2022年6月17日(金)に東京・サンシャイン劇場にて『殺人の告白』が開幕した。本作は、実際に起きた韓国史上最悪の連続殺人事件をモチーフにしたサスペンス映画『殺人の告白』(2012年)を初舞台化したもの。主演は韓国の男性ダンスヴォーカルグループ「SUPERNOVA(超新星)」のリーダー・ユナク、そして連続殺人犯を追う刑事役は「CEMISTRY」の堂珍嘉邦が演じる。
ユナクと堂珍はミュージカル『RENT』(2015年/2017年)でロジャー役をWキャストで演じており、今回が待望の共演。また、2人はストレートプレイに初めて挑む。本記事では、公開ゲネプロから作品をレポートする。
【レポート】実際に起きた連続殺人事件をモチーフにした映画を初舞台化
15年前、韓国を震撼させる連続殺人事件が起きた。その連続殺人事件の被害者には刑事チェ・ヒョング(堂珍)の婚約者チョン・スヨン(岡田夢以)も含まれていた。ヒョングは事件を追っている最中に犯人と対峙し口元に大きな傷をおってしまう。
連続殺人事件が時効を迎えた直後、自分が犯人だと名乗り出る男イ・ドゥソク(ユナク)が現れる。その後、彼は時効成立後のため無罪となり自分の犯した殺人について詳細に記した本を出版。その衝撃的な内容と美しいルックスでその人気は過熱する。当時の刑事であるヒョングを出版記者会見で名指して挑発し熱狂の渦に巻き込んでいく。
ドゥソクの人気に怒りを抑えられないのはヒョングの婚約者スヨンの父親チョン・ウヌ(岡田浩暉)ら連続殺人事件被害者の遺族たちである。彼らは復讐のためドゥソクを連れ去る計画を練っていく。
一躍時の人となったドゥソクとヒョングは、討論番組に担ぎ出される。そして生放送中にJ(前川泰之)という人物から電話がかかってくる。男は、自分こそが連続殺人事件の真犯人だと名乗った。
美しい連続殺人犯、それを追う刑事、悲しみを抱えた遺族たち、真犯人と名乗る男、様々な思惑が交錯した連続殺人事件の真相とは・・・。
過去を描いた映像をはさみながら進んでいく物語。暗く重みのある色合いで撮られた映像は、まるで韓国映画のようで一段と世界観に入り込んでしまう。ユナクや堂珍の映像を通した演技もアップで見られるのも注目だ。バイクとトラックを使ったアクションシーンは映像を使わずステージで繰り広げられるのでこちらも見どころである。
作品により重厚さを加えているのがJ役の前川とウヌ役の岡田だ。前川は「観客に気持ち悪い、こいつむかつくと思われるように精一杯がんばる」とコメントしていたが、本心の見えず得体のしれないJとして存在感たっぷり。被害者の父親役の岡田は常に大きな悲しみをまとい、内に怒りを秘めた姿を体現していた。
作品に重さだけではなくホッとさせる部分を担っているのは「一人自由にやらせてもらっている」と語る出版社女社長オ・ソヨン役の大林素子。女社長の強さを可愛らしさを持っている。ヒョングの相棒グァンス役小南光司も「先輩たちに負けないくらい体を削って最後まで演じぬく」と若手たちも気合十分。
ユナク演じるドゥソクは正に「美しい犯罪者」。常に柔和な笑みを浮かべ世間を、観客を魅了していく。一方、堂珍演じるヒョングは強く意思のある目を持ち連続殺人事件に挑んでいく姿が印象的だ。正反対に見える二人が対峙するシーンは常に緊張感があるが目の奥にある真実が判明した時、再度作品を観たくなることだろう。
舞台『殺人の告白』は6月17日(金)から6月26日(日)まで東京・サンシャイン劇場にて上演。上演時間は休憩なし約110分を予定。
(取材・文・撮影/一本柳歌織)
舞台『殺人の告白』公演情報
上演スケジュール・チケット
2022年6月17日(金)~6月26日(日) サンシャイン劇場
スタッフ・キャスト
【出演】
イ・ドゥソグ:ユナク
チェ・ヒョング:堂珍嘉邦
グァンス:小南光司
チョン・スヨン:岡田夢以
カン・ドゥヒョク:日向野祥
チョン・テソク:白又敦
チェ・ガンスク:加藤里保菜
チャン・ミジャ:大林素子
J:前川泰之
チョン・ウヌ:岡田浩暉
【原作】Jung Byung-gil
【脚本・演出・映像】ヨリコ・ジュン
【協力】SHOW BOX
【公式サイト】http://s-kokuhaku-stage.com/
【公式Twitter】@s_kokuhaku