカルで、歌う時に口の開け方とかを意識してなかったんですけど、口を大きく開けるだけで音が安定するっていうの教えていただきました」と振り返ると、「そういう音楽と向き合う時間がこんなに長かったことはないので、新しい発見であり、初めてジャニーズじゃない舞台に立たせてもらって、すごく良い経験です」と打ち明けた。
エンマ役の土居は「ずっと家にこもっているおばあちゃんなんですけど、私も役柄に年齢が近づいてきて結構身につまされるところもあります(笑)。それで、真弓くん演じるロボットがケアしてくれるんですけど、誰かにサポートしてもらうっていうのが、心地よく感じて、そういう風な人生になっていくのかなと思いつつ、自分と照らし合わせながら演じさせていただいております」と笑顔を見せながら、演じる思いを吐露した。
Wキャストでエンマを演じる高橋は「裕子先輩のお芝居をガッツリ観て、メモを取って、私の台本は先輩のお芝居についてメモを取っていてめちゃくちゃ赤い線が入っています。数十年役者をやっていますけど、こんなに台本ががいろんな文字でいっぱいあふれることはなかったので、私にとって何か新たなチャレンジでもあるなと思いながら役をやらせていただいております」と明かした。
そんな2人について、複数の役柄を演じる原田は「一緒に舞台上でやらせていただいても、解釈のそれぞれがキャラクターとして通した時に違ってくるんだなというのは、すごく面白く感じました。女優として本当に尊敬するお二人なので、初共演なんですけども、共演させていただいてうれしいです」と喜びを露わにした。
原田と同じく複数の役柄を演じるまりゑも「エンマ役のお二人と対峙するシーンが多いんですけど、同じ台詞を言ってるのに、目がこんなにもこちらに与えるものが違うんだっていうことが、毎回新鮮で面白くて、毎公演違うし、2人とも全然違うんです」と原田に同調しつつ、「だからエンマ像が観る方によって全然違うものに見えるんじゃないかなと。私たちも受け取るものが違うし、私たちもそれで変化していくの、毎回観てほしいです」と呼びかけた。
舞台単独初主演となる真弓の印象について、土居は「いろんなことにチャレンジして、歌も一生懸命やって、どんどん上手くなっているのを稽古場で毎日感じていると、若いっていいなと心から思います(笑)」と称賛。高橋は「とにかくとってもかわいいロボットの役で、ご自身に近いとおっしゃられているということは素もかわいいということだから、彼のかわいさを百パーセント出せるように頑張ります」と真弓の“かわいさ”を絶賛。
原田も「汚しちゃいけないぐらい純粋です(笑)。僕が18歳の時、こんなに純粋だっただろうかってすごく思っています(笑)」と褒め称えた。さらに、まりゑが「集中力が切れるとお腹やお尻を触るくせがあるみたいで可愛いなと、いつも見てました(笑)。18歳だけど本当は12歳ぐらいなんじゃないかな」と暴露すると、真弓は「お尻を触るのはたまにです(笑)」と反論しつつ、「中身はちょっと幼いですが、このまま素でいきます!」と笑顔で宣言した。
本作の見どころについて、真弓は「だんだんエンマが僕に対して心を開いてくれるというところなんですけど、その過程がめちゃくちゃ好きです。そこが僕の中の見所ですね」とアピール。
土居は「この物語は愛とやさしさに溢れていて、自分よりほかの者を愛して大切にするというお話が一貫して流れている。これが本当に胸を掴まれるポイントです。そして、年の功のエンマの「使えないからといってゴミとは限らない」などの哲学的な言葉がいろいろと挟まれていて、それも見どころの一つです」と挙げた。
高橋は「とにかく真弓くんがかわいくチャーミングなので、お客さんに、あんなロボットってどこに行ったら買えるんだろうと思ってもらえるような真弓くんのチャーミングさをたくさん見てもらいたいです」と訴えた。
原田は「ロボットと人が“人”という字になるみたいな、それって気持ち、愛というところを感じるんだなと思います。そういうヒューマンドラマとして感じてもらいたいです」とコメント。
まりゑは「エンマが、ロボットが出てくることによって自分の人生と向き合って、自分の傷を自分で癒して、向き合っていく過程が、今を生きてる私たちにとっても何か必要なものだなと思っていて、その純粋なメッセージが皆さんに届いたらいいなと思います」と期待を寄せた。
タイトルにちなんで「サンキュー」と言いたい人を尋ねらると、真弓は「この現場の皆さんが本当に優しくて、温かく包んでくださるので、この作品に携わる全ての方に“サンキュー・ベリー・ストロベリー”とお伝えしたいです。皆さん気さくに話しかけてくださって、初めてのミュージカルの現場が本当にこの作品で良かったなって思える環境でいさせてくださって本当に感謝しかないです」と頭を下げた。
