舞台を観て”気になるあの人”を直撃する企画「逸材フラゲ!」。第2回は泰江和明さんに注目!泰江さんは、京都SUSHI劇場「寿司は別腹」で初舞台を踏み、KYOTO SAMURAI BOYSではteam若葉のリーダーを務めました。また、ミュージカル『新テニスの王子様』The Fiest stage(以下『新テニミュ』)では『テニミュ』出演経験があり、入江奏多役の声優も務める相葉裕樹さんとのWキャストで話題に。
今回は、特技であるダンスやアクロバットを始めたきっかけなど、「無駄なことはなかった」と語るこれまでの人生についてや、KYOTO SAMURAI BOYSへの想い、『新テニミュ』で感じたことなど、いろいろとお話していただきました。
今に繋がった好奇心
――今回、読者の方から「泰江さんが気になる!」という声をたくさん頂戴し、インタビューの機会をいただきました。まず、自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
本当ですか!ありがとうございます。“微笑みの貴公子”泰江和明です。大阪出身です。特技はダンス、アクロバット、ダブルダッチ・・・意外と体を動かすことが好きです。高校生の頃には、部活でダンス日本一を取ったこともあります!
――ダンスは長くやっていらっしゃったんですか?
いえ、高校の部活で始めました。それまでは、小学校から6年卓球をやっていたんですが、個人競技だったので団体競技にずっと憧れがあったんですね。団体競技を始めるなら、新しいことがしたいなと思っていて・・・。通っていた学校のダンス部では、男子は高校からしか入れなかったので、これはちょうどいい!と思って入部しました。始めた当時は、ダンスが好きというよりは、皆で何かをやるのが楽しかったんですよね。部活、超楽しくて大好きでした。
――ダブルダッチやアクロバットは、どのタイミングで身に着けたんですか?
高校の時はダンス自体よりも皆とやれることが楽しかったので、大学では他のことをやりたいと思っていたんです。そこで選んだサークルでダブルダッチをやってみたら、これにハマってしまって。同時にアクロバットも初めてやったんですけど・・・、意外と出来たんです(笑)。どうせなら他の人がやっていないことをやってみたいという好奇心もあって選んだのですが、それが今、自分のトピックになっているので、やってて良かったなと思っています。
大好きなパフォーマンスで社会貢献をしたい
――ルーツは部活動にあったんですね。では、俳優になろうと思ったのはいつですか?
それが、僕すごく遅くて・・・。大学で、就職のための授業を受けた時に初めて将来について考えたんですよ(笑)。それまで、特に「これになりたい!」みたいな強い思いを抱いていた夢とかもなかったんですけど、当時すごくお世話になっていた教授の一言でぱっと道が開けたんです。
その方は、授業中も授業終わりもずっと論文を書いているような変な先生だったんですけど(笑)。「研究者という道もあっただろうに、なんで教授をされているんだろう?」と疑問に思って聞いてみたんです。そうしたら、「好きなことで社会貢献できるのが大学の教授だった」って答えが返ってきたんですね。その姿勢が、僕にはすごく「かっこいい!」と思えて。自分にとってそう思える「好きなこと」は何だろうって考え始めました。
その結果、パフォーマンスをすること、人前に立つことが好きなんだって答えにたどり着きました。振り返ってみると、部活で土日もほとんど休みじゃなかったけど、好きだから苦じゃなかった。元々映画を観るのも好きだったので。そこで初めて、自分は「俳優」という仕事で社会貢献していこうと決めました。
――まさに恩師、ですね。俳優になろうと決めて、何をしましたか?
最初は「ジュノンスーパーボーイコンテスト」を受けたんです。でも、二次審査で落ちてしまいました。じゃあ次は事務所を見つけようと思って、オーディション雑誌を買いました。とりあえず、50音順に片っ端から書類送ろうと。で、今アイリンクという事務所に所属させていただいているんですが・・・50音で最初の「ア」です。実は一発目からご縁があって、今ここにいます!
――今、オーディションを受ける機会も多いかと思うのですが、どんなことを考えて臨んでいますか?
以前は緊張して、記憶がなかったんですけど・・・(笑)。最近は、オーディションが始まっても自分の番がくる直前まで「何をするか」を考え続けるようになりました。自分が「これでいこう」と思ったものが絶対合ってるとも限らないし、「面白い」と思ったものはその場で混ぜちゃって。オーディションは、もちろん受かることが第一の目標なんですけど、表現を勉強する場でもあると思うようになりました。
――ご自身の中で、考えが変化したのは何かきっかけがあったんでしょうか?
