ミュージカル『NINE』開幕!城田優と8人の女優で描く“愛”を演劇・映画の枠組みを超える新しい体験で

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2020年11月12日(木)に東京・TBS赤坂ACTシアターにてミュージカル『NINE』が開幕する。本作は、イタリア映画界の名匠フェデリコ・フェリーニの自伝的作品「8 1/2(はっかにぶんのいち)」を原作に、アーサー・コピットが脚本、モーリー・イェストンが作詞・作曲を手掛け作り上げたミュージカル作品。今回、演出を藤田俊太郎、主演を城田優が務め、日本上演を果たす。

本作は、1982年の初演時にはトニー賞10部門にノミネートされ、作品賞、作詞・作曲賞、助演女優賞、衣装デザイン賞、演出賞の5部門で最優秀賞を受賞。2009年には、ロブ・マーシャル監督によりダニエル・デイ=ルイス主演で映画化され、アカデミー賞やゴールデングローブ賞などにノミネートされるなど、高い評価を得た。

物語は、実力とカリスマ的な魅力で舞台・映像・音楽、そしてプロデュースや演出で才能を発揮する主人公のグイド・コンティーニ(城田)を中心に、スランプに陥り迷走するグイドと、彼を取り巻く8人の女性との愛の物語が繰り広げられる。城田のほか、出演は咲妃みゆ、すみれ、土井ケイト、屋比久知奈、エリアンナ、原田薫、春野寿美礼、前田美波里、DAZZLE(※高田秀文は急性咽頭炎のため当面の間休演)、ほか。

なお、本作ではDVD発売のほか、2公演のライブ配信が決定している。映画の世界を題材にした作品ということもあり、ライブ配信ではこの『NINE』の世界観を映像ならではのアングルで見せる。

(以下、物語のあらすじに触れています)

グイドは、新作映画の撮影が迫っているにも関わらず、構想が浮かばずに苦悩していた。そんな中、結婚生活に不満を募らせた妻ルイザ(咲妃)に離婚を切り出される。関係修復を兼ねて、グイドはルイザを連れベネチアに逃亡。スパのマリア(原田)が誘うベネチアの温泉で癒やしの時を過ごすはずが、新作と離婚危機の噂を嗅ぎつけたマスコミが押しかけてきて休まる暇もない。

その上、グイドの愛人カルラ(土井)が追ってきて、妻との溝も深まるばかり。挙げ句、映画プロデューサーのラ・フルール(前田)がアシスタントで評論家のネクロフォラスを伴い、脚本の催促にやってきた。撮影開始は4日後に迫っていた。

女性たちに翻弄され、現実から幻想の世界へと迷い込んだグイドは、少年時代に戻り母の元へ。さらには自身の性を目覚めさせた娼婦サラギーナとの出会いへと思いを馳せ、失った愛を追い求める。迷走するグイドは、成功の鍵として自身のミューズである女優クラウディア(すみれ)に新作映画のオファーを出すが・・・。

舞台が始まる前、ステージと客席を半透明の幕が隔てている。そこには、劇場の真っ赤な客席がぼんやりと反射して映っており、これから始まる虚構と現実のイントロダクションになっているようだった。オープニング、グイド演じる城田と、トリプルキャストのリトル・グイドから熊谷俊輝が静かに舞台上に現れ、幕越しに手を合わせ、物語がゆっくりと始まる。

舞台上、半円状に作られたコロシアムのような舞台セット。これは回転し、書き割りの裏側やベネチアの街並み、スパリゾートなど、様々な表情を見せる。そして、舞台にはいつもどこかにカメラがある。

このカメラは、リアルタイムに半透明の幕に映し出されるほか、DVDやライブ配信など“映像”として本舞台の別の表情を捉え続けている。また、劇中の歌唱シーンでは日本語だけでなく英語やイタリア語が飛び交う。これに半透明の幕をうまく活用し字幕をつけるなど、「映画」を舞台で表現するためのアイデアが詰め込まれている。

城田は、女性たちの愛を求め、求めすぎてすべてが指の間からこぼれおちていく男の栄光と悲哀を繊細に表現。特に映画の撮影シーンで自ら出演者となって歌う場面では、オペラのような歌唱方法で場を圧倒し、一方では通属性と大衆性を求め迷走する滑稽さも強調して、エンターテインメント性と芸術性に溢れる場面へと昇華させていた。

そして、咲妃、すみれ、土井、屋比久、エリアンナ、原田、春野、前田がそれぞれに見せる「女」の立場と心。男女の機微から見えてくる、人間という生き物の多面的な姿と愛の形はとても味わい深い。

また、作品の中に様々な形で登場するダンスカンパニー「DAZZLE」の面々が、目に見える情景描写だけでなく、心象風景を具現化していく様は、作品の「動」を際立たせていた。いつ、どこで、彼らが何をやっているのか。ぜひ、細かなところまで注目してみてほしい。

ュージカル『NINE』は11月12日(木)から11月29日(日)まで東京・TBS 赤坂ACTシアターにて、12月5日(土)から12月13日(日)まで大阪・梅田芸術劇場 メインホールにて上演される。上演時間は、1幕75分、休憩25分、2幕55分の計2時間35分を予定。

なお、本作のライブ配信が11月22日(日)17:00公演と11月23日(月・祝)13:00公演で行われるほか、DVDとして映像化することも決定した。DVDは、劇中ライブカメラで撮影した実際の映像のディレクターズカット版、演出の藤田・城田ののスペシャルインタビュー、舞台オフショット、キャストコメントなどを盛り込んだ公演映像ディスク2枚と特典ディスク1枚の豪華3枚組で、2021年4月16日(金)発売予定。12月13日(日)までに申し込むと、先行予約特典が付くとのこと。詳細は、公式サイトにてご確認を。

