ミュージカル『カーテンズ』が2022年2月26日(土)に東京・国際フォーラム ホールCにて幕を開けた。初日前に行われた囲み会見には、主演・演出を務める城田優と、ミュージカル初出演となる菅井友香(櫻坂46)、三浦翔平が登壇した。
ミュージカル『カーテンズ』は、2007年3月にブロードウェイで初演され、その年のトニー賞で、主演のデビッド・ハイド・ピアーズが主演男優賞を受賞したほか、作品賞、脚本賞、作詞作曲賞、演出賞、主演女優賞、助演女優賞の計8部門にノミネートされた。日本では2010年に東山紀之主演で上演されて以来の上演となる。
物語の舞台は、1959年のボストン・コロニアル劇場。新作ミュージカル『ロビン・フッド』は、ブロードウェイに向けトライアウト公演の真っ最中だった。しかし、主演女優は、才能は無いのにプライドだけは高く、評判が悪かった。しかも、公演初日に彼女が舞台上で何者かに殺害されるという事件が発生する――。
まず幕開きから不穏だ。薄暗い空間に照明が一灯、大きく揺れている。その下に佇むキャストたち。ホラー?サスペンス?とドキドキしていると幕が閉じて、明るいオーバーチュアが始まる。
再び幕が上がるとそこはボストンの劇場、新作ミュージカル「ロビン・フッド」の世界。 <Wide Open Spaces Opening/ここはカンザス>が華やかに歌い踊られるが、主演女優ジェシカは台詞を忘れる、きっかけを間違えることで周りをハラハラさせてばかり。その割に偉そう・・・と思っていたら、突然倒れ、運ばれてしまう。
この新作でブロードウェイを目指しているが、新聞に乗った劇評はひどいのなんの。劇評に一喜一憂するプロデューサーのカルメン(原田薫)や演出家のべリング(宮川浩)、作曲家アーロン(岸祐二)らが実にリアルだ。
ジェシカが亡くなった知らせを受けて、カンパニーはパニックに。そこに現れたのが警部補フランク・チョフィ(城田)。なんとジェシカは殺されたのだという。ミュージカルオタクでもあるチョフィは、捜査の傍ら『ロビン・フッド』の創作にたびたび口を出し、ともすれば本業より情熱的。どことなくミュージカルに熱い城田本人と重なるのが面白い。
カンパニーから逃げ出そうとする俳優たちを、Show Must Go Onだと説得する<Show People/ショーピープル>は見応えたっぷり。ブロードウェイの薫りたっぷりなこのビッグナンバーに隊列を組む振付を施し、インパクトの強い名シーンとして仕立てている。
結局、元女優で作詞家でもあるジョージア(瀬奈じゅん)が代役を務めることになる。ジョージアはアーロンとカップルだったが今は振付家ボビー(三浦)とラブラブ。三浦は初ミュージカルながら、頭身を生かしてダンスあり、ソロ曲ありと大注目。
チョフィは新人女優ニキ(菅井)に一目惚れ。菅井もしなやかなダンスで魅了、天然(?)でチャーミングなニキを好演している。カルメンは娘バンビ(中嶋紗希)とギクシャクして口喧嘩が絶えない。
複雑な人間模様の中、『ロビン・フッド』はブラッシュアップされていくが、同時に第2、第3の殺人が起こり、カンパニーの人々はお互い疑心暗鬼に。しかし捜査は意外な展開を迎える・・・。
舞台好きの人はバックステージものとして、トライアウトからブロードウェイを目指す人々の情熱に共感できることが多いだろう。母娘、夫婦、カップルと人間関係の綾も絶妙で、群像劇としても楽しめる。何より誰が犯人か、推理するワクワク感たるや。ネタバレ禁止の笑いどころもたっぷり。大いに笑ってハラハラして、 明日からの元気をチャージできる作品だ。
会見で、城田は演出・主演を務めることについて「日々後悔(笑)。新作で両方を手がけるのは実に大変でした。台本も10回くらい直し、美術や演出の打ち合わせと並行しながら膨大な台詞量との戦いで、帰宅したらヘロヘロ。1月3日と今朝の体重を比べたら9キロ減りました。でもやり甲斐がありますし、新たな挑戦をすることでこの先もミュージカルシーンを盛り上げていきたいです」と意気込みを語った。
ミュージカル初挑戦の菅井は「ついに挑戦できるという気持ち。今も夢じゃないかと思うくらいです。自分の実力の足りなさを痛感してトレーニングしてきましたが、お稽古では心を解放することすら難しいと思いました。皆さんを信じてスポンジになったつもりで日々吸収してきました。素敵なニキ・ハリスになれるよう全力で挑みます」とコメント。
同じく初挑戦の三浦は「ワクワクとドキドキが止まりません。正直こんなに大変なんだなと。台詞をきっかけに音楽が始まる、音に合わせての振付などミュージカルならではの新しい刺激を勉強しました。先輩キャストは本当に上手くて化け物だなと思いますし、まだ自分は実力が足りないと実感していますが、一生懸命取り組みます」。
城田はそんな二人を「本当によくがんばってくれて、彼らは僕のモチベーションでもありました。公演中でも成長するでしょうから、千秋楽が楽しみです」とエールを送った。
ミュージカル『カーテンズ』は、3月13日(日)まで東京・東京国際フォーラム ホールCにて上演。その後、3月18日(金)から3月22日(火)まで大阪・新歌舞伎座、3月26日(土)・3月27日(日)に愛知・愛知県芸術劇場 大ホールを巡演する。
上演時間は、第一幕70分、休憩20分 第二幕75分の計2時間45分を予定。
(文/三浦真紀、編集・撮影/エンタステージ編集部)
ミュージカル『カーテンズ』公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2022年2月26日(土)~3月13日(日) 東京国際フォーラム ホールC
【大阪公演】2022年3月18日(金)~3月22日(火) 新歌舞伎座
【愛知公演】2022年3月26日(土)・3月27日(日) 愛知県芸術劇場 大ホール
スタッフ・キャスト
【原作】ピーター・ストーン
【脚本】ルパート・ホームズ
【作曲】ジョン・カンダー
【作詞】フレッド・エッブ
【追加歌詞】ジョン・カンダー&ルパート・ホームズ
【演出】城田優
【翻訳・訳詞】福田響志
【出演】
城田優、菅井友香(櫻坂46)、三浦翔平、原田薫、岸祐二、中嶋紗希、宮川浩、瀬奈じゅん/
中西勝之 米本学仁 高橋卓士/井上花菜、小山侑紀、坂元宏旬、竹内真里、茶谷健太、常住富大、伯鞘麗名、福田えり、堀江慎也、横山達夫
【公式サイト】https://www.curtains-musical2022.jp
【公式Twitter】@curtains2022