2022年4月21日(木)に開幕するミュージカル『弥生、三月 –君を愛した30年-』。本作は、2020年3月に公開された同名映画をミュージカル化するもので、林翔太と田村芽実が演じる“運命で結ばれた2人”の「30年」を3月だけで切り取って描いていく。
ピアノの生演奏、オリジナル楽曲で紡ぐラブストーリーを、ストーリーテラーとして引っ張っていく重要な役どころを演じるのが、神里優希だ。ミュージカル作品への出演が続く神里に、本作にかける想いや、近年の変化などについて聞いた。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
遊川和彦監督の映画を初ミュージカル化
――本作は、映画をミュージカル化しているということで、原作となっている映画をご覧になった時の印象を伺えますか?
登場人物たちの30年間を、それぞれの3月に起こった出来事だけで見せていくというのはすごく斬新でした。パラパラと本をめくるかのような感覚があって、とても素敵なストーリーだなと思いました。
――3月というのは、日本人にとってちょっと特別な時期でもありますね。
そうですよね。卒業や別れの季節であり、新しいことへの期待膨らむタイミングでもあり。みんな、何かしら繊細な想いを持つ季節なので、そこに焦点を当てるというのがとてもドラマティックで、すごく面白いなと思いました。
――ミュージカル化すると聞いた時は?
最初は、この物語をどうやって歌とダンスで表現するのか、想像がつかなかったんです。台本をいただいた時に、ト書きに心情をダンスで表現するようなことが書いてあったので、音楽と振付でこの物語がどう変化していくのか、出来上がりが僕自身も楽しみです。
5歳から25歳まで?「あゆむ」はストーリーテラー的役割
――神里さんが演じる「あゆむ」は、5歳から25歳までが描かれ、作品のストーリーテラー的な役割も担いますね。
はい。5歳の時も演じますが、短パンを履くとかそういうことはなくて(笑)。演出の菅野こうめいさんに、当初から「普通に役としてその時間を生きてくれれば大丈夫」と言われていて。多少、声を工夫したりはすると思うんですが、5歳児を演じなくちゃ!と気負うのではなく、1人の少年が成長していく段階を、物語と絡みながらしっかりお見せできたらいいなと思っています。
――多感な時期に様々な経験をしますが、人物像としてはどのように捉えていますか?
小さい頃に父と離れ離れになって、複雑な気持ちを抱えていきていたと思うんです。でも、弥生さんをきっかけに父と再会できて、夢も見つける。きちんと前を見ることができていて、すごいなと思います。僕自身は、中学生くらいの頃は夢をもっていなかったので・・・。若い方にもきっと共感してもらえるだろうし、悩んでる人にもあゆむの姿を観てほしいです。
――神里さんにとっての「夢」ができたのは、いつだったんですか?
この世界でお芝居を続けていきたいなとちゃんと思ったのは、20歳くらいの頃でした。最初は「演じる」ことに全然興味がなかったんです。事務所に入ったのも、「有名人になりたいな」ぐらいの漠然とした気持ちでした。
でも、ミュージカル『テニスの王子様』と出会って、お芝居をすること、しかも人前に立つという、最初は想像もできなかったことが、すごくおもしろくなっていったんです。その後もいろんな舞台に立たせていただく中で、もっといろんな役をやってみたい、お芝居に対して真摯に向き合っていきたいという気持ちが、徐々に大きくなっていきました。
「歌うことへの意識が強くなった」神里優希に感じる変化
――ここ数年も、何か心境の変化などありました?語る力や、歌の説得力がとても強くなった気がしていたのですが・・・。
ここ数年というと、『Oh My Diner』や、ミュージカル『GREASE』、歌う作品に出演させていただきました。昔から、ミュージカルをやりたいな、目指してみたいなという気持ちはずっとあって。最近、自分が身を置く環境が変わって、ありがたいことに目をかけていただけた、というのはあります。自分自身では、変化を感じるまでには至っていないし、歌も技術もまだまだ全然なんですけど、レッスンを通して気持ちで歌うことへの意識が強くなったことはあるかもしれないです。そう言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。
