古川雄輝、3年ぶりの舞台『室温〜夜の音楽〜』レポート「ホラー・コメディの二面性を楽しんで」

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古川雄輝、3年ぶりの舞台『室温〜夜の音楽〜』レポート「ホラー・コメディの二面性を楽しんで」

2022年6月25日(土)に東京・世田谷パブリックシアターにて舞台『室温~夜の音楽~』が開幕した。初日前日には、公開ゲネプロと取材会が行われ、古川雄輝平野綾浜野謙太、演出の河原雅彦が登壇し、初日への思いを語った。

本作は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が2001年に作・演出を手がけた、ホラー・コメディ。人間が潜在的に秘めたる善と悪、正気と狂気の相反する感情を、恐怖と笑いに織り込み、第五回鶴屋南北戯曲賞を受賞した。21年ぶりとなる今回の上演は、河原による新演出版で、河原の指名により浜野がフロントマンを務める、ディープファンクバンド「在日ファンク」が全編生演奏を行う。

出演は、古川、平野、浜野のほか、坪倉由幸(我が家)、長井短、堀部圭亮、伊藤ヨタロウ、ジェントル久保田。

目次

取材会レポート

古川雄輝、3年ぶりの舞台『室温〜夜の音楽〜』レポート「ホラー・コメディの二面性を楽しんで」

ゲネプロを控えて行われた取材会では、河原は「今まさにラストシーンの灯りを作っている最中で、今はパツパツですが・・・」と苦笑いを浮かべながら、「21年前にこの舞台の初演を拝見してからずっと頭の片隅に残っていた作品を、素晴らしい俳優さんたちを迎え、この人たちが引き受けてくれなかったらできないな・・・と思っていた在日ファンクさんがバンド丸ごと参加してくれ、そしてハマケン(浜野)くんが、役者とボーカリストを兼ねてくれたので、こうして実現できました。とても嬉しいです」と本作への思いを語った。

舞台セットにもこだわり抜いた本作だが、河原は「もちろん、美術も全て立ち会っている中で決めているので、(どうなるのかは)分かっていたんですが、劇場に入って(実物を)見たら、ちょっと引きました。うわ~って(笑)」と笑いながら話し、「色々な想定をしながら稽古をしていましたが、劇場に入って初めて見るものが多い芝居だったので、オリジナリティあふれる舞台になるんじゃないかなっていうのは今、思っています」と自信を覗かせた。

一方、舞台出演は3年ぶりとなる古川だが「その前(前々作の出演作)が、5、6年前で、それが(本作と同じ)世田谷パブリックシアターだったので、劇場入りして、懐かしさと客席を見た時のワクワク感と緊張感がありました。明日が初日になりますが、とにかく早くお客様に楽しんで見ていただきたいです」と思いを寄せた。

稽古中に行われた取材会では役作りの苦労を語っていた古川だが、この日は「人間の二面性を描いている脚本だと河原さんがおっしゃっていたのですが、誰と接しているかで性格も変わったりするように、誰とお芝居しているかでお芝居のテイストを変えるようなやり方になっています」と本作での芝居について語った。

さらに「河原さんがすごく気になさっているのは、周りのリアクション。何かが起きている時に、周りのリアクションで笑いが起き、そのシーンが完成する。そうした演出をされていることが多かったので、舞台上に立っているときの他の方へのリアクションや細かい動作は気にしてやれたらいいなと思います」と真摯に述べた。

キオリ役を演じる平野は「ストレートプレイは3年ぶりくらいですが、新鮮な気持ちで取り組むことができたと思っています。この作品はミュージカルではないですが、これだけ音楽がふんだんに入っている作品は出会ったことがなかったので、新しいジャンルを見ている感覚がありますし、観てくださる方もそれを感じていただけると思います。新しいジャンルが立ち上がる瞬間に立ち会えて嬉しいです」とにっこり。

これまでミュージカルに出演することが多かった平野。本作での演技のポイントを聞かれると「ミュージカルよりも感情のふり幅が広く、感情をあらわにするシーンがあります。ストレートプレイでできることを全力でやろうと思っています。私は、声のお仕事もやらせていただいているので、どういう声を出したら効果的かを常に考えています。キオリの性格の色々な面も混ぜ合わせながらできたらと思います」と意気込んだ。

ボーカリストとして生演奏に参加するだけでなく、運転手・木村役など役者としても登場する浜野は「思ったよりも、こっちに出て、あっちに出てと“また出ているよ”ってなるのでうざくならないように、みんなを立てられればという気持ちでやっています(笑)」とコメント。特に第一幕の冒頭では「うざい登場の仕方をするんで、そこら辺がどんな塩梅でやればいいか、今さらながらぶつかり合いながらやっています」と明かした。

また、在日ファンクの音楽について聞かれた古川は「すごくカッコよくてノリたくなる。好きな曲が流れてもステージ上ではじっとしていけないといけないので、我慢しながらチラ見してます」とにっこり。平野も「毎公演、とにかく贅沢だなと思います。お芝居だけをしているとイメージがつかなかったところも曲が重なると、ああそういうことかと思った。ここにきてようやくパーツが揃ったなと思います」と話した。

取材会の最後に、古川が「ホラー・コメディというジャンルなので、怖さとクスッと笑ってしまう面白さを劇場で楽しんでいただけたらと思います」と呼びかけて締めくくった。

あらすじ

田舎でふたり暮らしをしているホラー作家・海老沢十三(堀部)と娘・キオリ(平)。
12年前、拉致・監禁の末、集団暴行を受け殺害されたキオリの双子の妹・サオリの命日の日に、様々な人々が海老沢家に集まってくる。巡回中の近所の警察官・下平(坪倉)、海老沢の熱心なファンだという女・赤井(長井)。タクシー運転手・木村(浜野)が腹痛を訴えて転がり込み、そこへ加害者の少年のひとり、間宮(古川)が焼香をしたいと訪ねてくる。

偶然か・・・、必然か・・・。バラバラに集まってきたそれぞれの奇妙な関係は物語が進むに連れ、死者と生者、虚構と現実、善と悪との境が曖昧になっていき、やがて過去の真相が浮かびあがってくる――。

舞台『室温~夜の音楽~』は、7月10日(日)まで東京・世田谷パブリックシアター、7月22日(金)から7月24日(日)に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて上演。上演時間は約2時間30分(休憩含)を予定。

(取材・文・取材会写真/嶋田真己、舞台写真/引地信彦)

舞台『室温~夜の音楽~』公演情報

スケジュール・チケット

【東京公演】2022年6月25日(土)~7月10日(日) 世田谷パブリックシアター
【兵庫公演】2022年7月22日(金)~7月24日(日) 兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール

スタッフ・キャスト

【作】ケラリーノ・サンドロヴィッチ
【演出】河原雅彦
【音楽・演奏】在日ファンク

【出演】
古川雄輝 平野綾 坪倉由幸(我が家) 浜野謙太 長井短 堀部圭亮
伊藤ヨタロウ ジェントル久保田

【公式サイト】https://www.ktv.jp/shitsuon/
【公式Twitter】@shitsuon_ktv



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