2021年6月・7月に3都市で上演を予定している『CLUB SEVEN ZERO III』。「ZERO」シリーズ3作目となる本作について、脚本・構成・演出・振付・出演を兼ねる玉野和紀のほか、出演する吉野圭吾、東山義久、西村直人、大山真志に公演に向けて語ってもらった。
「CLUB SEVEN」は、玉野和紀が2003年より作り続けているエンターテインメント・ショー。歌やダンス、芝居、タップ、ミュージカル、スケッチ(短いシーンを連ねて構成するコメディ)など、あらゆるエンターテインメント要素を取り入れた作品として、長く愛され続けるシリーズだ。
玉野は、「CLUB SEVEN」を作り始めたきっかけについて、「何でもあり!の娯楽に徹したショーを作りたいというのが、このシリーズを始めた根底にあったんですよね」と振り返る。玉野の言葉どおり、内容はいつも、アドリブあり、無茶振りあり、ネタあり。もちろんかっこよさあり!絶対にほかでは見られないような出演者たちの姿が満載だ。
回を重ねるごとに規模が大きくなり出演者も増えていったが、2017年からはタイトルに「ZERO」と冠し、1stと同じ「男性5名・女性2名」の構成に戻し、原点回帰を図った。今回は、取材会に集まってくれた「CLUB SEVEN」お馴染みの顔ぶれに加え、元タカラジェンヌの妃海風と凰稀かなめが参加する。
「CLUB SEVEN」の魅力について、1stから出演し続けているレジェンドメンバーの一人である西村は次のように例えた。
「『CLUB SEVEN』って、リピートしたくなる魅力があるらしいんですよね。僕は客席から『CLUB SEVEN』を見たことがないので分からないんですけど・・・(※西村は皆勤賞)。例えるなら、また足を運びたくなるラーメン屋さん。美味しいお店は数多くあるけれど、手間暇かけたスープと麺と具、どれが欠けても成立しないこだわりの一杯だから、『また行きたいな』って思ってもらえる。僕らはそんな、リピートしたくなる美味しい一杯を作り続けているという自負があります。それが、『CLUB SEVEN』の一番の魅力になっているんじゃないかな」
今回も、「いつものオープニングがあって、歌にダンス、ミニミュージカル、50音メドレー(「あ」から「ん」まで50音全部で始まる曲をノンストップで歌い上げる『CLUB SEVEN』名物演目)と、基本的な構成は変えずにやろうと思っています」と玉野の“こだわり”は健在。
オープニングの振付については、ずっと変わっていない。そのため、吉野は「ZEROになってから2年に1回のペースになったので、体力的にどうかな・・・と思いながら稽古に入るんですよ(笑)。あれで、今の自分がどうなのかが分かる」と語った。毎度、とても7人だけでやるとは思えない量の“エンターテインメント”が詰め込まれている本シリーズ。吉野は「こんなにも舞台上で命が燃えている姿を見られる作品は、なかなかないんじゃないかと思います」と笑った。
気になるのは、ビジュアルで公開されている出演者たちの“地球防衛軍”的姿。大山が「これ今回の舞台でやるんですか?」と質問すると、「衣裳、オーダーで作っちゃったからね・・・」と玉野は苦笑い。「このかっこいい感じで無茶振りとかできないかな・・・と思って」と構想を明かした。
ちなみに、なぜ地球防衛軍かというと「コロナを俺たち7人がやっつけてやる!という気持ちから思いついたんですよ。コロナの憂鬱を吹っ飛ばすように、一瞬でもいいから何もかも忘れて夢中で楽しんでもらえるような時間にできたらいいなと思って」と玉野。
「CLUB SEVEN」定番演目となっているミニミュージカルについては、「昆虫ミュージカルがやりたいです」など、言いたい放題(?)の要望が飛び出したが、玉野が今回やりたいと思っているのは「誰も死なないミュージカル」だという。
いつも誰かが死ぬ展開となることが多い「CLUB SEVEN」のミニミュージカルには、「先に死んでしまう設定にしないと、着替えがある人は大変」という裏事情があるようだが・・・。玉野は「誰も死なない作品は書いたことがないから、挑戦だ!と思って。コロナ禍だし、全部ハッピーエンドにできないかなと思っています。なかなかすべてをハッピーエンドにできるかは分からないんだけれど、新たなチャレンジとして取り組んでみたいと思っています」と明かした。
そして、「CLUB SEVEN」と言えば、出演者たちが意外すぎる役を演じるのも見どころの一つ。「前は妖怪とか、アンドロイドとか、操り人形とか、悪魔とかをやったりすることが多かったんだけど、ZEROになってからは普通の人間の役が多い」という東山の一言から、玉野が今回の配役へのヒントを出してくれた。
玉野「直人はね、蓑を着たおじいちゃん」
西村「蓑着るんですか?!」
東山「ライフル背負ってますか?」
玉野「ライフルは背負ってない(笑)」
玉野「圭吾は、見せ場が2つあるな。先生と、銅像」
吉野「銅像?!それはおもしろそうだなあ~」
大山「これはヤバい、動かないという概念は捨てた方がいい(笑)」
玉野「先生は、笑いの先生だよ」
玉野「ヨシはね、・・・鳥」
東山「鳥!」
玉野「鳥の役が2つ」
東山「2つとも鳥?!それちょっと難しくない?種類が違う?スズメとツバメを表現しろって言われても、うまく表現仕分けられる気がしないよ!」
玉野「(笑)」
玉野「真志は子ども役と・・・サポート役が多いかも」
大山「俺、玉野さんから出てくるデブキャラ以外をやってみたいです」
玉野「何回も言ってるけど、それはダメだよ」
東山「契約不履行になっちゃうよ!」
大山「最初は違ったはずなのに・・・」
玉野「それでいて動けるのが魅力の一つなんだよ(笑)」
ヒントを聞いた面々は「めっちゃモヤモヤする~!」と大盛り上がり。大山曰く、「いつも何が出てくるのか分からない、ひっくり返したおもちゃ箱」のような「CLUB SEVEN」。
果たして、今回も名キャラクターは誕生するか?注目だ。
最後に、玉野は「CLUB SEVENって、唯一無二の舞台だなと思うんです。役を演じることはもちろん、個々の持つ自分らしさも両輪で出していかなければならない。それはもう、出演というより“出場”に近い感覚です。一景ごとにキャラクターが全部違うので、観てくださる皆さんの感情の落差も激しい。だからきっと、お客さんも観ていて疲れると思います(笑)。今、一体感を感じられることがなかなかないですが、みんなで全力を尽くして、最後にお客さんと一緒にお疲れ様でした!って言いたい。そして、元気になっていただきたいです」と締めくくった。
『CLUB SEVEN ZERO III』は、6月6日(日)から6月25日(金)まで東京・シアタークリエ、6月28日(月)に愛知・日本特殊陶業市民会館ビレッジホール、7月3日(土)・7月4日(日)に大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて上演される。
【公式サイト】https://www.tohostage.com/club_seven/
(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)