ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』が、2022年3月8日（火）に東京・日生劇場にて開幕。初日前には公開ゲネプロと会見が行われ、鹿賀丈史、市村正親、真島茂樹、香寿たつき、今井清隆、森久美子が登壇した。
本作は、1985年の日本初演以来、夫婦愛と家族の絆をテーマに大人気のミュージカル・コメディの決定版。日本初演の8年後となる1993年から市村がザザ役を演じ、彼の当たり役の一つとして演じ続けている。2008年からはジョルジュ役に市村の盟友・鹿賀を迎え史上最高のコンビが誕生。今回の上演は、鹿賀と市村の“ゴールデンコンビ”による5度目の公演となる。
鹿賀は「社会的にいろいろな問題がありますが、こういう中でこの作品を上演するというのはどういうことだと考えながら稽古をしてきました。そして、最終的に、観ている方に感動や人を思う気持ちといったメッセージが楽しく伝えられればいいのかなと思いました。こういう時期だからこそ、我々、張り切っております。ぜひ楽しんでいただければ」と呼びかけた。
市村は「ザザという役の年齢に段々と近づいてきて、今回、本当のザザを演じられるのではないかと思います。コスチュームをつけて稽古をしていると、本当にいい作品だと改めて思います。ですので、たくさんの方がきてちょうだい」とザザになりきった口調でコメント。
そして真島は、自身の役柄について「私は『ラ・カージュ・オ・フォール』の従業員のハンナを演じていますが、従業員たちはそれぞれ個性を持った役を演じ、ザザを頂点に高い声でキャーキャー言いながらステージを作っています」と言及。香寿は「ミュージカルのレジェンドのお二人、そして芸能界のレジェンドの皆さんとご一緒できることが私の宝物です。5回目にしてここまで進化するんだといい刺激になっています」。
今井は「チームワークがすごくいいカンパニーです。社会情勢はこんな状況ですが、せめて劇場の中では楽しい、すてきな空間を味わっていただければと思います」、森は「コロナ禍で大変な事態ですが、ぜひこの作品の愛を皆さんと分かち合いにきてもらいたいと思います。私はこの役を20代から演じ始め、今60代になりました。世界で一番平均年齢の高いミュージカルではないかと思っています」と思いを語った。
お互いを「いっちゃん」「丈史」と呼び、信頼しあっていることを感じさせる鹿賀と市村。「最高のカップル」でいられる秘訣について聞かれると、鹿賀は「稽古で、お互いに『こうしよう。ああしよう』ということを言わなくても、ぶつけると返ってくる。いっちゃんがやっている芝居で、ここは･･･と思うこともなくはないですが、そこもお互いに受け止めて、2人の関係が成立していければと思います」と回答。市村は「約50年の付き合いがあるので、そのことを思いながら芝居をしていると、芝居なのか現実なのかわからなくなる。それくらいの相棒なのかなと思います」と思いを明かした。
また、2人のコンビでの上演が5回目となることから、これまでと変わったところと変わらないところについて聞かれると、鹿賀は「昔の方が青かったんじゃないかという気がします。ここにきて、それぞれの俳優さんの年齢に適した役の引っ張り方もできている。僕はカツラをやめて地毛でやることになりました。なので、非常に気持ちいいです。みんな、工夫をしながら新しいことに挑戦しています」と話し、市村は「変わらない部分は“愛”です。変わった部分は言いたくありません」と笑った。
会見の最後には、鹿賀が「今回が一番出来がいいと思っています。それだけ熱量を注ぎ込んで稽古をしてきました。どうか怖がらずに劇場に足をお運びください。それにお応えする熱量が十分にあると思います」と力を込め、市村は「今回が本当の『ラ・カージュ・オ・フォール』を演じることができる気がしています。この日生劇場で、素晴らしい愛をお届けできると思います」と胸を張った。
鹿賀や市村の言葉通り、ゲネプロでは2人を中心としたキャストたちの熱のこもった演技が繰り広げられた。傷ついても愛することをやめないザザの愛、そしてそんなザザに寄り添い、愛し続けるジョルジュが円熟みを増し、より深いメッセージとなって心に届く。
また、「ラ・カージュ・オ・フォール」の従業員たちによるダンスシーンは圧巻で、その華やかさと美しさに思わずため息が漏れるほどだ。そして、ジョルジュの息子、ジャン・ミッシェルを演じた内海啓貴の爽やかないでたちと心地よい歌声も見逃せない。アンヌ役の小南満佑子と共に、本作にフレッシュな風を注ぎ込んでいた。
ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』は、3月8日（火）から3月30日（水）まで東京・日生劇場にて上演後、愛知・富山・福岡・大阪・埼玉を巡演する。上演時間は、1幕90分、休憩25分、2幕80分の計3時間15分を予定。
（取材・文・撮影／嶋田真己）
ミュージカル『ラ・カージュ・オ・フォール』公演情報
【東京公演】2022年3月8日（火）〜3月30日（水） 日生劇場
【愛知公演】2022年4月9日（土）・4月10日（日） 愛知県芸術劇場 大ホール
【富山公演】2022年4月16日（土）〜4月17日（日） オーバード・ホール
【福岡公演】2022年4月22日（金）〜4月25日（月） 博多座
【大阪公演】2022年4月29日（金・祝）〜5月1日（日） 梅田芸術劇場 メインホール
【埼玉公演】2022年5月7日（土）・5月8日（日） ウェスタ川越 大ホール
スタッフ・キャスト
【原作】ジャン・ポワレ
【脚本】ハーベイ・ファイアスティン
【作詞・作曲】ジェリー・ハーマン
【翻訳】丹野郁弓
【訳詞】岩谷時子、滝弘太郎、青井陽治
【演出】山田和也
【オリジナル振付】スコット・サーモン
【出演】
ジョルジュ：鹿賀丈史
ザザことアルバン：市村正親
ジャン・ミッシェル：内海啓貴
アンヌ：小南満佑子
ハンナ：真島茂樹
ジャクリーヌ：香寿たつき
エドワール・ダンドン：今井清隆
マリー・ダンドン：森公美子
花井貴佑介、林アキラ、日比野啓一、園山晴子／附田政信、佐々木誠、高木裕和、松谷嵐、渡辺崇人、榎本成志、丸山泰右、 鯨井未呼斗、澤村亮、出口栄一、中川賢／齋藤信吾、佐野隼平、島田連矢、瀬沼真幸、山科諒馬、りんたろう、岡久直哉、中島祐太、髙橋桂、多岐川装子、浅野実奈子、篠崎未伶雅
＜アンダースタディ＞
花陽みく、東倫太朗
