「ついに俺の芸能生活が終わる」ユースケ節の連続に会場は爆笑の渦に!ミュージカル『おとこたち』開幕レポート

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「ついに俺の芸能生活が終わる」ユースケ節の連続に会場は爆笑の渦に!ミュージカル『おとこたち』開幕レポート

2023年3月12日(日)に、PARCO劇場開場50周年記念シリーズ ミュージカル『とこたち』が開幕した。初日前日には公開舞台稽古と会見が行われ、ユースケ・サンタマリア藤井隆吉原光夫橋本さとし、脚本・演出の岩井秀人が登壇した。

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PARCO劇場が共にクリエイションを行っていきたい才能の持ち主の一人が、ハイバイ主宰の岩井だ。パルコ・プロデュースでの初登場は、2012年上演の『ヒッキー・ソトニデテミターノ』。岩井自身の引きこもり体験をもとに創作した『ヒッキー・カンクーントルネード』の後日談ともいうべき内容で、初期の岩井の代表作を見事に昇華させ、クリエイターとしての岩井の可能性が広がるきっかけとなった。

その後、2019年上演の『世界は一人』では、ミュージシャンの前野健太とタッグを組み初のオリジナル音楽劇に挑戦し、好評を博した。その成功を得、音楽を使ってより作品世界の幅を広げる企み、試みをやっていきたいという岩井の強い希望が、今回のミュージカル『おとこたち』に繋がったという。

『おとこたち』は、岩井が主宰するハイバイの劇団公演として2014年に初演され、NHKのクローズアップ現代「男はつらいよ2014」でも取り上げられるなど話題となった。2016年に再演、地方五都市にて上演。4人の“おとこたち”の22歳から85歳になるまでの人生に起こるさまざまな出来事、愛、不倫、老い、病、死、暴力など、現代のおとこになら誰にでも起こりそうな重たい問題を描きながら、そんな4人の「おとこたち」の、散々だったけど笑ってしまうような壮絶な人生の物語を綴る。

本公演では、音楽の前野と岩井が再びタッグを組み、ユースケ、藤井、吉原、橋本のほか、大原櫻子、川上友里の豪華キャストでミュージカルとして届ける。

会見では、初日を迎える心境について、まずユースケが「ついにこの日が来たかというか、今まで30年近くがんばってきて、ついに明日、俺の芸能生活が終わるんだ・・・というぐらいのの恐怖心があります。でも、いつも舞台の前日とかはこんな感じです。だけど、ほかのみんなは違う! 絶対にやってやるんだという感じです!」と、いつものユースケ節を炸裂させると、登壇者たちは「そんなこと言われても・・・(笑)」と苦笑いを浮かべた。

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藤井は「1月から稽古を重ねてまいりまして、大好きなPARCO劇場に実際に入って、すごくテンションが上がっています。楽しみです」と喜びを露わに。吉原も「僕も見た目的には緊張しないでしょと言われるんですけど、めちゃくちゃの緊張しいなので、ユースケさんと同じ気持ちです。今日初めて通すので、楽しみあり、ど緊張ありでがんばりたいです」と意気込んだ。

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橋本は「いよいよ明日から初日ということで、めっちゃフワッとしています(笑)。このフワッとした感じが、この作品にはすごく合っていると思うので、あえてフワッとしながら、その中でいろんな発見を毎日しながら、みんなで楽しく、それこそ楽しみながら、お客さんと一緒に出演者、スタッフ一丸となって、フワッとした舞台をお届けしたいと思います」とフワッとしたコメントで笑顔を見せると、改めて「必ず笑って泣いて感動できる舞台になると思います」とアピールした。