【劇場チケットはこちら】https://enterstage.jp/wp/database/2020/11/3909.html

【ライブ配信】https://eplus.jp/nine2020-st/

目次

コメント紹介

◆藤田俊太郎
ミュージカル『NINE』の開幕を待ってくださっているすべてのお客様へ。
ここまでのリハーサルでは、すべてのカンパニーメンバーが協力し合い、時に議論しながら、皆が誇り高い仕事をして新しい芝居をつくろうと突き進んできました。劇中、映画を撮れなくなった監督グイドは虚構と現実の間で格闘しながらも、色気と魅力を纏い、女性たちを愛し続けます。また登場人物の女性たちはそれぞれ、自身の価値観を見出し生きようとします。
制作過程で、作品のテーマであるグイドが未来に向かっていく姿、また強く生きる女性の時代が始まるという予感をカンパニーそのものが体現しました。2020年末の今でしか届けられないミュージカルをつくることができました。

この『NINE』のタイトルの意味は、私たちが母親の胎内にいた“9か月”という時間にも由来しています。観客の皆様には観劇を通して、まるで生まれたての赤ん坊が最初に見た光のようなあたたかな希望を持ち帰っていただければと思っています。
コロナ禍の中、感染防止策を取りながらのご来場には感謝しかありません。私たちは劇場で胸を張って皆様をお待ちしております。

そして劇場に来ることが叶わないお客様へ向けて
舞台配信を予定しております。
当作品は映画監督が中心を担う芝居ですから、演劇、映画の枠組みを超える新しい体験をしていただけるような映像作品でのライヴ配信となります。詳細はHPに載っておりますので、配信での観劇も楽しんでいただけたらと思います。

2020版ミュージカル『NINE』、開幕です。

◆城田優(グイド役)
とにかく安全第一で、キャスト&スタッフ一丸となって大千秋楽を迎えられるよう、いつも通り精いっぱいに舞台に臨んで参りたいと思います。
この2020年にふさわしい様々な国の言葉や字幕を使った、多言語のエンターテインメントな内容で、藤田俊太郎さんがお考えになった演出は非常に面白いので、ぜひ楽しみにしていただきたいと思います。
また、個性あふれる女性の皆さんのエネルギッシュな歌やお芝居にもご期待ください。

◆咲妃紀みゆ(ルイザ役)
私個人としましては約9ヶ月ぶりのミュージカル出演となります。お格古期間中は、いつの間にか当たり前だと思ってしまっていた様々な出来事に感謝する日々でした。千秋楽まで無事に駆け抜けられることを願いつつ、お客様にエネルギーをお届けできるよう精一杯がんばります。きっと、ご観劇なさりながら映画をもご覧になっているような感覚を味わっていただけるステージになっているのではと思います。ぜひ劇場へ足をお運びくださ
いませ。

◆すみれ(クラウディア役)
この作品は、笑いあり、感動もありと色々な感情を受け取っていただける舞台だと思います。観に来てくださった皆様には、この素晴らしいストーリーから様々なメッセージをお届けしたいと思いますので、ぜひ楽しんでください。
今回、私はクラウディアという大女優の役に挑みます。とてもきれいなお衣裳とへアメイクで変身し、コンフィデンスを100%に大女優になりきってがんばります!

◆前田美波里(ラフルール役)
私たちがステージに立ち、この公演を最後までやり遂げられることへの幸せを祈って、必死に稽古をして参りました。このような時代になり、こんなに大変な時期ですが、たくさんの方に公演をご覧いただけることを心から感謝しております。
今回演じるラ·フルールという役では、私が長年やってきましたレビューの要素をほんの少し、演出の藤田さんが取り入れてくださっていますので、ぜひそれを観ていただければと思います。グイド役の城田さんが特に素晴らしく、とても素敵な作品に仕上がっていると実感しています。

公演情報

ミュージカル『NINE』
【東京公演】2020年11月12日(木)~11月29日(日) TBS 赤坂ACTシアター
【大阪公演】2020年12月5日(土)~12月13日(日) 梅田芸術劇場 メインホール

【脚本】アーサー・コピット
【作詞・作曲】モーリー・イェストン
【演出】藤田俊太郎

【出演】
城田優
咲妃みゆ すみれ
土井ケイト 屋比久知奈 エリアンナ
原田薫 春野寿美礼
前田美波里
DAZZLE(長谷川達也、宮川一彦、金田健宏、荒井信治、飯塚浩一郎、南雲篤史、渡邉勇樹、高田秀文、三宅一輝)

彩花まり、遠藤瑠美子、栗山絵美、Sarry、則松亜海、原田真絢、平井琴望、松田未莉亜

大前優樹、熊谷俊輝、福長里恩

※大前優樹、熊谷俊輝、福長里恩はトリプルキャスト
※高田秀文は急性咽頭炎のため当面の間休演

ライブ配信

【配信日程】
2020年11月22日(日)17:00公演
2020年11月23日(月・祝)13:00公演
【料金】
ライブ配信視聴券:4,000円(税込)
視聴券プログラム付き:6,000円(税込)
【発売日】各回の開演30分後まで
【視聴チケット購入ページ】https://eplus.jp/nine2020-st/

(取材・文・撮影/エンタステージ編集部 1号)

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この記事を書いた人

ひょんなことから演劇にハマり、いろんな方の芝居・演出を見たくてただだた客席に座り続けて〇年。年間250本ペースで観劇を続けていた結果、気がついたら「エンタステージ」に拾われていた成り上がり系編集部員です。舞台を作るすべての方にリスペクトを持って、いつまでも究極の観客であり続けたい。

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