ジャニーズWEST神山智洋単独初主演!現代社会をリアルな言葉で綴った会話劇『LUNGS』ゲネプロレポート

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ジャニーズWEST神山智洋主演の『LUNGS』東京公演が、2021年12月5日(日)に東京グローブ座にてスタート。東京公演初日前には、公開ゲネプロと取材会が行われ、主演の神山智洋(ジャニーズWEST)、奥村佳恵、演出家の谷賢一が登壇した。

2011年にアメリカにて初演以降世界中で上演され続け<現代戯曲の最高傑作>との呼び名も高い『LUNGS』。今回が日本初上演となる本作は、2019年に作者ダンカン・マクミラン自ら戯曲をブラッシュアップし、ロンドンのオールドヴィック・シアターにてマット・スミス、クレア・フォイというNetflixドラマや映画で活躍するスターキャストにより上演され話題を呼んだ。子どもを持つべきか悩んだ若いカップルが、環境破壊と政情不安、様々な問題を抱える現代社会をリアルな言葉で綴る会話劇となっている。

演出を手掛けるのは、2019年に『福島三部作』の一挙上演で第64回岸田國士戯曲賞、第二部『1986年:メビウスの輪』で第23回鶴屋南北戯曲賞などを受賞した、劇作家・翻訳家の谷賢一。

なお、本作はもともと10月10日(日)より東京公演が行われる予定だったが、出演者の降板により一旦中止に。11月3日(水)から11月9日(火)まで、サンケイホールブリーゼにて大阪公演を終えたのち、改めて東京公演を行うこととなった。神山と共に2人舞台に挑む新キャストは、2008年に『音楽劇 ガラスの仮面』オーディションで蜷川幸雄に見いだされた奥村佳恵が務めている。

そろそろ子供をもつべきなのか・・・神山演じる売れないミュージシャンと、奥村演じる大学院の博士課程にある女性。若いカップルが直面する問いを発端に口論しているところから、物語は始まる。

子どもを作ること、環境問題、社会情勢、親、仕事、お互いの気持ち・・・様々な問題を定義しながらスピーディに進む会話劇は海外戯曲らしく、素直で率直な物言いがリアルでありながらもシャープに胸を突いてくる。

台本の1ページ目には、「この作品は、素舞台で上演されることを想定している。背景も、家具類も、小道具も一切なく、マイムもしない。衣装替えもしない。照明変化や音響で、時間や場所の移動を示すことも行わない」と書かれているそうだ。

この作者の言葉にあるように、とてもシンプルでミニマムな創りの作品。役者の息を吸う音、すっと立ち上がる仕草などで刻々と物語は進み、場面転換していくさまは観客の集中力と想像力を試されている気がして、1秒たりとも気が抜けない100分間だった。

公開ゲネプロを終え行われた取材会で、神山は東京公演を迎える心境について「大阪公演から約1ヶ月空いてから東京公演を迎えます。なかなか舞台で1ヶ月空くことがないので、稽古やゲネプロで思い出しながら挑んでいます。この舞台を出来る喜びと誇りを噛みしめてこれから東京全23公演、見てくださった皆様に考えさせるきっかけをたくさん与えられたらなと思っています」と語った。

奥村は「いまだにうねり続けています。安定しているというよりはどんどん幅が大きくなっている感覚があって、振り落とされない様にしたい。(演出の)谷さんがどっしりとした安定感と安心感をもたらしてくれるので私は大暴れしたいです」と意気込んだ。

演出の谷は「日々見違えて変わっていく作品。大阪公演・ゲネプロを終えてもまだ伸びしろがあると思うので、完成と思わずにしっかり最後の仕上げをがんばろうと思います」と作品に対する気迫を感じさせた。

2人で紡ぐ膨大でスピーディな台詞の大変さについて問われると「出演者が2人しかいない舞台ですし、照明や音響、セットもなし、いろいろなものをそぎ落としたシンプルな舞台なのでどちらかの台詞が止まれば舞台が止まるという状況でドキドキしながらやっています。でも大阪公演も終え、稽古期間も合わせて約2ヶ月一緒に力を合わせてやってきたので、反射的に台詞が出るくらいになってきています。舞台の上では2人だけの世界なので僕たちもドキドキはらはらしながら作品を走り抜けている感じです」と神山。

続いてマイクを持った奥村が質問の返答に迷っていると、すかさず神山が「舞台の本番が終わった後はプールに入ったくらい疲れるって言っていた」とパスを投げ、「1ステ終わった後はプールに入った後のように眠くなるんですよねぇ(笑)」と膨大な台詞量と熱量に対する体感を奥村が思い出すという、ほっこりとしたやり取りも。

そんな2人の印象について、谷は「2人ともすごくポップな人たち。すごく苦しい、辛いシーンがあるけれど、終わったら気持ちを切り替えて冗談を言い合ったり、笑ったりしていて2人の人柄の良さや明るさで現場はずいぶん呼吸できています。神ちゃんがすごく神経質な人だったら大変だったかも(笑)」と笑いながら神山をのぞき込むと、「分からないですよ!もしかしたら俺めちゃめちゃ神経質化もしれないですよ?」と笑顔で返す。

お茶目さを忘れない神山だが、これが初の単独主演。「責任感はあります。出演者も少ないし、舞台もシンプル。カンパニーの人数が今までの作品に比べて極端に少ないので、関西人だし、にぎやかなグループから飛び出してきているので、盛り上げるのは僕の使命であると感じています(笑)。でも僕一人で背負ってはいません。この舞台に関わっているスタッフ全員で『LUNGS』という作品を背負っています。重たい荷物は分け合って、協力し合って創り上げてきました」と、座長として信念をしっかりと持っているようだ。

また、すでに大阪公演を観に来てくれたというジャニーズWESTのメンバー・小瀧望や東京公演を楽しみにしているという桐山照史のことを語り、「ジャニーズWESTでいる時は他のメンバー6人もめちゃめちゃ面白いので任せてしまうことがあるんですが、グループから飛び出してきているのでそこで培ったものを出さなきゃと思うところがあります。メンバーにもがんばっている姿を見せたいし、褒められたいです(笑)」とメンバー愛を語った。

最後に、東京公演スタートに向けて神山は「『LUNGS』の日本初上陸、初演キャストに選んで頂いたことが光栄です。社会派のテーマを持った舞台なので、この初演を皮切りに日本で上演され続けるべき作品だと思っています。いろいろな方にこの作品に触れていただき、いろいろなことを考えて、想い、生活をして生きていって欲しいです。初演、僕たちなりの『LUNGS』を千秋楽まで試行錯誤していきながらどんどん精度を上げ、皆様にお届けしたいと思っていますので、この作品にぜひ触れて、いろいろなことを感じていただけたらなと思います」と締めくくった。

『LUNGS』東京公演は、2021年12月5日(日)から12月23日(木)まで東京グローブ座にて上演。

(取材・文・撮影/カヤシマヒデミ)

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舞台『LUNGS』公演情報

上演スケジュール

【大阪公演】2021年11月3日(水)~11月9日(火) 大阪・サンケイホールブリーゼ ※公演終了
【東京公演】2021年12月5日(日)〜12月23日(木) 東京・東京グローブ座

スタッフ・キャスト

【脚本】ダンカン・マクミラン
【演出】谷賢一
【出演】神山智洋(ジャニーズWEST) 奥村佳恵

【公式サイト】https://www.lungs.jp/

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この記事を書いた人

演劇好きが功を奏してフリーの演劇ライターとして活動中。
演劇の面白さを垣根を超えて伝えたい!
舞台、映画、音楽、アート、全方向のエンタメ好きです。

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