4人のコメントを聞いた岩井は「緊張していたり、フワッとしていたりですが、僕はすごく正しいところにある気がしています。言ってみれば4人のおとこたちの20歳から80歳までの人生のロールプレイみたいなものなので、お客さんの目の前で、もしあの時、こっちに行っていたらという人生のロールプレイを生で、その場でやっていくという空気がすごく大事だと思っています」と心境を明かした。続けて、4人に対して「フワッとした空気は不安だと思うんですけども、キャスティングした時から、ただ演技を徹底的にやるというのではなくて、お客さんの空気を貰いながら、その空間の空気を貰いながらやる俳優さんたちとお願いしているので、きっとお客さんと一緒にその場で毎回違うロールプレイを見せてくれると思います」と期待を寄せた。

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共演者たちのエピソードを尋ねられたユースケは、「とりあえず全員が1回ずつキレました」と稽古を振り返りながら笑いを誘うと、「それで岩井くんもすごく困っていましたね。ただ、キレるまではいかないんですよ。でも、キレる寸前までは全員が一通りいったみたいな。今回、具現化するのが難しいというか、非常に変わった舞台で、分からないこともたくさんあって、なんかガチでキレる寸前だという感じがね、僕もそういう感じになった時もあります。でも結果ね、それを通り越していい感じになりました。もう忘れようや。けんか両成敗だと。岩井くんと別に溝ができたわけでもないし。その結果、深い稽古ができたような、深い舞台ができる気がします」」と相変わらずのユースケ節に対して、岩井は終始にこやかに笑みを浮かべていた。

3月10日が藤井の誕生日で、初日の12日がユースケの誕生日という話になると、ユースケから誕生日プレゼントを貰ったという藤井は、ユースケに向かって「初日当日には盛大にサプライズを仕掛けようと思っていますので、ご期待ください!」とまさかのサプライズを予告。ユースケも藤井に「そんなこと言う? ものすごく期待してしまうよ」と言葉を返すと、「初日に舞台に出たら、お客さんたちから『ユースケさん、おめでとう!!』とお祝いされて、それから胴上げされてね」とサプライズが待ち遠しい様子。

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最後に登壇者たちから、メッセージが送られた。岩井は「この作品を古典にしようという話をして、稽古を始めたんです」と本作への思いを明かすと、「近現代の“おとこたち”の生きやすかった時代から、生きにくい時代に突入した過渡期のことを描いていて、今も同じような誰かに当てはまる人生で苦しんでいたり、苦しいんだけどそのことに気づいていない人が山ほどいると思うし、あと女性から見ても、近くにいるというような人が絶対にいると思うんです。そういう風に僕は観た人が自分の人生とか、自分の周囲の人の人生を思い描くことができるものが優れた作品だと思っています」と説明。そして、「この4人に出演してもらって、ちょっとフワッとしているとおっしゃっていましたけど、お客さんの前で初めて完成するものだと思っているので、ぜひ観に来ていただいて、いろんな人生の行く末を案じることが多いかもしれないですけど、この作品は。それも含めて人生のロールプレイと思って楽しんでいただけたらと思います」と見どころとして挙げた。

吉原は「岩井さんは古典とおっしゃていましたが、僕からするとどんどん新しくアップデートされていて、『おんなたち』として女性たちで上演してもいいんじゃないかなというぐらい時代は変っていくと思うので、あんまり『おとこたち』というタイトルに引っ張られず、女性も楽しめる作品だと思いますので、ぜひ劇場に来てください」と訴えた。

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ユースケは「僕は、僕より下の年代の人にメッセージを」と身構えつつ、「いいか! 人生、裏の裏は表なんだ……」とドヤ顔でコメントするものの、会場のイマイチな反応に「(このコメントは)使わなくていいですから、俺がいなかったというのでも構わないので、切ってくれと思いながら言っているから」と最後までユースケ節を貫き、会場を笑いに包んだ。

藤井は「ハイバイの皆さんの上演版をご覧になられた方々が、ミュージカルになると知ってくださって、どうなるのかと仕事場で、いろんな人から聞かれることが多かったです」と周囲の反応を語りながら、「以前の『おとこたち』を好きな方がたくさんいらっしゃるので、本当に心してかからなきゃいけないなと思って、稽古を頑張ってきました。初演が好きな方もどんな風に思っていただけるのか、ぜひお伺いしたいので、ぜひ劇場にお越しいただけたらと思います」と呼びかけ、最後に橋本が、4人のコメントに続いてのことから「てな感じで見てください。お待ちしています」と笑顔で会見を締めた。

