2022年10月よりパルコ・プロデュース2022『凍える』（原題：FROZEN）の上演が決定した。本作は、「病的疾患による連続殺人」を描いたヒューマンサスペンス。栗山民也の演出で、坂本昌行、長野里美、鈴木杏が出演する。
1998年にイギリスで初演された『FROZEN』は、2004年にＮＹで上演され、同年に演劇賞の権威「トニー賞」のBEST PLAYにもノミネートされたブライオニー・レイヴァリーの作品。2018年には、ロンドンのTheatre Royal Haymarketにてジョナサン・マンビィの演出でもリバイバル上演もされている。
10才の少女ローナが行方不明になってから20年後のある日、連続児童殺人犯が逮捕される。児童連続殺人犯のラルフを前に、ローナの母ナンシー、精神科医のアニータがそれぞれ対峙することとなる。3人の心の中には、拭いきれない絶望感、消えることのない悲しみ、やり場のない憎悪が渦巻く。それぞれ止まったままの時間は、再び動き出すのか。
坂本は、幼少に受けた虐待で患った疾病により、児童に執着し殺人を繰り返してしまう難役に挑む。長野は20年間愛する娘の生還を信じ続け、娘の死を知らされた今も現実を受け入れることの出来ない母親、鈴木は坂本演じる殺人犯の担当精神科医を演じる。
パルコ・プロデュース2022『凍える』は、10月2日（日）から10月24日（月）まで東京・PARCO劇場にて上演される。その後、福島・兵庫・豊橋・松本・新潟・北九州・沖縄を巡演。
コメント紹介
◆栗山民也（演出）
いつものことですが、新しい作品と初めて出会う時は、部屋の灯りなど辺りの環境を整え、開演の幕が上がるその時の気持ちで、「えいっ！」とプリントの一枚目をめくります。そして、一気に幕の降りるまで読みます。劇場の観客が感じる同じ時間で、同じ体験をするのです。鉛筆片手に、思いついたことは台本の余白にメモします。これが案外役に立ちます。とにかく、新しい物語に初めて触れた、その時のリアルな実感を大事にしたいのです。
この『凍える』という劇も、そのように読み始めました。多くの場面のそれぞれの世界感、登場人物である3人のモノローグのバラバラな感情、時間、背景、質感、それらがぐるぐると円環しはじめ、物語が一つの網のように絡みついていきます。こんな複雑で面倒な台本は初めて。すぐにプロデューサーに、「これで、いきましょう」と、電話をしました。
◆平川大作（翻訳）
『凍える』には主人公が存在しません。鮮烈な出来事の前では主人公も脇役もなく、個々の人間が自分の置かれた位置からそれに対峙するしかない。3人の独白の連打という、戯曲の形式としてはやや特異な手法でこの作品が語りはじめるのは、そのような状況です。やがて三人が放つ強烈な磁場はお互いを引き寄せ、干渉し、舞台上に意想外の文様を浮かび上がらせることでしょう。3人のキャストの磁場から、栗山さんが描く文様を劇場でぜひ目撃いただきたいと思います。
◆坂本昌行
普段の生活では、なかなか起こり得ない、また、センセーショナルな内容ですが、非常に考えさせられる舞台になっています。
今までに演じたことの無い「連続児童殺人犯」ラルフを演じます。ラルフという人間になった時に、どのように気持ちが動いてどのようになってしまうのか、僕自身楽しみですし、心も体ものめり込んで行けたらと思います。僕が30年前に初舞台を踏んだ時（1992年『ミュージカル 阿国』）の演出家が栗山さんだったので、たくさんの時間と経験を経て、再びご一緒できることがとても楽しみです。PARCO劇場に立つのは22年振り(2000年『東京サンダンス〜俺たちの20世紀〜』)なので、22年前とは違った僕を見ていただけたら嬉しいです。劇場でお待ちしてります。
◆長野里美
本作がパルコでの3人芝居であることと、以前から演出を受けたかった栗山民也さんが抜擢してくださったという情報だけで出演を決めたのですが、決めてから本を読み、おののきました。
こんなに一人でしゃべるなんて！後半まで共演者と（舞台上で）助け合うこともできない。しかも心情の移り変わりが難しい。今も震えています。けれど、愛する者を失う気持ちはきっと観て下さる方と共有できると信じて立ち向かいます。ナンシーのように。
◆鈴木杏
またハードルが高い戯曲と出会ってしまったなぁと思っています。スリリングで繊細な対話のなかに、生きていく上で大切なものが埋まっていそうで、それをたくさん見つけたくて、今から稽古が楽しみです。栗山さんと再会できるのは、ご褒美のようで嬉しく、同時に背筋が伸びます!坂本さん、長野さんと向き合った時に生まれるものを大切にして、観に来てくださった方の記憶の片隅に残るような舞台をお届けできるようにがんばります。
パルコ・プロデュース2022『凍える』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2022年10月2日（日）～10月24日（月） PARCO劇場
【福島公演】2022年10月30日（日） いわき市芸術文化交流会館アリオス中劇場
【兵庫公演】2022年11月3日（木）～11月6日（日） 兵庫県立芸術文化センター阪急 中ホール
【豊橋公演】2022年11月10日（木）～11月13日（日） 穂の国とよはし芸術劇場 PLAT 主ホール
【松本公演】2022年11月16日（水）・11月17日（木） まつもと市民芸術館 主ホール
【新潟公演】2022年11月26日（土）・11月27日（日） りゅーとぴあ・劇場
【北九州公演】2022年12月3日（土）・12月4日（日） 北九州芸術劇場 中劇場
【沖縄公演】2022年12月10日（土）・12月11日（日） 那覇文化芸術劇場 なはーと
【作】ブライオニー・レイヴァリー
【翻訳】平川大作
【演出】栗山民也
【出演】
ラルフ：坂本昌行
ナンシー：長野里美
アニータ：鈴木杏
【公式サイト】https://stage.parco.jp/program/kogoeru