ドラマ『號哭のカタストロフ』に出演させてもらった時に、全力でやることはもちろん大事なことだけれど、自分が持っているものを「ちゃんと見せる」ことも考えて臨む必要があると肌で感じたんです。そう意識してから初めて挑んだのが、「京都SUSHI劇場」のオーディションでした。
それまではただただ全力でオーディションに挑んでいたんですが、それは当たり前のことですよね。オーディションの捉え方自体を変えないと一生受からん!と思って、意識を変えたら、すごく冷静になれたんです。自分の特技として「これができます」ということを姿勢として見せつつ、「絶対僕でしょ」って自信は持ちながら挑めるようになりました。
京都で追いかけた、理想のリーダー像
――「京都SUSHI劇場」での活動は、泰江さんにとって大きな転機だったと思うのですが、初めて舞台に立った時のことを振り返っていただけますか?
「京都SUSHI劇場」では、38人のメンバーで活動していたんですが、本番みんなで舞台に立った時に、とにかく「楽しい!」って思ったんですね。体を動かす場面が多かったので、今思うと、舞台上で表現することが好きだと改めて感じるきっかけでもあったと思います。緊張よりはひたすら楽しかった記憶が強いですね。いろいろあって畳むことになり、舞台を成功させる難しさも感じましたが・・・。スタッフさんや38人の仲間との繋がりもできて、得たものの多い経験でした。
――そこから、再び京都で公演する「KYOTO SAMURAI BOYS」のメンバーに選ばれましたね。
実は、そもそもオーディションを受けるか悩んだんですよ。京都でやる大変さも知ってるし、その期間に東京で仕事ができるんじゃないか?と考えてしまう自分もいて。でも「SUSHI劇場」の仲間に相談したら、「カズくんがやりたいかどうかだよ」って言われました。それを聞いた時、すぐに「やりたい!」という答えが自分の中に浮かびました。「SUSHI劇場」としての活動は本当に楽しかったし、後先考えるタイプでもないし(笑)。やりたいんだったら挑戦しよう!と再び京都を目指しました。
――「KYOTO SAMURAI BOYS」では、team若葉のリーダーにも抜擢されていましたね。
あれにはびっくりしました!蓋を開けたら・・・全然聞いてなかったんですよ(笑)。「京都SUSHI劇場」の頃にも、ネルケプランニングの松田誠会長が足を運んで観てくださっていたので、色々考えてリーダーに据えてくださったのかなと。オーディションに参加するか、悩んでる場合じゃなかった(笑)。
――元々リーダータイプでしたか?
全然そんなことないんです。でも、僕にとっての「リーダー像」を全力で追いかけました。いいリーダーかどうかは周りの人達が決めることだと思うんですけど。「京都SUSHI劇場」の時は僕も舞台のルールなどが全然分からなかったのでいろんな方に教えていただきましたが、「KYOTO SAMURAI BOYS」にもその頃の僕と同じ状態のメンバーがいたので、今度は僕が力になる側だと思ってがんばっていました。
――「KYOTO SAMURAI BOYS」では、アクロバットの経験が存分に活かされていましたね。
あれほど特技のアクロバットを活かせるステージはなかなかないと思います。普通の舞台だと、アクロバットはオープニングとかでちょこっと見せるぐらいが大半ですけど。でも、「KYOTO SAMURAI BOYS」の公演は、構成・演出の(植木)豪さん自身がプレイヤーだから、すごく活かしてくださいました。アクロバットだけの見せ場もありましたからね。体力や怪我の心配もあって、普通なら長い期間の公演には難しい技を入れないんですけど、そういう技もお見せできる場面がありましたし。人生経験は全部繋がっていて、無駄なことってないんだなと思いました。
――「KYOTO SAMURAI BOYS」では様々な活動をされていましたが、中でも一番のターニングポイントとなった活動は?
そうですね・・・いろいろあるんですが、「KYOTO SAMURAI BOYS」にとって初めての大イベント参加となった、東京ガールズコレクションのオープニングアクトでしょうか。確か、初日が開けて全員で打ち上げをしていた時に、松田会長が「東京ガールズコレクションに出演が決まりました」ってお知らせをくれたんです。それを聞いた瞬間、実は泣いてしまって・・・。イベントの規模の大きさに驚いたのもありますが、「京都SUSHI劇場」から引き続き京都にいることもあって、なんか・・・いろんなものがぶわって溢れちゃいました。
実際に舞台に立ってもすごかったです。ファンの方が応援に来てくれたみたいで、本当にありがたかったです。東京ガールズコレクションに出たことで、KYOTO SAMURAI BOYSとしてプロ意識を持ってやっていこうと思う転換期になったと思います 。
――昨年KYOTO SAMURAI BOYSの無期限休止が発表されました。KYOTO SAMURAI BOYSには、今どんな想いを抱いていますか?
