2022年6月から7月にかけて、舞台『室温~夜の音楽~』の上演が決定した。本作は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)の描いたホラーコメディ。河原雅彦の演出で、古川雄輝が主演を務める。
舞台『室温~夜の音楽~』は、2001年にKERA自身の演出で上演。人間が潜在的に秘めたる善と悪、正気と狂気といった、相反する感情に恐怖と笑いを織り込み、第五回鶴屋南北戯曲賞を受賞した。
今回演出を手掛ける河原は、2021年に『カメレオンズ・リップ』で初めてケラ作品を手掛けている。河原がこの戯曲にほれ込み上演を熱望したことで、約21年ぶりに復活が決まった。また、作品のタイトルにもある通り本作のカギとなる音楽は、“新しい時代のディープファンクバンド”在日ファンクが手掛け、全公演に出演する。
主演の古川が舞台に出演するのは、2019年の『神の子どもたちはみな踊る』以来約3年ぶりで、ケラ作品、河原演出とは初顔合わせ。共演には、平野綾、坪倉由幸(我が家)、浜野謙太(在日ファンク)、長井短、堀部圭亮らが名を連ねた。
描かれるのは、12年前に起こった凄惨な殺人事件をきっかけに一つの場所に集まってきた人々の奇妙な関係。公開されたビジュアルでは、“湿度”と“見えない部分”をコンセプトに、登場人物の表面ではなく内面に焦点を当て、それぞれのキャラクターの種類の違った粘着質な感情を表現しているという。
舞台『室温~夜の音楽~』は、6月25日(土)から7月10日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、7月22日(金)から7月24日(日)まで兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演される。
チケットは、4月29日(金・祝)10:00より一般発売開始。
あらすじ
田舎でふたり暮らしをしているホラー作家・海老沢十三(堀部圭亮)と娘・キオリ(平野綾)。
12年前、拉致・監禁の末、集団暴行を受け殺害されたキオリの双子の妹・サオリの命日の日に、様々な人々が海老沢家に集まってくる。巡回中の近所の警察官・下平(坪倉由幸)、海老沢の熱心なファンだという女・赤井(長井短)。タクシー運転手・木村(浜野謙太)が腹痛を訴えて転がり込み、そこへ加害者の少年のひとり、間宮(古川雄輝)が焼香をしたいと訪ねてくる。
偶然か・・・、必然か・・・、バラバラに集まってきたそれぞれの奇妙な関係は物語が進むに連れ、死者と生者、虚構と現実、善と悪との境が曖昧になっていき、やがて過去の真相が浮かびあがってくる・・・。
コメント紹介
◆河原雅彦(演出)
音楽が好きだ。小さな頃からずーっと。でも、自分が就いた職業はミュージシャンでもなければDJでもない。気がつけば舞台演出家になっちまった。なのでね。せめて音楽との繋がりを求めて、がっつりミュージシャンとコラボ出来る作品を、「ええのはねぇがー、ええのはねぇがー」と、ナマハゲさながら血眼で常々探している次第。
筋肉少女帯、O.L.H.(ex面影ラッキーホール)、レキシ、昨年は東京事変の伊澤さんや亀田さん、そして今年の『ロッキー・ホラー・ショー』。個人的にいずれも大変充実した作品になった。
『室温〜夜の音楽〜』を在日ファンクでやる。
初演のバンドはたまだった。たまと在日ファンク・・・ギャップ半端ないでしょ?
でも僕の見立ては当たるんです。これはね、きっとはまる。
KERAさん特有のヒリヒリぞわぞわした名作を、一癖も二癖もある素敵俳優陣とディープに混ぜ合わせ、2022年僕なりに蘇らせます。演劇好き音楽好きの皆々様、お楽しみに。
◆在日ファンク(音楽・演奏)
在日ファンクで舞台の生演奏をとオファーをいただいたのはチャンスだと思いました。ブラスセクションのある大所帯バンドって、きっとたいそうフェスを盛り上げてくれるんだろうくらいのイメージで見られがちなんですが、今回は長編の物語であるわけで色んな場面で演奏しなくてはいけない。物語を彩るわけですが同時に色んな感情やシーンの表現が僕らの音楽にも返ってくる。在日ファンクの楽曲はこんなに多面的に立体的に楽しめるんだというのがお客さんも僕らも発見できると思うんです。在日ファンクのホラーな部分(あるんです、あるつもりなんです)に気づいてもらえると思います。バンドも1演者として頑張ります。
きっと濃い濃い作品になると思うので是非見に来てください!
在日ファンク・浜野謙太
◆古川雄輝
久しぶりの舞台に出られるということで大変嬉しく思います。ゾッとするホラー的な要素が詰まった緊張感のある物語なのですが、シリアスなシーンなのに思わずクスっと笑ってしまうようなコメディの要素も混ざっていて、ホラーとコメディが融合した、とてもおもしろい台本だと思いました。
僕の役は、ある罪を犯した青年の役です。犯罪者の役を演じた経験は、今までそれほど多くないので、そういう姿もぜひ劇場に観に来ていただければと思います。
◆平野綾
ケラさんの生み出す世界観、ケラ・ワールドにいつか携わってみたいと思っていたので、出演が決まって本当に嬉しかったです。私自身、ストレートプレイが久しぶりなので、今から本当に楽しみです。私は、12年前に双子の妹を殺された姉の役で、底知れぬ感じがある女性じゃないかなと思います。一度はまってしまうとかなり中毒性のある、危険で抜け出せないこの作品。時期的に、ちょうど湿度が上がり暑くなってくるタイミングでの上演だと思うので、ちょっとひんやりしつつ、じめっとしつつ、絶妙な空気感の中、いろんなところに散りばめられたケラさんのトリックを楽しんでいただけたらなと思います。
◆堀部圭亮
僕自身、ケラさんの作品への参加を切望していましたので、やっと念願が叶い、しかも演出は河原さん。本当に楽しみにしています。僕の役は「何かあるぞ・・・」っていう作家です。物語の冒頭から「何かある感」満載です。舞台作品は、演じている役者と観客が同じ空間にいることで、音や気配、匂いや空気を一緒に感じてもらえるというのが、すごく魅力だと思います。この作品は「思わず笑っちゃったけど、なーんかヒドい事になってない?・・・不快だなぁ・・・後味悪いなぁ・・・けど不思議と心地好い・・・あっ!ホラーコメディって、そういうことか!?」そんな感じです。ぜひ劇場に“不快に”なりにきてください。
舞台『室温~夜の音楽~』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2022年6月25日(土)~7月10日(日) 世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】2022年7月22日(金)~7月24日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
スタッフ・キャスト
【作】ケラリーノ・サンドロヴィッチ
【演出】河原雅彦
【音楽・演奏】在日ファンク
浜野謙太(Vo)、仰木亮彦(Gt)、村上啓太(Ba)、永田真毅(Dr)、橋本剛秀(Sax)、村上基(Tp)、ジェントル久保田(Tb)
【出演】
古川雄輝 平野綾 坪倉由幸 浜野謙太 長井短 堀部圭亮・伊藤ヨタロウ ジェントル久保田
【公式サイト】https://www.ktv.jp/shitsuon/