2022年、京都・南座にて『初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演』が開幕した。本作は、渋谷天外、藤山扇治郎ら劇団員に加え、劇団出身の曽我廼家文童、南座6回目の出演となる久本雅美がゲスト出演し、松竹新喜劇が誇る名作喜劇二本立てで上演する公演。
1本目は、『お種と仙太郎』。嫁姑問題を題材にした本作は、嫁いびりをする姑・お岩を懲らしめようと、周囲の人間が一計を講じる物語で、久本雅美演じるいじわるな姑・お岩が、曽我廼家いろは演じる器量良しの嫁・お種をいじめる場面では、久本らしい笑いを交えた台詞回しで、客席を笑いの渦に巻き込んだ。
藤山扇治郎演じるお岩の息子・仙太郎は、周囲もあきれるほどお種にべったりな役どころ。あまりのおしどり夫婦さに、思わずお岩がボディブローで仙太郎に突っ込むアドリブも飛び出した。
そして見どころは、曽我廼家文童演じる丹波屋の主人・清兵衛が、お岩を懲らしめるため、嫁いびりの演技をする場面。清兵衛がそっくりそのままお岩の真似をすると、客席中に大きな笑い声が響く。演技の甲斐もあってお岩は反省し、物語は大団円で幕を閉じた。
『お種と仙太郎』終演後には、渋谷天外、久本雅美、藤山扇治郎に加え、改名後初の南座出演となった曽我廼家一蝶、曽我廼家いろは、曽我廼家桃太郎が舞台にて新年の挨拶を行った。渋谷天外は「上方の芸能を継承すべく、私共も精一杯頑張っております。ですが、お客様のお力添えなしには叶わないことです。ですからどうぞご声援のほど、よろしくお願いいたします!」と一言。
久本雅美は「新年から松竹新喜劇に出演できますこと、そして、皆様の笑ったお顔を拝見できますこと、とても幸せです。今年は飛躍の年にしたいと思います。皆様どうぞよろちくび~!」、藤山扇治郎は「本日はお越しいただきありがとうございます。皆様にこれからもご愛顧いただけるよう、精進して参ります。本年もどうぞよろしくお願いいたします」と新しい年を迎えての抱負を語った。
そして、2本目は『お祭り提灯』。町の世話役が落とした大金の入った財布の行方を巡っての大騒動が爆笑を巻き起こす。いじわるな金貸し屋・幸兵衛を演じる渋谷天外と提灯屋の主人・徳兵衛を演じる曽我廼家一蝶が、息のあったかけあいを見せ、曽我廼家桃太郎演じる丁稚の三太郎は、持ち味のコミカルな演技で物語のオチをつけるなど、松竹新喜劇の若手たちが好演した。
財布を巡っての追いかけっこの場面では、お囃子に合わせて客席からは手拍子も聞こえ、お正月らしく賑やかな幕開けとなった。
『初笑い!松竹新喜劇 新春お年玉公演』は、1月10日(月・祝)まで京都・南座にて上演。