2022年6月11日(土)に東京・PARCO劇場にて『てなもんや三文オペラ』が開幕。本作は、鄭義信の作・演出、生田斗真の主演で、ベルトルト・ブレヒトの『三文オペラ』を1950年代の大阪に置き換えて描いた作品。6月8日(水)からの上演を予定していたが延期となっており、この度満を持して初日を迎えた。
原作となっている『三文オペラ』は、差別と貧困・資本主義社会を痛烈に風刺した名作音楽劇。鄭は、ロンドンの貧民街を、第二次世界大戦で破壊された大阪砲兵工廠(現在の大阪城公園・森ノ宮地域にあった大規模な兵器工場)の跡地に置き換え、戦後をたくましく生き抜く人々の物語として大胆に翻案した。
生田が演じるのは、盗賊団のボス・マック(通称:マック・ザ・ナイフ)その彼と対立関係にある「乞食の友商事」社長・ピーチャム役には渡辺いっけい、その妻シーリア役には根岸季衣、マックの古くからの盟友でありながら、ピーチャムに脅され、マックを逮捕しようとする警察署長ブラウン役には福田転球。
マックの昔なじみでありながら、ピーチャムにそそのかされてマックを裏切る”娼婦”ジェニー役に福井晶一、ブラウンの娘でマックの子を身ごもっているルーシー役に平田敦子と、濃いキャラクターたちが顔を揃える。
そして、鄭が打ち出した最も大胆なアイデアは、原作ではピーチャムの一人娘ポリーという、女優が演じる役を、ポールという一人息子に置き換えたこと。ポールは、マックの恋人であり、結婚まですることとなる。演じるのは、ウエンツ瑛士。生田とウエンツは、『天才てれびくん』以来の朋友という間柄。ラブシーンも盛り込まれた関係性を、2人がどのように演じるのか、注目だ。
パルコ・プロデュース2022『てなもんや三文オペラ』は、6月11日(土)から6月30日(木)まで東京・PARCO劇場にて上演。その後、福岡・大阪・新潟・長野を巡演する。上演時間は約3時間5分(休憩20分含)を予定。
(撮影/宮川舞子)
コメント紹介
◆生田斗真(マック・ザ・ナイフ役)
本来であれば6月8日に幕を開ける予定でしたが、それが叶わず、楽しみにしてくださっていた皆さんに大変申し訳ない気持ちでいっぱいです。
本日、ようやく開幕することができます。
東京だけでなく、様々な土地にお邪魔する公演ですので、多くの方々に喜んでいただきたいと思います。
笑って、泣いて、また笑って、劇場で素敵な時間を一緒に過ごしましょう。
◆ウエンツ瑛士(ポール役)
この度、子供の頃からの友人(幼馴染と言っても過言ではない)の生田斗真の恋人役を演じます。舞台上で言葉を交わす時、ふっと昔が蘇る瞬間があるのは、いかに当時強いインパクトがあったかと思い出されます。しかし、彼とお芝居をするまではそんなことは全く忘れていました。
この作品は戦後のお話です。作中では輝かしい未来に向かって思いを馳せる。今、僕らは現実にその未来にいる。人間には「忘れる」という素晴らしい能力があり、そのお陰で生きていける。そしてそのお陰で同じ過ちを犯す。
鄭さんの元で、大好きなキャストの方々とお客様の前に立てる喜びを嚙みしめながら精一杯努めたいと思います。
◆渡辺いっけい(ピーチャム役)
踊ります。歌います。叫びます。
「三文オペラ」を知らないあなたも知っているあなたも寄ってらっしゃい観てらっしゃい!決して損はさせません。斗真くん演じる主人公マックは只の女ったらしの泥棒なのか?はたまたヒーローなのか?
どうぞあなたの目で確かめてください。
どこまでも猥雑でどこまでも汗臭くどこまでも真っ直ぐな我らが『てなもんや三文オペラ』・・・いよいよ開幕です!
スタッフキャスト一同、劇場にてお待ち申し上げております。ひらに、ひらに。
◆鄭義信(作・演出)
正直、もうドキドキです。誰もが知る『三文オペラ』――大きな一枚岩のような芝居に、穴をうがこうと、キャスト、スタッフと今日まであがいてきました。
それがどう評価されるのか・・・この作品が観客の皆さまの胸に届きますよう、切に切に願っています。
パルコ・プロデュース2022『てなもんや三文オペラ』公演情報
上演スケジュール・チケット
【東京公演】2022年6月11日(土)~6月30日(木) PARCO劇場
【福岡公演】2022年7月9日(土)~7月11日(月) 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
【大阪公演】2022年7月16日(土)~7月24日(日) 森ノ宮ピロティホール
【新潟公演】2022年7月30日(土)・7月31日(日) 新潟テルサ
【長野公演】2022年8月6日(土)・8月7日(日) サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大ホール
スタッフ・キャスト
【作・演出】鄭義信
【原作】ベルトルト・ブレヒト
【音楽】クルト・ヴァイル
【音楽監督】久米大作
【出演】
生田斗真 ウエンツ瑛士 福田転球 福井晶一 平田敦子
荒谷清水 上瀧昇一郎 駒木根隆介
妹尾正文 五味良介 岸本啓孝 羽鳥翔太 大澤信児 中西良介 近藤貴郁 神野幹暁
根岸季衣 渡辺いっけい
<演奏>朴勝哲
あらすじ
1956年(昭和31年)、秋、早朝。猫間川沿いの川岸には、トタン屋根のバラックが肩寄せあっている。
その目と鼻の先、川向うに、「大阪砲兵工廠」跡地が見える。かつて、そこはアジア最大の軍事工場だったが、アメリカ軍の空爆で、廃墟と化した。数年前に勃発した朝鮮戦争の「朝鮮特需」で、鉄の値段がはねあがると、「大阪砲兵工廠」跡地に眠る莫大な屑鉄をねらって、有象無象の人々がつぎつぎと集まってきた。
彼らは、いくら危険だろうが、いくら立ち入り禁止の国家財産だろうが、おかまいなし。目の前のお宝を、指をくわえて見ている阿呆はいない。夜な夜な、猫間川を越え、環状線の鉄橋を越え、時に、弁天橋の警備員詰所を正面突破して、屑鉄を掘り起こした。そんな彼らを、世間の人たちは「アパッチ族」と呼び、彼らの住む場所を「アパッチ部落」と呼んだ――。
「アパッチ族」の親分・マック(生田斗真)は、屑鉄のみならず、さまざまなものを盗んで盗賊団を組織していた。恋人のポール(ウエンツ瑛士)との結婚式を挙げるマックのことを、うとましく思う「乞食の友商事」の社長ピーチャム(渡辺いっけい)と妻のシーリア(根岸季衣)は、警察署長タイガー・ブラウン(福田転球)を脅し、なんとかマックを逮捕させようとするが・・・。マックの昔なじみの娼婦ジェニー(福井晶一)と、ブラウンの娘ルーシー(平田敦子)をも巻き込み、事態は思わぬ方向へとすすむ――。
【公式サイト】https://stage.parco.jp