世田谷パブリックシアターが、2021年度のラインアップを発表した。国内演劇創作では、ワジディ・ムワワド×上村聡史「約束の血の4部作」、待望の第3弾となる『森 フォレ』を皮切りに、『チック』に続き小山ゆうながドイツ発の同時代戯曲に挑む『愛するとき 死するとき』、栗山民也と瀬戸山美咲の初タッグとなる『彼女を笑う人がいても』(仮題)、フィリップ・リドリー×白井晃の衝撃作『マーキュリー・ファー Mercury Fur』の再演などが並んだ。
恒例企画では、芸術監督・野村萬斎の総合演出で『狂言劇場 その九「法螺侍」「鮎」』で斬新な狂言2作を上演。夏の「せたがやこどもプロジェクト」では、サーカス、落語、ジャズコンサート、秋の「世田谷アートタウン」では、おなじみの『三茶 de 大道芸』に加え、「フランス フェスティバル 2021-2022」公式プロジェクトとして国際共同制作によるサーカスやダンスの上演予定など、バラエティ豊かな作品が並んだ。ラインアップは以下のとおり。
世田谷区民と劇場が共につくり上げるGW恒例の夢のステージ
『フリーステージ 2021』
【上演日程】4月29日(木・祝)~5月5日(水・祝)
【会場】ダンス部門:世田谷パブリックシアター/音楽部門:シアタートラム
【出演】世田谷区民団体約50組
概要
世田谷区で舞台芸術活動を行う区民団体に表現の場として劇場を提供。公募で集まった約50組の団体がダンス・音楽の2部門で発表を行う。開場以来続く本企画は24回目の開催。
斬新な狂言2作「法螺侍」と「鮎」が『狂言劇場』芸術監督・野村萬斎の総合演出で初登場!
『狂言劇場 その九「法螺侍」「鮎」』
【上演時期】6月
【会場】世田谷パブリックシアター
【総合演出】野村萬斎
【出演】野村万作 野村萬斎 野村裕基 石田幸雄 ほか万作の会
概要
「“舞台芸術=パフォーミングアーツ”としての能・狂言」をコンセプトに、劇場に特設能舞台を作り上げて上演 する人気企画『狂言劇場』。3年ぶりの開催となる今回は、シェイクスピア劇『ウィンザーの陽気な女房たち』を題材にしたオペラ『ファルスタッフ』をもとに、狂言ならではの身体表現も盛りだくさんの祝祭劇『法螺侍』と、池澤夏樹の短編小説をもとに、立身出世を目指して都会へ出る青年の物語を擬人化した『鮎』の2作を上演。両作とも主人公は野村萬斎が演じる。
ワジディ・ムワワド×上村聡史の「約束の血の4部作」、『炎 アンサンディ』『岸 リトラル』に続く第3弾!
『森 フォレ』
【上演時期】7月
【会場】世田谷パブリックシアター
【作】ワジディ・ムワワド
【翻訳】藤井慎太郎
【演出】上村聡史
概要
数々の演劇賞に輝いた『炎 アンサンディ』(2014・2017年)、『岸 リトラル』(2018年)に続く、レバノン出身の劇作家ワジディ・ムワワド×上村聡史による「約束の血の4部作」第3弾の上演が決定。
家族をテーマとした4部作の中で『森 フォレ』は、母の死により自らのルーツを辿ることになる少女の成長を6世代2大陸にまたがる壮大なスケールで描く。
孫悟空×サーカス!台湾発の現代サーカスカンパニーが初登場
せたがやこどもプロジェクト 2021《ステージ編》
フォルモサ・サーカス・アート(FOCA)『悟空~冒険の幕開け~』
【上演日程】7月28日(水)・7月29日(木)
【会場】世田谷パブリックシアター
【出演】フォルモサ・サーカス・アート(FOCA)
概要
アジア随一の現代サーカスカンパニーである台湾のフォルモサ・サーカス・アート(FOCA)が、世田谷パブリッ クシアターに初登場。アヴィニョン演劇祭などのヨーロッパやアジア各地のフェスティバルで公演を行う彼らの人気作『悟空』を上演する。
人気落語家・春風亭一之輔プロデュース!子どもから大人まで楽しめる寄席企画
せたがやこどもプロジェクト 2021《ステージ編》
『せたがや 夏いちらくご』
【開催日】8月8日(日・祝)
【会場】世田谷パブリックシアター
【出演】春風亭一之輔 ほか
概要
開場以来、多彩な寄席企画を行ってきた世田谷パブリックシアターが、昨年新たに立ち上げた“子どもから大人まで”楽しめる寄席企画の第2弾。昨年に引き続き、古典落語を現代風にアレンジした作風と親しみやすい語り口で人気の落語家・春風亭一之輔がプロデュースと出演を務める。
