2021年10月に上演が発表された『バクマン。』THE STAGE。その製作発表が、7月2日(金)に都内にて行われた。会見には、真城最高役の鈴木拡樹、高木秋人役の荒牧慶彦、演出・脚本のウォーリー木下、プロデューサーの松田誠が登壇。また、会場には現在、最高と秋人のように夢を追いかける学生たちが集められ、話を聞いた。
「バクマン。」とは、2008年から2012年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社刊)で連載されていた大場つぐみ・小畑健による大人気漫画で、真城最高(ましろもりたか/通称:サイコー)と高木秋人(たかぎあきと/通称:シュージン)の高校生マンガ家コンビが、「週刊少年ジャンプ」のトップを目指して奮闘する様子を描いた作品。アニメ化、実写映画化など、様々なメディアミックスで成功を収めている。
プロデューサーの松田は「アニメも実写映画もとてもクオリティが高い作品になっている『バクマン。』を舞台化しようと思った時、演劇人としてその意味をすごく考えました。(それを踏まえて)おそらく、かなり演劇的チャレンジになると思います。今、まさに作品作りについて相談している最中ですが、演劇ならではの表現にできたらと思っています」と舞台化に向けて意気込んだ。
また、「演出と脚本をお任せするウォーリー木下さんとは、ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』などでもご一緒していますが、いつもこんな表現あったんだ!と驚かされ、プロデューサー冥利につきるなと思っています。そして、主演の鈴木くんと荒牧くんは、皆さんよくご存知のように、本当に人として素敵なお二人です。皆さんの想像を超える舞台をお見せできるのではないかと思っています」と、座組への信頼を寄せた。
演出・脚本のウォーリーも、「『バクマン。』は、ジャンプ作品の王道のようで泥くささもあるし、How to漫画でもあるし、恋愛や友情、親子関係なども絡んでいて、本当に面白い漫画作品だと思います。演劇も、集団創作です。僕とキャストのみんなで、素材を壊さないように、演劇として面白いものにできたらと思います」と挨拶。
W主演の一人である鈴木は、舞台化発表時の反応を「想像を超える反響でびっくりしました」と振り返りながら、「個人的に、ネルケプランニングさんが作る作品は、舞台のタイトルを見るだけでワクワクさせるのがすごいなと思っているんです。ハイパープロジェクション演劇とか、ライブ・スペクタクルとか。『バクマン。』はどうなるんだろう?と思ったら、意外にシンプルで逆にびっくりしました(笑)。でも、(シンプルゆえに)どうなるのかワクワクしますね。アニメや実写映画にもなっていますが、映像とは全く違う、生の迫力、臨場感と熱さを楽しんでもらえるように精一杯キャストとして取り組んでいきたいと思っています」と語った。
そして、もう一人のW主演である荒牧は、原作の大ファンだったそう。「全巻持ってますし、アニメも全部観ていました。大場つぐみさんのストーリーも、小畑健さんの絵も大好きなんです。だから、あの世界観に俳優として関われるということに誇りと喜びを持って臨みたいと思います」と喜びをあらわに。
実は、「バクマン。」舞台化の“企画のタネ”は、松田と荒牧の雑談の中から芽吹いたそうだ。「荒牧くんと、一つの作品のことだけでなく、夢を語り合ったりすることがあったんです。その時に、彼が『バクマン。』が大好きと言っていまして。いつか、舞台でやれたらいいなと言っていたんです」と松田。キャスティングについても、荒牧が「理想で、たぶん無理だと思うんですけど、鈴木拡樹くんがいい」と、夢物語の“願望”として、名前を挙げていたのだという。
荒牧は「拡樹くんと一緒にやりたいと思ったのは、鈴木拡樹という役者が、僕にとって最も尊敬する役者の一人だから。その拡樹くんと“相棒”という間柄で芝居をしてみたかったから。この二つの気持ちから、拡樹くんがいいなって名前を挙げさせていただいていました」と説明。
この話をまったく知らなかったようで、鈴木は「すごい、企画もキャスティングもしていただいていたんですね。ありがとうございます」と目を丸くしながらも、「相棒に選んでくれたことがすごく嬉しいです。何ども共演しているけれど、同年代としてタッグを組むことはなかったので、今までとはまた違った形で一緒に過ごせそうです」と微笑んだ。
ウォーリー木下は、鈴木・荒牧と作品づくりをするのは初めてになるが、「事前に松田さんから『ナイスガイだよ』と聞いておりまして。もちろん、お二人の活躍は遠くから拝見していたので、今の彼らが持つ魅力を最大限に引き出すことを考えて作ろうと思います」と言い、さらに「松田さんがいつか海外にも持っていきたいとおっしゃっていたので、直感的に『バクマン。』を楽しめる・・・、原作を知らなくても、演劇を知らなくても、言葉が分からない人が観ても、子どもが観てもワクワクするものにできたら」と構想を明かした。
