2020年秋に上演が決定していた小瀧望(ジャニーズWEST)主演の舞台『エレファント・マン』THE ELEPHANTMANの詳細が発表された。上演日程は、10月27日(火)から11月23日(月・祝)まで。合わせて、近藤公園、高岡早紀、木場勝己からのコメントも到着した。
物語の舞台は1880 年代の産業革命後のロンドン。膨張した頭部、著しく変形した身体、その外見から「エレファント・マン」と呼ばれる青年メリックが、解剖外科医のトリーヴズとの出会いによって初めて人間らしい生活を手に入れ、人々が知的で純粋な心の持ち主である彼に不思議なまでに引き寄せられていく様を描く。
メリック役を演じる役者は、あえて異形の特殊メイクを施さず、鍛錬された身体を湾曲さ せるというスタイルをとることで表現することになる。180㎝を超える身長と端正な顔立ちの小瀧が、演出の森新太郎のもとでいかにしてこの異形の美しき青年を演じるのか、注目が集まる。
そして、メリックと対峙することで己の醜い部分にも向き合うことになっていく複雑な心理をたどる医師トリーヴズ役に近藤公園、彼の勤める病院の理事長役に木場勝己、またメリックに初めて女性の愛らしさを伝える女優ケンダル夫人役に高岡早紀。このほか、貴族から使用人まであらゆる階層の人々を、花王おさむ、久保田磨希、 駒木根隆介、前田一世、山﨑薫が演じる。
常識が塗り替えられ混迷する現在。人知を超えたものに出会ったとき我々はいかに反応し行動を起こしていくのか?実在した人物“エレファント・マン”を通し、この世に命を授かって生きることの普遍的な意義を深く問う作品になりそうだ。
世田谷パブリックシアター×東京グローブ座『エレファント・マン』THE ELEPHANTMANは、10月27日(火)~11月23日(月・祝)まで東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。チケットは、9月26日(土)より一般発売開始。
あらすじ
19世紀のロンドン。その外見により『エレファント・マン』として、見世物小屋に立たされていた青年ジョン・メリック。肥大した頭蓋骨は額から突き出し、体の至るところに腫瘍があり、歩行も困難という状態だった。
ある日、見世物小屋で彼を見かけた外科医フレデリック・トリーヴズは、研究対象として彼を引き取り、自身が務める病院の屋根裏部屋に住まわせることにした。メリックにとっては、その空間が人生で初めて手にした憩いの「家」となった。
はじめは白痴だと思われていたメリックだったが、やがてトリーヴズはメリックが聖書を熱心に読み、芸術を愛する美しい心の持ち主だということに気付く。当初は他人に対し怯えたような素振りを見せていたメリックも、トリーヴズと接するうちに徐々に心を開きはじめ、トリーヴズもまたメリックに関わることで、己の内心を顧みるようになっていく。
穏やかな気質のメリックには上流社会の人々の慰問が続いた。その中に、舞台女優のケンダル夫人もいた。メリックはケンダル夫人に異性を感じ、ときめく。そして普通の人間のように振る舞いたいという思いに駆られていく・・・。
コメント紹介
◆近藤公園
今回、それぞれの時間の中でいろんな思いが生まれたかと思います。自分も未体験の、ぽっかりと空いた時間の中で「生きる」ということについて、ぼんやりと考えざるを得ませんでした。『エレファント・マン』は「人間」として「生きる」ことについての話です。劇場という場所に「生きる」ことそのものを感じる、我々作り手と、お客さんとがまた出会えることに、ワクワクしています。 劇場でお待ちしております。
◆高岡早紀
演出家の森さんとは昨年に引き続いて2作目となります。森さんと芝居を作るのは、私にとって楽しみでしかありません。稽古場では、森さんの活気溢れる演出で緊迫感が漂います。しかし毎日が充実していて、時折見せてくれる森さんの笑顔に救われます。今回私が演じる「舞台女優ケンダル夫人」は森さん曰く、私への「あてがき」だそうです。(本当は違いますが・・・)その言葉を信じて、私らしく演じられたらと思っております。ほとんどの役者と、今回が初共演です。素敵なカンパニーになることを祈りながら、これから始まる稽古を楽しみにしています。悲しい物語ではありますが、「エレファント・マン」と呼ばれて生き抜いた彼の生き様を見て、自分にとっての「幸せ」とは何か見つけられるのではないでしょうか。ぜひ、多くの皆様にご来場いただきたいと思います。
◆木場勝己
コロナの収束の目処も立たない中、私たちは、この公演を立ち上げることが出来るでしょうか?いいえ、ぜひとも成し遂げなければなりません。この戯曲を読み進めるうちに、その気持ちが増していきました。近代科学をもってしても、崇高な人道主義をもってしても、決して救えない不幸があることを、この戯曲は私たちに教えてくれました。今、私たちが遭遇しているコロナのように。しかし私たちは、前に進まなければなりません。科学至上主義に疑いを持ちながらも科学的に、心に絶望を抱えながらも快活に行動する、もう一人の主人公・トリーヴズのように。