「ついに俺の芸能生活が終わる」ユースケ節の連続に会場は爆笑の渦に!ミュージカル『おとこたち』開幕レポート

物語は、82歳の山田(ユースケ)がいる老人ホームから始まり、若い頃の時代に移る。山田、津川(藤井)、鈴木(吉原)、森田(橋本)が集まるカラオケボックスで、4人は山田の大学卒業祝いに、4人でファッションヘルスに行った時の話で馬鹿騒ぎに興じる。やがて4人はそれぞれの道を進むことに。

山田は、新卒で入社した会社をすぐ辞めてしまい、クレーム対応の仕事を始める。戦隊ヒーローで売れ、スターとなった津川だが酒に溺れて撮影現場で失態をさらしてしまう。フリーターの森田は妻の良子(川上)がいながら、純子(大原)と不倫をしていたが、森田の知らないところで良子と純子は連絡を取り合っていた。製薬会社の営業マンとして順風満帆な人生を歩んでいた鈴木は、ある出来事から落ち込み、妻の花子(大原)とも気持ちがすれ違っていく・・・。

四者四様のおとこたちによる人生の悲喜こもごもがフワッとした不思議な空気感の中で描かれる本作。

「ついに俺の芸能生活が終わる」ユースケ節の連続に会場は爆笑の渦に!ミュージカル『おとこたち』開幕レポート

周囲に流され自主性のない山田を飄々としたユースケが、彼らしさを全開で演じれば、藤井がスターから転落していく津川をコミカルに演じる。そして、帝国劇場のミュージカル『レ・ミゼラブル』で長くジャン・ヴァルジャンを務め、数々のミュージカルでも活躍する吉原と、テレビ・映画・舞台で活躍し、ジョン・ケアード演出のミュージカル『レ・ミゼラブル』でジャン・ヴァルジャンを演じた橋本の2人による圧倒的な歌唱力で下世話な内容のミュージカルナンバーを歌い上げるギャップがたまらなく面白い。

時には笑い、時には泣かせる物語とミュージカルナンバーに、それを彩る大原と川上の女優陣と生演奏によって、おとこたちの人生のロールプレイが綴られる。

PARCO劇場開場50周年記念シリーズ ミュージカル『おとこたち』は3月12日(日)から4月2日(日)まで東京・PARCO劇場にて上演後、4月8日(土)から大阪、福岡を巡演する。上演時間は約2時間40分(休憩20分含)を予定。

(取材・文・撮影/櫻井宏充)

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PARCO劇場開場50周年記念シリーズ ミュージカル『おとこたち』公演情報

上演スケジュール・チケット

【東京公演】2023年3月12日(日)~4月2日(日) PARCO劇場
【大阪公演】2023年4月8日(土)・4月9日(日) 森ノ宮ピロティホール
【福岡公演】2023年4月15日(土)・4月16日(日) キャナルシティ劇場

スタッフ・キャスト

【脚本・演出】岩井秀人
【音楽】前野健太

【出演】
ユースケ・サンタマリア 藤井隆 吉原光夫
/大原櫻子 川上友里/橋本さとし

<演奏>
佐山こうた(pf) 種石幸也(b)

公式サイト

【公式サイト】https://stage.parco.jp/program/otokotachi/
【公式Twitter】@parcostage




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この記事を書いた人

演劇、海外ドラマ、映画、音楽などをマルチに扱うエンタメライター。エンタステージ立ち上げからライターとして参加し、小劇場から大劇場のストレートプレイにミュージカル、2.5次元、海外戯曲など幅広いジャンルにおいて演劇作品の魅力を日々お伝えしています!

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