子どもも大人も本物のジャズに触れる、日野皓正と一流ミュージシャンたちの本格ジャズコンサート
せたがやこどもプロジェクト 2021《ステージ編》
『日野皓正 presents “Jazz for Kids”』
【開催日】8月15日(日)
【会場】世田谷パブリックシアター
【出演】日野皓正 ほか
小学生・中学生・高校生のための演劇ワークショップを各種開催
せたがやこどもプロジェクト 2021《ワークショップ編》
【開催時期】8月
国内外のパフォーマーが三軒茶屋に集結!街が風変わりな“アートタウン”に
世田谷アートタウン 2021
『三茶 de 大道芸』
【開催日程】10月16日(土)・10月17日(日)
【会場】キャロットタワー周辺
【出演】国内外のパフォーマー約50組
概要
地元商店街とボランティアスタッフ、世田谷文化生活情報センターが一体となって開催する大道芸フェスティバル。今回で25回目の開催となり、街中のいたるところを舞台に国内外から結集した一流のアーティストたちによるパフォーマンスが繰り広げられる。屋台や“アート楽市”なども出現。
現代サーカス界の次世代、日仏コラボレーション
世田谷アートタウン 2021 関連企画
「フランス フェスティバル 2021-2022」公式プロジェクト
French Circus Focus 2021/フランス×日本 現代サーカス交流プロジェクト
『フィアース5』
【上演日程】10月9日(土)~10月11日(月)
【会場】世田谷パブリックシアター
【演出・振付】ラファエル・ボワテル
【出演】日本のサーカスアーティスト5名
概要
日本初演となった『When Angels Fall/地上の天使たち』(2019年)でも豊かな才能を見せつけた現代サーカス界の若きカリスマ、ラファエル・ボワテル。彼女が自身の代表作を日本のアーティストと共にリ・クリエイションする注目作。ダンサーやサーカスパフォーマーなど異なるバックグラウンドを持つ5人の若いアーティストの人生や人間像、そして日本の若者の現在を、ダンスとサーカステクニックを通して描く。
海底からやってきた3人のミュータントと新しい仲間のポディオンによる不思議なカーニバル
世田谷アートタウン 2021 関連企画
「フランス フェスティバル 2021-2022」公式プロジェクト French Circus Focus 2021
『ぶくぶくマリンパレード』
【開催日程】10月16日(土)・10月17日(日)
【会場】キャロットタワー周辺
【アーティスティックディレクター】ギヨミット
【出演】プラスティシアン・ヴォラン ほか
概要
衣装やポスター上の3D アニメーションを操作できる拡張現実のアプリケーションを開発するアーティストのギヨミットと、巨大なバルーンを操り街中で物語を生み出す大道芸集団のプラスティシアン・ヴォラン。彼らのコラボレ ーションにより誕生した不思議な海の生物ミュータントと日本のミュージシャンとが一緒になって大通りをパレードし、三軒茶屋の街に新たな物語を紡ぐ。地元の子どもたちもお面をつけて参加予定。
コンテンポラリーダンス界の寵児フランソワ・シェニョーと舞踏界のレジェンド麿赤兒が贈る、当代きっての魂の盟約
世田谷アートタウン 2021 関連企画
「フランス フェスティバル 2021-2022」公式プロジェクト
日仏国際共同制作ダンス公演
『ゴールドシャワー』
【上演日程】10月15日(金)~10月17日(日)
【会場】世田谷パブリックシアター
【構想・出演】フランソワ・シェニョー、麿赤兒
概要
フランスを拠点に振付家・ダンサー・歌手として活躍するフランソワ・シェニョーと、大駱駝艦を主宰し舞踏家・演出家・俳優の顔を持つ麿赤兒が共に構想・出演する日仏国際共同制作公演。クラシックバレエを経て、コンテンポラリーダンスの世界で新しい地平を切り開くシェニョーと、スペクタクル性あふれる舞踏作品を創造し続ける麿が生み出す、言葉や世代、文化的背景を超えた化学反応に注目。
毎回多彩なゲストを招き“表現の本質”に迫る芸術監督企画
『MANSAI◉解体新書 その参拾弐』