――努力の成果がきちんと本番で実を結んでいたから、そう感じていたんだと思います。
ミュージカル作品は、稽古を通して技術を学ばせていただいたり、心に響く歌とはどういうことなんだろうと考えたり、改めて歌うことと向き合う時間にもなっています。そして、新しく所属させていただいた事務所の方々と出会って、ミュージカルに漠然と憧れを持つだけでなく、本気で向き合ってみようと思えるようになったのが大きいのかもしれません。
――今回の役はストーリーテラーも担いますから、歌で物語る力が重要ですね。
僕、何故かストーリーテラー的な役をやる機会が結構多くて(笑)。今回は、台詞だけでなく歌でお客様を物語に引き込んでいかなければいけないので、また新しい挑戦です。期待に応えて、役目を果たせるようにがんばりたいなと思います。
――太郎役の林翔太さんとは初共演、弥生役の田村芽実さんとはミュージカル『GREASE』でもご一緒されていましたね。
お二人とは、役的にすごく関わりが多いので、一緒に試行錯誤していけたらと思います。林さんは、男性キャスト同士仲良くさせていただきながら、お芝居も歌も素晴らしい方なので、いろいろ盗ませてもらおうと思います(笑)。芽実ちゃんとも、また一緒に作品作りができるのがめちゃくちゃ嬉しいです。少人数のミュージカルなので、みんなで力を合わせてやっていけたらと思っています。
3月の想い出は「特別なことがあったわけじゃないけど、青春でした」
――物語が描く3月、上演される4月は、新しい一歩を踏み出す季節です。神里さんご自身は、3月と聞いて思い出すことはありますか?
3月・・・やっぱり卒業かなあ。でも、何か特別なことがあったわけじゃないんです。僕、中学校の時の制服が学ランだったんです。学ランって言ったら、「女の子に第二ボタンくださいって言われたりするのかな?」って期待するじゃないですか。・・・全くなかった!なくなってる友達もいましたけど、僕が一緒にいた仲間は誰もそういうことがなくて、聞いてた話と全然違うよ・・・と思っていました(笑)。
高校は学ランじゃなくて、ブレザーだったし。やっぱり何もなかったなあ。でも、文化祭で友達と踊ったり、高校生活は楽しい想い出が多くて、卒業式でめちゃくちゃ泣きました。青春でしたね。
――では、新しい一歩を踏み出す時に大事にしていることはありますか?
新しい稽古場に入る時も、昔は緊張して縮こまってしまって何もできない、みたいなことも多かったんですが、最近はやったもん勝ちだと思えるようになりました。思ったことはやってみた方が絶対に自分のためになるし、作品のためになる。新しいことに挑戦する時は、貪欲に、ひたむきにやることを心がけています。
まだまだ挑戦したいことはたくさんあるので、だからこそ学ぶ姿勢を怠らずに過ごしていきたい。そうできるように、常に健康で、たくさん食べていたいなと思います(笑)。
――変わらず、食べることはお好きですか?
はい、めちゃくちゃ好きです。自分でも引くほど食べます。元気な証拠ですね(笑)。
――元気な神里さんを、舞台上で拝見するのを楽しみにしております(笑)。
ありがとうございます。あゆむという役としてだけでなく、ストーリーテラーとして皆様を作品の世界に引き込めるように、しっかり心に響くようなお芝居と表現を稽古場で練って、本番を迎えたいと思いますので、ぜひぜひ劇場に足をお運びいただけたら嬉しいです。
この投稿をInstagramで見る
ミュージカル『弥生、三月 –君を愛した30年-』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2022年4月21日(木)~4月24日(日) サンシャイン劇場
【京都公演】2022年4月27日(水)・4月28日(木) 京都劇場
【名古屋公演】2022年5月5日(木) 名古屋市公会堂
【大阪公演】2022年5月7日(土)・5月8日(日) サンケイホールブリーゼ
スタッフ・キャスト
【原作】遊川和彦
【脚本・作詞・演出】菅野こうめい
【音楽】坂部剛
【出演】
林翔太 田村芽実 岡田奈々 神里優希 /kizuku 大倉杏菜
<ピアノ生演奏> 安藤菜々子
【テーマ曲】「初恋」(平井真美子)
【公式サイト】https://yayoi-musical.com/
【公式Twitter】@yayoi_musical