また、製作発表当日に発売された「ジャンプSQ.」では、出演者たちの個別ビジュアルが掲載されていた。新妻エイジ役の橋本祥平の姿を見た荒牧は「祥平くんはこういう役をやらせたらピカイチ。楽屋での彼はまさにこんな感じなので、デジャブを感じますね(笑)」と一言。
そして、佐々木尚役の唐橋充について、鈴木は「一言で言ってしまうと、とても変わった方なんですよ。不思議なので、どんどん知りたくなるし、何気なく言ってくださった言葉がとてもためになるので、唐橋さんの言葉は聞き逃しちゃいけないなといつも思います。唐橋さんは、イラストレーターとしても活躍されていますし、ぴったりですね」とコメントした。
実は、『バクマン。』キャストはみんな秀でたクリエイティブな一面を持っている。福田真太役のオレノグラフィティは音楽、平丸一也役の福澤侑は振付、中井巧朗役の村上大樹は団「拙者ムニエル」の主宰であり演出なども手掛け、服部哲役の長谷川朝晴はコントユニット「ジョビジョバ」メンバーとして知られた存在であり、川口たろう役の片桐仁はお笑い芸人としてだけでなく粘土細工を得意とし個展を開くなどしている。
これは、意図したものではなかったようで、一言でその共通点に気づいた松田は「みんなクリエイティブな人だ。『バクマン。』らしい!」と偶然に驚きの声を上げていた。
原作で、最高と秋人が手を組んで面白い漫画を生み出すように、2.5次元作品を牽引する存在と言って過言ではない鈴木と荒牧がタッグを組むことで生まれる“相乗効果”が期待される。これまでの共演を振り返り、荒牧は「拡樹くんとは、殺陣をする時とか打ち合わせをしなくても、お互いの目の動きや身体の動かし方で、その日の殺陣のスピードが変わったりするんです。心の底から信頼しているからこそ、生まれる相乗効果があるんだと思います」と荒牧。
また、鈴木は「ここ数年、座長をやらせていただく機会が増えているんですが、演劇の座組って、主演だけではピースは揃わないんです。例えば、僕は後輩にあまり強く言うことができないタイプです。でも、それをうまく言える人を信頼して任せることで、後輩がうまく導かれていく姿もたくさん目にしています。キャストそれぞれ、スタッフそれぞれにピースとして埋められる場所があって、それが全部組み合わさったものが作品だと思うんです。だから、最高と秋人のものづくりは、舞台の座組づくりにとっても似ているなと感じています」と座組が生む“相乗効果”についても付け加えた。
最後に、荒牧は「夢に向かうことはこんなにも素晴らしく、熱い気持ちにさせてくれるんだって、観に来てくださった方にも感じてもらえる作品にしたいと思います」、鈴木は「こういう話をしていると、すぐに稽古したい気持ちになってくるんですね。演劇ではよく、お客様が入って初めて完成すると言うんですが、その言葉どおり、舞台ってこちらが想像して届けるのと同じくらい、お客様に想像していただく力があると思うんです。お客様の想像をピースの一つとして加えさせていただいて、作品を完成させたいと思います。劇場でお待ちしています」と会見を締めくくった。
『バクマン。』THE STAGEは、10月8日(金)~10月17日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場、10月21日(木)から10月24日(日)まで東京・TOKYO DOME CITY HALL、10月28日(木)から10月31日(日)まで大阪・メルパルクホール大阪にて上演される。
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)
『バクマン。』THE STAGE 公演情報
上演スケジュール
【東京公演】2021年10月8日(金)~10月17日(日) 天王洲 銀河劇場
【東京公演】2021年10月21日(木)~10月24日(日) TOKYO DOME CITY HALL
【大阪公演】2021年10月28日(木)~10月31日(日) メルパルクホール大阪
スタッフ・キャスト
【原作】大場つぐみ 小畑健「バクマン。」(集英社 ジャンプ コミックス刊)
【演出・脚本】ウォーリー木下
【音楽】和田俊輔
【出演】
真城最高役:鈴木拡樹
高木秋人役:荒牧慶彦
新妻エイジ役:橋本祥平
福田真太役:オレノグラフィティ
平丸一也役:福澤侑
中井巧朗役:村上大樹
佐々木尚役:唐橋充
服部哲役:長谷川朝晴
川口たろう役:片桐仁
チケット情報
【一般発売日】2021年9月12日(日)10:00
【チケット料金】 S席12,000円・A席8,000円(全席指定/税込)
【チケット取扱い】
チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/bakuman-stage/
銀河劇場チケットセンター ※天王洲 銀河劇場公演分のみ取り扱い:https://www.gingeki.jp
【公式サイト】https://bakuman-stage.com
【公式Twitter】@bakuman_stage