【上演日】10月27日(水)
【会場】世田谷パブリックシアター
【出演】野村萬斎 ほか
芸術監督・野村萬斎とゲストが多様なテーマでトーク&パフォーマンスを繰り広げ、“表現の本質”を探ってきた人気シリーズ『MANSAI◉解体新書』。2002年のスタート以来、各芸術分野のトップランナーたちを迎え、「森羅万象」「解析」「場」「古事記」「日本」「発酵」「伝」など、表現の世界を縦横無尽に行き交う多彩な内容で好評を博してきた本シリーズ。32回目となる今回はどんなテーマが飛び出すのか。
『チック』でおなじみの小山ゆうなの翻訳・演出、浦井健治らの出演で
『愛するとき 死するとき』
【上演時期】11~12月
【会場】シアタートラム
【作】フリッツ・カーター
【翻訳・演出】小山ゆうな
【出演】浦井健治 ほか
概要
読売演劇大賞優秀演出家賞受賞作『チック』(2017・2019年)以降、劇団四季『ロボット・イン・ザ・ガーデン』の演出など注目を集めている小山ゆうなが、再びドイツ発の同時代戯曲に挑む。社会主義体制下のやるせない愛と人生を描いた本作は、劇作家フリッツ・カーターによる2002年初演の名作。浦井と小山はこれが顔合わせ。浦井がシアタートラムの舞台に立つのもこれが初となる。
栗山民也と瀬戸山美咲の強力タッグが実現!現代と安保闘争の時代を舞台に正義と真実を問う
『彼女を笑う人がいても』(仮題)
【上演時期】12月
【会場】世田谷パブリックシアター
【作】瀬戸山美咲
【演出】栗山民也
【出演=瀬戸康史 木下晴香 渡邊圭祐 近藤公園 ほか
日本演劇界を牽引する栗山民也と、昨年11月にシアタートラムで上演された現代能楽集Ⅹ『幸福論』~能「道成寺」「隅田川」よりで読売演劇大賞選考委員特別賞・優秀演出家賞を受賞した瀬戸山美咲のタッグが実現。現代と安保闘争の時代を舞台に正義と真実を問う意欲作を立ち上げる。瀬戸は、世代を超えた二人の新聞記者を一人二役で演じる。
従来の公演形態に捉われない、新たな若手演劇人育成プログラム始動
世田谷パブリックシアター 若手演劇人育成プログラム
Hatch Out Theatre ハッチアウトシアター2021
『子どものためのリーディング公演 +ワークショップ』
【開催時期】12月
【会場】シアタートラム
概要
上質な舞台芸術作品の創造・上演だけでなく、公共劇場として初めて専任の学芸セクションを設け、舞台芸術と地域を結びつける先駆者として活動してきた世田谷パブリックシアターが、新たな若手演劇人育成プログラムを始動。“子どもに伝えたいこと/子どもと考えたいこと”をテーマに「戯曲」と「演出+ワークショップファシリテーター」を行う人材をそれぞれ公募し、実際の上演だけではなく若手実演家と観客との対話・協働も実現する。
フィリップ・リドリー×白井晃、2015 年日本初演の衝撃が再び
『マーキュリー・ファー Mercury Fur』
【上演日程】2022年1月~3月
【会場】世田谷パブリックシアター
【作】フィリップ・リドリー
【演出】白井晃
【翻訳】小宮山智津子
【出演】吉沢亮 北村匠海 ほか
概要
英国の劇作家フィリップ・リドリー×白井晃の4作目として 2015年に日本初演された衝撃作。キャストを一新し、さらに進化させた再演が決定した。荒廃した街の一角で始まるパーティーを舞台に、極限状態に置かれた人間の残虐性を描いた本作。そんな中で純粋なまでに生と愛を渇望する兄弟を、NHK 大河ドラマ『青天を衝け』で主演を務めている吉沢亮、『にじいろカルテ』ほか多くのドラマや映画で活躍中の北村匠海が演じる。
一般の人々が集まって、みんなで演劇をつくりあげ、観客と共に考える“地域の物語”
『地域の物語 2022』
【上演時期】2022年3月
【会場】シアタートラム
概要
劇場開場時より続く一般市民によるプロジェクト。公募で集まった地域の人々が、進行役と共に数カ月にわたるワークショップを通して対話を重ね、身体を動かし、自分自身と周囲の人の様々な物語をもとに演劇をつくり上げ、発表する。近年は、結婚、介助と介護、生と性、家族、生きること、死ぬことなどをテーマに取り上げてきた本企画、2021年度はどんな物語が生まれるか。