もう、とにかくめちゃくちゃ公演をやりたい!でも、コロナの影響で一旦活動休止という判断は絶対に正しかったと思います。でも、僕らの中でも応援してくださっていたファンの方の中でも、中途半端になってしまっているので、もう一度みんなで集まって何かやりたいですね。やりたいというか、やります!「やります」って書いちゃって大丈夫です、だって豪さんが言ってるんだもん(笑)。
活動休止が発表された日、豪さんがTwitterにいきなり「弟たちへ」という動画を出されたんですけど・・・あんなの、ずるいですよね。そこで「また集まる日まで」と言われていたので、豪さんを含め、全員で、絶対に、もう1回やりたいです。
相葉さんと対等にやれる機会は他にない、Wキャストで良かったと本気で思えた
――読者の方からは、ミュージカル『新テニスの王子様』The First Stage(以下『新テニミュ』)で泰江さんに注目したという声が多数寄せられました。演じられた入江奏多役は、アニメで声優も務める相葉裕樹さんとWキャストでしたが、プレッシャーはありませんでしたか?
それはもう、ありました!
相葉さんは、帝劇とかにも出られている方だし、何よりアニメで入江を演じられているし・・・…本当に大丈夫だろうかと不安になりました。でも、その不安は応援してくださるファンの皆さんが消してくれました。情報解禁を聞いて、めちゃくちゃ喜んでくれて。これは頑張るしかない!と腹をくくりました。相葉さんみたいなすごい方と対等にやらせて頂ける機会なんてそうそうないし、やるだけやってみようと。そう思って、自分の強みを活かしながら、色々考えてやってみました。
――役作りについて、Wキャストの相葉さんとお話しすることはあったのでしょうか?
「入江奏多がどういうキャラクターなのか」という話は、実はあまりしてないんです。だから、役作りについては、僕なりの解釈で演じました。家の壁という壁に、原作・アニメ・ゲームの入江奏多の絵を貼って、ずっと一緒に過ごしていました。『テニスの王子様』にはかっこいいキャラクターがたくさん登場しますが、入江奏多は(原作の)表紙でベロを出していたり、お茶目な一面が見えてきたのでそういうのを織り交ぜながら、入江奏多像を作っていきました。
――相葉さんは、泰江さんが作り上げた入江奏多を見てなんとおっしゃっていましたか?
相葉さんは、スケジュールの都合で途中から稽古に参加されたんです。僕のシーンがほとんど出来上がった段階で初めて来てくださったんですが、その時はさすがに緊張しましたね・・・。でも、自分がやってきたことを全部見せたら、相葉さんが「マジで言うことない」って言ってくださって・・・。すごくすっきりしました!
そのあと、相葉さんが一緒に台詞の言い回しを考えてくださったりしたんですよ。例えば、入江奏多の歌唱パートで「子どもは家でいい子にしてなよ」という歌詞があるんですが、最初は「子どもは家でいい子にしてな」だったんです。でも「入江奏多だったら、語尾は”なよ”じゃない?」って相葉さんが提案されて。僕も原作を読んでいて、優しさを含めてもいいんじゃないかと思っていたので「確かに」と納得の提案でした。気付いた相葉さんの時だけ変更してもよかったと思うんですけど、結局2人で「子どもはいい子にしてなよ」に変えることになりました。そういう細かいことに気づく相葉さんはやっぱり優しい人だなと思ったし、相葉さんがいたからそういうアプローチができたことはとても良かったですね。
――お2人が作り上げた入江奏多は、原作の許斐先生にも大好評で、泰江さんについて「完璧な入江くん」とおっしゃっていましたよね。
許斐先生、めちゃくちゃいい方でした!僕は凱旋公演には出演していなかったので、皆より先にご挨拶をする機会を頂いて、たくさんお話をさせていただきました。お会いして、許斐先生は僕達にも、お客さんにも、テニプリに関するあらゆることに一番愛がある人だなって再認識しました。
Twitter でも3番コートのキャラクターを取り上げて節分をやってくださったり・・・嬉しかったですね。本当にすごい方ですよね。許斐先生をはじめ、『新テニミュ』は本当にいい方たちに囲まれてやらせて頂きました。
――そんな泰江さんも、相葉さんに「令和始まって以来のいい子」と言われていましたよね。
いやいやいや!それは、僕が今までやってきたことをそのままやっていただけで…。Wキャスト自体を経験したのはこれが初めてではなく、「京都SUSHI劇場」の時も、KYOTO SAMURAI BOYSの時は「起」はWキャスト、「承」ではトリプルキャストでやっていた。(福澤)侑とか(里中)将道が、他の公演に修業に行っている時は3チームすべてを牽引していたので、キャストへの報・連・相に慣れすぎちゃって(笑)。だから、他の場所でも普通にやっていたんですよね。日頃から、マネージャーさんにも「今から始まります!」とか、いちいち連絡しちゃうんですよ。相葉さんにも「よろしくお願いします」「今日の稽古はこういうことがありました」って連絡をしていたら、「そんな子はなかなかいないぞ」とすごく褒めてくださって。今までやってきたことをやっていただけなんですが、そう言ってくださってとても嬉しいですし、ありがたいですね。
――大阪公演を終えたあと、相葉さんの稽古を一緒にやっていらっしゃったとか・・・?