同じく土居も「ゲネプロに来てくださっている皆さん、この作品に関わっていらっしゃる、これを初めて韓国で観て感激して涙を流したプロデューサー、演出の荻田さん、キャスト、スタッフ、バンドの皆さんに今日の日を迎えさせていただいてありがとうございますとお伝えしたいです」と感謝を伝えた。続いて、高橋は「以下同文です(笑)」との言葉で笑いを取ると、「この作品に自分が関われたこともありがたいと思いますし、こういうご時世の中で演劇ができることもありがたいです」と述べた。
リアルで幼なじみだという原田とまりゑ。原田は「このお芝居をやっていて、言葉にするって大事だなと思いました、なので、まりゑにLINEで『仲良くしてくれてありがとね。これからもよろしくね』みたいなことを、すごく恥ずかしいと思いながらしました(笑)」と告白。まりゑは「コロナ禍が収まってきて、だんだん劇場に戻って来てくれて、それで私たちは舞台に立てるので、本当に観に来てくださるお客様にありがとうと伝えたいです」と真摯に答えた。
取材の最後に、真弓は「稽古中から泣いちゃうような、本当にほっこりするお話なので、本当にたくさんの多くの人に観ていただきたいです」と呼びかけて、会見を締めた。
ロボットが人をケアする未来の世界。独り暮らしで偏屈な老女エンマの元に突然やって来たロボット。最初は受け入れないエンマだったが、ロボットの言葉や行動の数々によって、いつしか心地よい存在となっていく。しかし、エンマはあるきっかけで忘れたい記憶を思い出していくことに……。
舞台セットはエンマの家がメインのシチュエーションで、そして上手側に原田とまりゑが演じるテレビ放送などのナレーターが立つ場所と、生演奏を披露するバンドが配置されている。設定的にはSFな作品ではあるが、セットからも分かるとおりロボットと人との心の交流を描いたドラマを中心とし、それを彩る数々のミュージカルシーンと生演奏が物語を盛り上げてくれる。
お茶目で愛おしくなるケアロボロボットを、真弓が好演。彼の純粋らしさが、お茶目な言動と行動だけでなく、愉快なミュージカルシーンにもあふれ出ている。さらに、エンマの心の奥底にされけ出されていくにつれ、取材会でも彼が述べた「あえて空気を読んでないという感じで、相手のことを思っている」という彼の演技が胸を打つ。舞台単独初主演らしからぬ、その姿が実に好印象だ。
そして、序盤の偏屈さから、ロボットに感化され人間らしい感情を取り戻し、やがて過去へと向き合うエンマを、土居が圧倒的な歌唱力と演技で観る者を引き込んでいく。さらに、ナレーターなど複数の役を演じる、実力派の原田とまりゑ。2人はリアルの幼なじみということで息の合った共演にも注目だ。
バンドによる生演奏とミュージカルシーンに心が踊り、ハートフルな物語に心が癒やされる感動のミュージカル。タイトルとなっている「サンキュー・ベリー・ストロベリー」の言葉に込められた思いを知った時、観る者すべてが心を打たれることだろう。
ミュージカル『サンキュー・ベリー・ストロベリー』は、4月5日(水)から4月16日(日)まで東京・東京芸術劇場 シアターイースト、4月26日(水)から4月30日(日)まで大阪・サンケイホールブリーゼにて上演。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
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ミュージカル『サンキュー・ベリー・ストロベリー』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2023年4月5日(水)~4月16日(日) 東京芸術劇場 シアターイースト
【大阪公演】2023年4月26日(水)~4月30日(日) サンケイホールブリーゼ
スタッフ・キャスト
【作】パク・ヘリム
【音楽】パク・ユンソル
【オリジナルプロダクション】IM Culture Ltd.
【演出・訳詞】荻田浩一
【音楽監督】堀倉彰
【出演】
真弓孟之(AmBitious/関西ジャニーズJr.)、土居裕子/高橋由美子(Wキャスト)、原田優一、まりゑ
あらすじ
独り暮らしの老女・エンマの元に突然やって来たケアロボット。
ロボットからのメッセージは、「サンキューと言ってください」
エンマなりに落ち着いた暮らしを送っているつもりだった毎日が、そのロボットの出現から、大変化を遂げる。
それは、エンマにとって案外に愉快で、案外に心地よい・・・?
過去と記憶を断絶して生きるエンマの前に現れる、謎の女。
忘れたい筈のエンマの記憶は、彼女を永遠に苦しめ続けるのか、彼女の心を救うのか・・・?
そこに残るのは、ロボットが教えてくれた・・・優しさ・・・?
そんな物語、サンキュー・ベリー・ストロベリー。
公式サイト
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