蜷川幸雄七回忌に『ムサシ』藤原竜也、溝端淳平、鈴木杏、吉田鋼太郎らが集結

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2016年に亡くなった演出家・蜷川幸雄が手掛けた傑作のひとつ、舞台『ムサシ』が、2021年に氏の七回忌を前に、追悼記念公演として再演されることが決定した。

本作は劇作家・故井上ひさしが書き下ろし、2009年に初演。翌年にはロンドン・ニューヨークから招待され海を渡り、大喝采を浴びた。大変珍重厚なテーマの中にもふんだんに笑いを盛り込んだオリジナリティ溢れるエンターテインメントとして、その後もシンガポール・ソウル・上海といった海外からの招聘が相次ぎ、現時点で世界6カ国10都市、計210ステージで約20万人を動員している。

今回、オリジナル演出の蜷川に加えて、「演出」に名を連ねるのは吉田鋼太郎。数多くの蜷川作品に参加してきた吉田は、2016年にバトンを受け取った彩の国シェイクスピア・シリーズの芸術監督に続いて、氏の演出も受け継いでいる。

初演から一貫し、宮本武蔵を演じるのは藤原竜也。井上ひさしが藤原をイメージしながら書き上げたこの当たり役で、再び座長として作品をリードする。藤原の武蔵に真っ向勝負を挑む佐々木小次郎役には、TBSドラマ 日曜劇場『天国と地獄』での好演も記憶に新しい溝端淳平。

加えて、第28回読売演劇大賞で大賞と最優秀女優賞を受賞したの鈴木杏、白石加代子、塚本幸男といった、蜷川作品を彩ってきたキャストたちが再集結する。

『ムサシ』は、8月25日(水)から8月29日(日)まで埼玉・彩の国さいたま芸術劇場大ホール、9月2日(木)から9月26日(日)まで東京・Bunkamuraシアターコクーンにて上演される。ほか、地方公演のあり。

目次

コメント紹介

◆吉田鋼太郎(演出/柳生宗矩役)
間もなく蜷川さんの七回忌です。
ああ、もう七年経ってしまうのかと。
蜷川幸雄という偉大な船頭を失くして、僕たちはそれぞれの船でそれぞれの航海をしていましたが、またこうして、蜷川さんが舵を取っていた船に集まることになりました。
船頭の蜷川さんは居ませんが、この船は不沈船です。それどころか更に速度を上げて勇敢に新しい水平線を目指すでしょう。
蜷川さんの魂は青白い炎となってムサシと小次郎を導いてくれるでしょう。
新しい水平線で何が見つかるのか。
ご期待ください。

◆藤原竜也(宮本武蔵役)
蜷川さんの七回忌の記念として、鋼太郎さんの演出で、もう一度『ムサシ』の世界を生きることができるのは嬉しくもあり、同時に身の引き締まる思いです。世界の人々が困難に向き合う今だからこそ、命の尊さや負の連鎖を断ち切ることを描いたこの作品にしっかりと向き合い、井上ひさし先生が当て書きしてくださり、蜷川さんに導いていただいた宮本武蔵という役を丁寧に演じたいと思います。

◆溝端淳平(佐々木小次郎役)
「何故、今このお芝居を世に出すのか?その意味を深く考えろ」生前、蜷川さんがよく仰っていた言葉です。『ムサシ』は負の連鎖を断ち切ることや、命の重みという普遍的テーマを笑いも交えながらそっと寄り添うように届けてくれる戯曲だと思います。「混沌とした今だからこそやれ」と蜷川さんに言われている気がします。僕にとって小次郎は三回目ですが、また一から鋼太郎さんに叩き直していただく所存です。蜷川さんが残してくれたものを大切にしながら、全身全霊で演じたいと思います。

◆鈴木杏(筆屋乙女役)
初演からもう十年以上。また筆屋乙女(もう乙女という歳ではなくなってしまったけれど・・・)と再会できること、そして井上ひさし先生の世界に生きられる喜びを噛み締めています。夢の一つであった、鋼太郎さんの演出を受けられることも楽しみです。たくさんの方に蜷川さんと井上先生の想いが届けられるように、がんばります。劇場でお待ちしております。