はい。相葉さんと跡部役の(高橋)怜也と3人で稽古をしていました。最初、僕の同行予定は3日くらいだったんですが、相葉さんが「ずっと稽古にいてください」と言ってくださって。必要としていただけて、めちゃめちゃ嬉しかったですね~!そのおかげで初日まで同行することになりました。
――東京凱旋公演では、客席から舞台をご覧になったと思いますが、いかがでしたか?
何度も観に行ってしまうぐらい、めちゃくちゃ面白かったです!「皆を客席から観られるのは(Wキャストの)僕の特権だ」って、ずっと言ってたんですけど(笑)。一緒に戦っていたから、皆がノリにノっているのも、観ていて分かるんですよね。それから、初めて何度も同じ舞台を観るという経験もできて、色々勉強になりました。そういう意味では、Wキャストで良かったって本気で思えたのは、客席から観た時だったかもしれません。そういう時間を含めて、自分の中で、俳優として大切な時間になりました。
ファンの笑顔のために「皆が自慢できる僕でありたい」
――『幕末バトルサークル』『This is a お感情博士!』『サンリオ男子』と、この後も続々と出演作が決まっていますね。
『新テニミュ』出演が決まった時に、作品が愛されていると思いましたが、仕事を新しくいただく機会がぐっと増えたので、終わってからも作品の影響の大きさをより感じています。だからこそ『サンリオ男子』『幕末バトルサークル』で、俳優として成長できたところを見せることが大事だなぁと思っています。
――今後、どんな俳優さんになっていきたいですか?
僕はファンにずっと元気をもらっているので、皆には元気でいてほしいし、ずっと笑っていて欲しいんです。そのために、僕自身がずっと笑っていようと思っていて、その笑顔の輪を広げるのが俳優・泰江和明にできる「社会貢献」だと思っています。
僕がファンにできる一番のことは、その姿勢でずっと仕事の報告をし続けること。ここからまた色々試されると思うんですけど、その姿勢は変えず、“微笑みの貴公子”であり続けようと思います。
――最後に、泰江さんに注目している方々へメッセージをお願いします。
皆様、応援ありがとうございます!ここまで自分のことを記事にしてもらうのは初めてなので、新しい僕を知って頂く機会になったんじゃないかなと思います。僕は皆が元気であり続けられるように、笑顔になれるように、ずっと仕事の報告をし続ける俳優になっていきます。皆が自慢できる僕になりたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いします!
泰江和明さんの今後の出演予定
円神プロデュース公演vol.1『幕末バトルサークル』
【東京公演】2021年5月6日(木)~5月9日(日) 天王洲 銀河劇場
【大阪公演】2021年5月14日(金)~5月16日(日) COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール
【公式サイト】https://enjin-official.jp/special/BakumatsuBattleCircle/
舞台『This is a お感情博士!』
【東京公演】2021年6月4日(金)~13日(日) 俳優座劇場
【公式サイト】http://www.z-lion.net/okanjyohakase/index.html
『ミラクル☆ステージ『サンリオ男子』 ~KAWAII Evolution~』
【東京公演】2021年7月15日(木)~ 7月25日(日) 品川プリンスホテル クラブeX
【京都公演】2021年7月30日(金) ~ 8月1日(日) 京都劇場
【公式サイト】https://sdan-stage.com/summer2021/