少年忍者・ヴァサイェガ渉＆川﨑星輝、タイムリープでみんなを救え！WBB『バンクパック』レポート

演劇

2022年6月13日（月）まで、東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて上演されているWBB vol.20『バンクパック』。佐野瑞樹と佐野大樹（*pnish*リーダー）の兄弟によるWBB（ダブリュビービー）の第20回目となる本公演は、ジャニーズJr.の「少年忍者」からヴァサイェガ渉と川﨑星輝を迎えての上演となる。本記事では、その模様をレポートする。

WBBとは、役者としてだけでなく舞台演出も手がける兄・瑞樹と、演劇ユニット*pnish*（パニッシュ）のリーダーを務める弟・大樹による兄弟エンターテイメントワールド。「みず＝WATER」「だい＝BIG」「兄弟＝BROTHERS」の頭文字を取り、これまで培ってきたさまざまなノウハウを駆使し、いかなる形にもとらわれないエンターテイメントを作り続け、観たら「あ？コレコレ！」と思わせる作品を目指すシリーズだ。そのWBBの記念すべき10周年記念公演の第3弾にして、第20回目の節目となる本作は、銀行を舞台に、強盗とタイムリープに巻き込まれた青年が奮闘するワンシチュエーションコメディ。

主人公・藤澤智彦役をヴァサイェガ、銀行強盗の竜也役を川﨑が演じるほか、佐野瑞樹、納谷健、河内美里、夏目愛海、岩崎真、富田翔、新谷真弓、細見大輔が出演。脚色・演出を佐野瑞樹、プロデュースを佐野大樹が務める。

舞台は、とある銀行の店内。初めて書いた小説がヒットし、若くして新人賞をもらった藤澤（ヴァサイェガ）。大学進学とともに上京してきた彼の面倒をみることになったおせっかい焼きの叔母・茉莉子（新谷）の勧めで、今後の印税収入などに向けて口座開設をするべく、2人は銀行を訪れていた。

藤澤と茉莉子へ愛想良く対応しながらも、なんだか胡散臭い銀行の支店長（細見）。銀行のあるサービスを無理強いをする祐介（岩崎）と話の通じない銀行員（河内）に、祐介に呆れる恋人・理沙（夏目）。そして、じっとしているが、なぜだか存在感のある男（富田）。銀行の中には、一癖も二癖もあるような人たちが揃っていた。

そこへ銃を持った二人組の強盗、冷淡で目的のためには手段を選ばない翔太（納谷）とちょっぴり抜けてて憎めない竜也（川﨑）が入ってきて事態は急変する。犠牲者を出さないよう必死に立ち回る藤澤だが、犠牲になってしまったのは藤澤本人だった。

若くして命を落としてしまうことになったが、そこへ藤澤の小説の大ファンという謎の男（佐野瑞樹）が現れる。その男は時間を戻す力を持っていると言う。おかげで現世に戻ることができたが、戻った時間は、まさかの銀行強盗が現れる直前だった･･･。

不可解なタイムリープに戸惑いながらも、これから起こることを知っている藤澤が銀行強盗から皆を守ろうと奮闘するが、登場人物たちに振り回されることによって次々と巻き起こるトラブルにより、予想だにしない展開が繰り返されていくというタイムリープ要素の面白さが見どころとなる本作。

次のタイムリープでどのような展開が待っているのかというタイムリープものの定番の面白さをしっかりと軸に据えながら、タイムリープごとに明らかになっていく登場人物たちの素顔が観客を引き込むドラマ性を生み出しつつ、そこかしこに散りばめられたクスリと笑えるコメディ要素と共に、上手くまとめられている作品となっている。

藤澤を演じるヴァサイェガは、まだ大人になりきれず、知的であるが故に少し鼻につく青年が、周りに振り回されながらも奮闘し、やがて心の成長を見せていく姿を好演。竜也役の川﨑は、銀行強盗でありながら、なんだか憎めない可愛げのあるキャラクターを愛嬌いっぱいに演じきっている。そんなフレッシュな2人の演技と役柄の関係性は大きな見どころでもある。

また、2.5次元作品を中心に多くの舞台で活躍し、爽やかな印象の強い納谷が、乱暴で冷淡な銀行強盗役を熱演しているのも注目だ。さらに、河内、夏目、岩崎の若手キャストと、富田、新谷、細見、佐野瑞樹の実力派キャストが、物語にドラマと笑いの良質なスパイスを加えており、ユニークな登場人物たちのステージ上での立ち振る舞いからも目が離せない。