あらすじ
『尺には尺を』
ウィーンの公爵ヴィンセンシオは、突然出立すると告げ、後事を代理アンジェロに託し旅に出る。だが実は、密かにウィーンに滞在したまま、アンジェロの統治を見届ける目的があった。というのも、ウィーンではこのところ風紀の乱れが著しく、謹厳実直なアンジェロが、法律に則りそれをどう処理するのか見定めようというのだ。
そんな法律のなかに、結婚前の交渉を禁ずる姦淫罪があり、19年間一度も使われたことがなかった。アンジェロはその法律を行使し、婚姻前にジュリエットと関係を持ったクローディオに死刑の判決を下す。だがクローディオはジュリエットと正式な夫婦約束を交わしており、情状酌量の余地は十分にあったのだ。
それを知ったクローディオの妹、修道尼見習いのイザベラは、兄の助命嘆願のためアンジェロの元を訪れる。兄のために懸命に命乞いをするイザベラの美しい姿に、アンジェロの理性は失われ、自分に体を許せば兄の命は助ける、という提案をする。それを聞いたイザベラはアンジェロの偽善を告発すると告げるのだが、彼は一笑に付し、「誰がそれを信じる?お前の真実は、私の虚偽には勝てぬ」とイザベラに嘯く。
クローディオの命は?イザベラの貞節は?すべてはアンジェロの裁量に委ねられる。
『終わりよければすべてよし』
ルシヨン伯爵夫人には一人息子バートラムがいた。彼はフランス王に召しだされ、故郷を後に、パリへと向かう。だが王は不治の病に蝕まれ、命は長くないと思われていた。
もう一人、伯爵夫人の元には侍女として育てていたヘレナという娘がいて、その父は、先ごろ他界した高名な医師だった。彼はヘレナに、万病に効く薬の処方箋を残していた。そしてヘレナは、実は密かに、身分違いのバートラムのことを慕い、妻になりたいと願っていた。
その想いを知った伯爵夫人は、ヘレナにバートラムを追ってパリへ向かうことを許す。パリに到着したヘレナは王に謁見し、亡父から託された薬で王の病を見事に治してみせる。王は感謝の印として、ヘレナに望みのものを褒美として与える約束をする。ヘレナはバートラムとの結婚を望むが、彼はそれを拒否し、自ら志願して、逃げるように戦地フィレンツェへ赴いてしまう。残された手紙には「私を父親とする子供を産めば、私を夫と呼ぶがいい。だがその時は決して来ないだろう。」と認められていた。
ヘレナは単身、バートラムを追ってフィレンツェへと旅立つ。愛する彼と結ばれるために。
公演情報
上演スケジュール
2023年10月18日(水)~11月19日(日)
新国立劇場 中劇場
出演
岡本健一 浦井健治 中嶋朋子 ソニン
立川三貴 吉村直 木下浩之 那須佐代子 勝部演之
小長谷勝彦 下総源太朗 清原達之 藤木久美子 川辺邦弘
亀田佳明 永田江里 内藤裕志 須藤瑞己 福士永大
スタッフ
【作】ウィリアム・シェイクスピア
【翻訳】小田島雄志
【演出】鵜山仁
ほか
公式リンク
公式サイト:https://www.nntt.jac.go.jp/play/shakespeare-dark-comedy/
公式Twitter:@nntt_engeki
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