◆塚本幸男(沢庵宗彭役)
皆様、こんにちは!今回、『ムサシ』の中の沢庵の役をやらせていただくことになりました、塚本幸男です。この作品は私も初演から参加させていただいておりますが、とにかく、井上ひさし作、蜷川幸雄氏演出、の最高傑作です。その作品で、あの沢庵の役ができる!身が引き締まる思いでいっぱいです!また、今回は新たに演出に吉田鋼太郎氏を迎えるという事で、非常に緊張しております。どうか皆様の期待に応えられる様に全力でがんばりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします!

■白石加代子(木屋まい役)
記者発表の日の蜷川さんと井上先生のそわそわとしたお姿が懐かしく思い出されます。毎日、何枚かずつ届けられた台詞、皆でバスツアーのように禅寺体験を楽しんだこと、その上、井上先生のお宅にお邪魔しましたっけ・・・。
なんといっても、テーマが全人類の課題ですから、どの国へ持っていっても高い評価をいただきました。今、『ムサシ』は再演を重ねてどんどん完成度が高くなっていると思います。一度、外側からも観てみたいな、といつも思います。

あらすじ

慶長17年(1612)陰暦4月13日正午。
豊前国小倉沖の舟島。真昼の太陽が照り付ける中、宮本武蔵(藤原竜也)と佐々木小次郎(溝端淳平)が、たがいにきびしく睨みあっている。小次郎は愛刀「物干し竿」を抜き放ち、武蔵は背に隠した木刀を深く構える。武蔵が不意に声をあげる。
「この勝負、おぬしの負けと決まった」
約束の刻限から半日近くも待たされた小次郎の苛立ちは、すでに頂点に達していた。小次郎が動き、勝負は一撃で決まった。勝ったのは武蔵。検死役の藩医に「お手当を!」と叫び、疾風のごとく舟島を立ち去る武蔵。佐々木小次郎の「巌流」をとって、後に「巌流島の決闘」と呼ばれることになる世紀の大一番は、こうして一瞬のうちに終わり、そして・・・物語はここから始まる。

舟島の決闘から6年後の、元和4年(1618)夏。
鎌倉は佐助ヶ谷、源氏山宝蓮寺。名もなき小さなこの寺で、今まさに寺開きの参籠禅がとり行なわれようとしていた。大徳寺の長老・沢庵宗彭(塚本幸男)を導師に迎え、能狂い柳生宗矩(吉田鋼太郎)、寺の大檀那である木屋まい(白石加代子)と筆屋乙女(鈴木杏)、そして寺の作事を務めたあの宮本武蔵も参加している。
ところがそこへ、小次郎があらわれた。舟島でかろうじて一命をとりとめた小次郎は、武蔵憎しの一念で武蔵のゆくへを追いかけて、ここ宝蓮寺でついに宿敵をとらえたのだ。今度こそは「五分と五分」で決着をつけよと、小次郎は武蔵に「果し合い状」をつきつける。

こうして、世に並ぶ者なき二大剣客、宮本武蔵と佐々木小次郎の、命をかけた再対決が、「三日後の朝」と約束されるのだが・・・。

『ムサシ』公演情報

上演スケジュール

【埼玉公演】2021年8月25日(水)~8月29日(日)彩の国さいたま芸術劇場大ホール
【東京公演】2021年9月2日(木)~9月26日(日)Bunkamuraシアターコクーン
※ほか、地方公演の予定あり

スタッフ・キャスト

【作】井上ひさし(吉川英治「宮本武蔵」より)
【オリジナル演出】蜷川幸雄
【演出】吉田鋼太郎
【音楽】宮川彬良

【出演】
藤原竜也
溝端淳平
鈴木杏
塚本幸男
吉田鋼太郎
白石加代子

大石継太
飯田邦博
堀文明
井面猛志
堀源起(さいたまネクスト・シアター)

【公式サイト】https://horipro-stage.jp/stage/musashi2021/
【公式Twitter】@musashi_kenzan

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